陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

JR踏切で散華した村田奈津恵さん、彼女の行為は利他精神発露の鑑(追記有)

2013-10-03 05:12:50 | 学ぶべき日本人
 偶々TVニュースを見ていて、女性が電車に跳ねられ即死したことを知った。その後、ネットでこの事故の詳細が分かり、犠牲になった村田奈津恵さん(40)の霊に、私は心から哀悼の意を捧げたのであった。

 轟音を響かせて迫り来る電車の直前で、恐怖心を退け老人救助のため身を投じる覚悟、私には到底持てない優れた自己犠牲魂、それにひたすら感じ入った。村田さんは、忘れられていた大和撫子の美しい心映(こころばえ)を期せずして見せて下さったのだ。

 薩た王子の<捨身飼虎(しゃしんしこ)>、走水の弟橘媛(おとたちばなひめ)が示した自己犠牲の故事が何とはなく思い出されたが、現世でこのような強い利他精神を見るのは稀である。身を捨てての尊い殉職例は、2007年の東武東上線ときわ台駅踏切で、若い女性を救助するため亡くなられた宮本邦彦警部(53)、そして東日本大震災で犠牲になられた警官、消防団員、教師の方々のことが思い起こされる。

 村田さんは、読書を良くしたという。恐らく、公衆道徳の基本(正義と思いやり)を身につけ、普段から行動で困っている人へ愛情を捧げる気持ちが豊かであったのだろう。彼女の心を思い出すためにも、事故のあった踏切を<奈津恵の踏切>と改名し、永くその行為を記憶に留めるべきではないだろうか。

 伊勢神宮の<式年遷宮>行事に参加した安倍晋三首相は、帰京したら直ちに事故現場に赴き、花束を捧げて欲しいと願う。それは、安倍首相が標榜する日本精神の復活につながるからである。


踏切で救助死、面倒見のいいなっちゃん 「よく頑張ったな」献花の列
2013.10.2 12:53

 「かわいい娘でした。残念です。私より早く死んでほしくなかった」-。1日午前、横浜市緑区中山町のJR横浜線の川和踏切で、踏切内に取り残された同区内の無職男性(74)を助けた同区台村町の会社員、村田奈津恵さん(40)が、自身は脱出が間に合わず電車にはねられ、死亡した事故。村田さんの父親の恵弘(しげひろ)さん(67)は自宅前で取材に応じ、肩を落とした。

 村田さんは3人姉妹の次女。絵を描いたり、本を読んだりするのが大好きという、控えめな性格だったが、一方で面倒見が良く、酔った人が倒れていると見過ごせず、住所を聞いて、家族に連絡したこともあるという。

 4、5年前からは恵弘さんが営む不動産業を手伝い始め、「ここ1年くらいは本当に気合を入れてやっていた」(恵弘さん)。不動産関係の資格も複数取得し、恵弘さんは「なっちゃん、よく頑張ったな」と声を掛けていたという。

 恵弘さんの近所で同じく不動産業を営む男性(57)は、仕事で何度も村田さんと顔を合わせた。男性によると、恵弘さん一家は非常に仲が良く、村田さんが仕事を手伝い始めたときの恵弘さんは本当に喜び、「(その後も)会うたびにニコニコしていた」と振り返る。

 事故当時、村田さん親子は、仕事で修繕した物件を見に行った帰りだった。長く不動産業に携わってきた恵弘さんにノウハウを教わり、「これから仕事を覚えていくところだったのに」と男性は無念の表情を見せた。

 村田さんが無職男性を助けるため、制止を振り切って踏切に入ったことについては、「おとなしく優しい感じだった彼女が、そういう行動に出たのは驚いた。内に秘めた正義感があったのでしょう」と話した。

