陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

南シナ海の波高し:シナ・中共の横暴にASEAN諸国が抱く不安

2010-08-13 03:31:50 | シナ・中共関係
 韓直入首相は、「<日韓併合>謝罪談話」をまとめ上げて安心したのか、軽井沢でご静養中である。襲いかかる円高攻勢には、打つ手無しと諦めたか、主要閣僚と電話会談しただけで終わり、高原の冷気を楽しんでいる。普天間基地問題のことは忘れて、次はシナへの謝罪談話でも構想しているのかも知れぬ(笑)。

 中共政府は、技術模倣・剽窃(工業所有権の無視)と低賃金による農民工からの収奪を背景に、世界中からカネをたっぷり稼いだ。加えて、野放図な人民元印刷とペッグ制でドルを溜め込んでいる。その結果、シナ共産党の私兵・人民解放軍の質的拡充と近代化も進めることが出来た。次は、領土拡張と資源獲得のため、西太平洋の支配を画策中と見える。

 中共政府は、以下のように考えているのではないか?

 台湾については、大陸渡来の将系シナ人である馬英九を上手く立ち回らせ、大陸との経済統合に大きな一歩を踏み出した。次は、一国二制度で政治統合への前進だ。今年になって、台湾は米国から武器や装備を導入したが、あれは馬英九のポーズだろう。

 自民党政権時代の腰抜け状態を見越して、既に日本から尖閣諸島を実質手に入れたようなものだ。沖縄へは、民主党に手引きさせ、これから漢人移民を1000万人に増やし、その上で外国人参政権を利用すれば、近い内にそっくり手に入るだろう。その時は、人民解放軍野戦軍司令官にも活躍してもらおうか。

 沖縄周辺海域へは、演習も兼ねて数回強力な艦隊を送ってみたが、日本の応答は鈍かった。海上自衛隊は、「専守防衛」とやらで、こちらが発砲しなければ何も出来ない。我々がEEZを侵しても、外務省は「遺憾である」と言うのみだから、そんなものは無視すれば良い。

 東南アジアへは、既に安い通常兵器を大量に売り込んで恩を着せてある。アフリカと同じように、各国へ多数の人を送り込んで、開発援助資金を与えれば、言う事を聞かせることは容易だ。ミャンマーは既に手懐(てなず)け済みで、同国のインド洋に面した軍港租借も成功した。タイでは内乱状態を工作したところだが、もう一息で政権交代するだろう。

 南シナ海の西沙(パラセル)諸島と南沙(スプラトリー)諸島は、当然シナのものである。この海域は重要な航路が通っているし、海底資源も豊富だ。シナは力があるのだから、これを東南アジア諸国へきっちりと認めさせねばならぬ。

 共産主義体制のベトナムだけは、シナの武器を一切買おうとしないし、従来から西沙諸島領有権で楯突いている。最近、インドネシアもそれに引きずられて、反旗を翻し始めた。フィリピンも西沙諸島で昔のことを蒸し返す雰囲気だ。
http://mainichi.jp/select/world/news/20100727k0000m030122000c.html

 3年後には、2隻の空母が完成するし、ロシアから盗んだジェット戦闘機技術で艦載機を作れば、南シナ海を支配することは容易だ。2015年からは5年で6隻の空母を建造するから、そうなれば米国も手出しはしないだろう。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100727/chn1007271927009-n1.htm

 7月末のASEAN地域会議では、南シナ海の安全保障に関し、抽象的な演説を外相にやらせて、シナのプレゼンスを強調しておこうか。それにしても、鳩山の言う「友愛の海」は、訳が分からなかった。

 と言う所で、ハノイで開催されたASEAN地域会議(閣僚クラス)に外相を派遣した。だが、中共外相は、米国クリントン国務長官の「南シナ海の航行の自由は米国の国家利益だ」とのパンチを喰らい、さらに「米国は南シナ海の調停役になる」と言う強烈な反発を受けて、立ち往生してしまった。


米中新たな火種 クリントン米長官、南シナ海の領有権問題で多国間協議を支持
2010.7.24 21:37

 【ワシントン=犬塚陽介】スプラトリー(中国名・南沙)諸島などの領有権をめぐる南シナ海の問題が、米中関係の新たな火種となる可能性が浮上している。クリントン米国務長官が、ベトナムで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議で「南シナ海の航行の自由は米国の国家利益だ」と述べ、関係国の多国間協議を支持する姿勢を打ち出したためだ。当事国による2国間協議を主張する中国の反発を招くのは必至だ。

 「米国は領有権の主張者が、協力的な外交プロセスで問題の解決に当たることを支持する」

 クリントン長官は23日、会議後の記者会見で、南シナ海の安全は国際社会の利益につながると強調した。

 米国は中立を堅持するとした上で、「(各国の)提案や信頼の醸成を促進させる用意がある」と述べ、多国間協議で仲介役を買って出る姿勢も示した。

 原油や天然ガスなど豊富な資源が眠る南シナ海では、中国とベトナム、台湾、マレーシア、ブルネイ、フィリピンがスプラトリー諸島、中国とベトナムがパラセル(中国名・西沙)諸島の領有権を主張している。特に中国はベトナムと砲火を交え、一帯での軍事プレゼンスを強化してきた。

 領土問題の国際的枠組みでの交渉を避け、米国の干渉やASEAN諸国の連携を防ぎたい中国は、会議でも多国間協議開催に反論した。ロイター通信は米政府高官の話として、中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相がクリントン長官と非公式に会談した際にも、多国間協議案に強く反発したと伝えている。

 南シナ海では昨年3月、米海軍調査船が公海上で中国艦船5隻に航行を妨害され、米中両国が非難合戦を展開した。最近では、米韓合同軍事演習の実施をめぐり、米中関係がぎくしゃくしており、クリントン長官の発言は中国をさらに刺激するのは間違いない。

 一方、会議の議長国ベトナムは、他のASEAN諸国とともにかつての敵国、米国の関与を引き出した。東アジアサミットへの米露の参加にも道筋を付け、強大化する中国の影響力を牽制(けんせい)する「外交上の勝利」を得たといえそうだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100724/amr1007242138009-n1.htm


 さて、シナ・中共は、米国にどのような対応をする積もりなのだろう。オバマ・クリントン外交は、3月の為替問題で腰砕けになったように、信用出来ない部分がある。クリントン発言は、ベトナムのトンキン湾を軍港として租借するためのリップサービスなのかも知れない。米韓合同演習で、空母ジョージ・ワシントンが黄海に入れば、少しは本気であると見ることが出来るのだが。

 この問題、次のフィナンシャル・タイムズ記事(8/11付け)が興味深く解説を行っている。

 南シナ海で繰り広げられるパワープレー
 2010.08.11(Wed) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4177
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