陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ブッシュ外交は変化自在、米・イラン関係融和へ:原油価格は暴落

2008-07-19 01:49:02 | 中東問題
 小ブッシュ大統領には、七つの顔を持つ男、「多羅尾伴内」も将に顔負けである(古過ぎるかな?)。6月初旬のイスラエル空爆大演習で、米国・イスラエル協同のイラン攻撃近しとの予測が彼方此方で流れた。イランも、7月上旬に「さあ、来い」とばかりに大規模ミサイル訓練を行って、その期待に応えていた。こうしてホルムズ海峡の危機が実(まこと)しやかに喧伝された。

 ところが7月17日の英国ガーディアン紙特報によると、小ブッシュ政権、今までとは180度方向を転じて米・イラン国交回復へ動くらしい。それは、一面から見ると結構な話であるが、では彼の行った<悪の枢軸>(イラク、イラン、北朝鮮)宣言は一体どうなったのか?あれは、ネオコングループの提案で、「わしゃ知らん」では世間に通らないだろう。加えて、今でもイラン空爆をやる気満々のイスラエルは、この状況をどの様に受け止めるのか。

 北朝鮮に関して、小ブッシュ大統領は任期中の国交樹立に血道を上げ、更に先日まで恫喝し合っていたイランと28年ぶりに国交回復すると言うのでは、普通の人の頭ではついて行けないだろう。

 19日からジュネーブで開催される「イランと欧州連合(EU)によるイラン核開発疑惑をめぐる協議」に、ウィリアム・バーンズ米国務次官が出席するが、彼は協議の席でイラン側に核開発阻止を確認し、イランとの二国間会談をすると言う。イランは以前から、自国における核の平和利用を一貫して主張しているが、核兵器にも使える高濃縮ウラン製造を米国に認めさせることが出来るのだろうか。

 中東では、これ以上の戦争をやりたくないゲーツ国防長官と、<中東和平会議>を企画したライス国務長官が仕組んだイランとの融和構想に小ブッシュ大統領が乗ったとの解釈であるが、イラン攻撃の急先鋒チェイニー副大統領は、何か別の巻き返し策を考えているのかも知れぬ。


米、イランに代表部設置か 来月発表と英紙
2008.7.17 11:35

 17日の英紙ガーディアンは、米政府がイランに利益代表部を設置し、米大使館人質事件を機に1980年にイランと断交して以来、初めて外交官を常駐させる計画を進めており、来月に正式発表されると1面トップで特ダネとして報じた。情報源は明示しなかった。

 現在はテヘランのスイス大使館が米利益代表部の業務を担っている。報道が事実なら、ブッシュ政権の対イラン外交における大きな方針転換。

 同紙は、利益代表部設置は米国務省の方針で、過去2年間にわたりホワイトハウスに働き掛けを続けていたとしている。

 米国は、同じく国交のないキューバには自前の利益代表部を設置している。イランはワシントンに利益代表部を持っており、アフマディネジャド大統領は「米国との話し合い」を拒んでいないことから、米国が望めば実現は可能とみられている。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/080717/mds0807171133002-n1.htm


 米国とイランの緊張激化、即ち「ホルムズ海峡の危機」に加え、余剰のドルが市場に流れ込んだので、原油価格はWTI先物でバーレル当り146ドル前後にまで上がっていた。それがガーディアン紙の報道直後、7月18日に146ドルから一気に130ドル前後へ急落した。国際的に石油を節約する動きが高まる中、米国・イラン間の緊張緩和情報はバブル状態にあった原油価格を押し下げたのである。この状況は暫く続くと見られ、原油価格を弄んでいた投機筋は大やけどをすることになるだろう。
http://chartpark.com/wti.html

 因みに、1年前の2007年7月頃、原油価格は65ドル/バーレルであった。同年11月には93ドル/バーレル、2008年4月には124ドル/バーレルになり、今月に入って140ドル/バーレルに跳ね上がった。特に、2008年2月以降の上昇は大きい。
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