            ◇

 一夜明けた2日、現場近くには献花台が設けられ、たくさんの人が花を手向けて冥福を祈った。

 献花台は地元商店街が設置。近所に住む男性(68)は「目の前で娘を亡くしたお父さんの気持ちを考えると言葉がない」と声を震わせた。踏切近くでは時折小雨が降る中、手を合わせる人も多かった。

 緑署によると、救助された男性は入院中で、同署は回復を待って、踏切内に入った経緯などを聞く予定。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131002/dst13100212590003-n1.htm

 この事実を世界中に伝えたいと思っていたら、ジャパン・タイムズが早速記事にして、世界に配信したようだ。AP、AFP、それに、ロイターやニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどが記事に取り上げてくれると、大和撫子の心映が世界に伝わり、記録に残ると期待する。

Woman killed by train after saving man
Victim ran from dad's car to offer help on crossing
Kyodo Oct 2, 2013

YOKOHAMA – A woman was struck and killed by a train Tuesday after rushing onto a Yokohama railroad crossing and moving to safety a 74-year-old man she saw lying on the tracks, police said.

Natsue Murata, 40, a company employee from Yokohama, was in a car with her father waiting at the crossing when they saw the man lying on the tracks at around 11:30 a.m. Tuesday.

As soon as she saw the man, she rushed out from the front passenger seat and tried to save him, the police said.

“I have to save him,” she cried out, according to her father, Shigehiro Murata, 67. “I said don’t go. There isn’t enough time,” he later told reporters.
She managed to move the man but couldn’t avoid the oncoming train, the police said.

A passerby pushed the emergency button and the train’s driver braked hard, but couldn’t stop the train in time, according to the police.

The man was taken to a hospital where he was treated for a broken collarbone. The police said they planned to question him.

Murata and her father were returning to their workplace, a real estate firm he manages. The incident occurred at a crossing between Kamoi and Nakayama stations on the JR Yokohama Line.

The train was bound for Hashimoto from Higashi-Kanagawa.

“Although you died, the man’s life was saved. I can only say that,” Shigehiro Murata said of his daughter.

On Wednesday, many people offered flowers and prayed for Murata at the accident site.

A 68-year-old man who lives nearby said he felt very sorry for her father.

“I don’t know what to say, thinking about the father’s feelings. He saw his daughter killed in front of him,” the man said.

http://www.japantimes.co.jp/news/2013/10/02/national/woman-killed-by-train-after-saving-man/#.UkxMMheCjwU


追記(10月5日)

 伊勢神宮の式年遷宮参加より戻った安倍晋三首相は、村田奈津恵さんの霊に勇気を称える書状を送ることにした。また、紅綬褒章も授与されるという。泉下の村田さんの霊も喜んでいるに違いない。

「勇気ある行動」たたえ首相が書状 男性救助死の村田さん 紅綬褒章も授与
2013.10.4 11:46

 政府は4日、横浜市緑区の踏切内で男性(74)を助けようとして電車にはねられ、死亡した会社員、村田奈津恵さん(40)に対し、安倍晋三首相名で勇気ある行為をたたえる書状を渡すことを決めた。併せて、人命救助した人が対象の紅綬褒章を授与することも決定した。書状は、菅義偉官房長官が6日に横浜市内の遺族を訪ねて手渡す。

 政府はまた、褒章条例に基づく銀杯を遺族に授与することを決めた。

 菅氏は4日の記者会見で書状などを授与する理由について「一般的に他人にあまり関心を払わない風潮の中、他人のために自らの命の危険を顧みずに救出に当たった行為に対し、国民とともに胸に刻みたい」と語った。

 事故は1日に発生し、村田さんはJR横浜線の踏切内で倒れている男性に気付き、線路に入って助けようとした。男性は重傷を負ったが、一命をとりとめた。
 政府による書状と銀杯の授与は、平成13年1月にJR山手線新大久保駅で線路に転落した男性を助けようとして亡くなった日本語学校生の韓国人とカメラマンの2人の男性に贈られた例がある。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131004/plc13100411480007-n1.htm
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