陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

再び米国のデフォルト危機が訪れた

2013-10-02 05:46:56 | 米国関係
 神無月(10月)を迎えて、我が家の金木犀(きんもくせい)の樹がオレンジ色の花を咲かせている。もう少しすると、独特の芳香が玄関にまで届くようになるだろう。そろそろ雪囲いを考える時節になった。

 米国の会計年度は、10月1日から翌年9月30日までだが、先月30日までに本予算は議会で決まらず、当面の暫定予算さえも上院と下院で意見がまとまらないため、2014年度連邦予算は執行出来なくなった。オバマ大統領は、一部の国家公務員(財務省80%、国防総省50%)の自宅待機(無給)を命じた。

 ロイター通信によると

 
米政府機関を閉鎖、与野党が暫定予算案で合意できず
2013年 10月 1日 15:00 JST

[ワシントン 1日 ロイター] - 米与野党は30日夜になっても暫定予算案で合意できず、10月1日の政府機関閉鎖の期限を迎えた。

米政府は1日、17年ぶりとなる政府機関の一部閉鎖を開始。最大100万人の連邦政府職員が無給休暇となるほか、国立公園の営業や医学研究プロジェクトが停止される。

米民主党のリード上院院内総務は30日夜、下院共和党が提案した、暫定予算案での合意に向けた超党派の協議委員会設置を拒否。下院に対し、上院が可決した11月15日までの資金を手当てする暫定予算案を通過させるよう要請した。

政府機関閉鎖の期限が迫るなか、議会では野党共和党が多数派となっている下院が医療保険改革法(オバマケア)の変更を盛り込んだ法案を上院に送付するたびに与党民主党が多数を占める上院が否決する、という攻防が続いた。

時間切れまであとわずか数時間となるなか、下院は再び、医療保険改革法の導入延期を盛り込んだ暫定予算案を可決。上院では即刻、下院案から医療保険改革法の延期に関する条項を削除して下院に差し戻した。

上院が下院の暫定予算案を否決するのはこの1週間で3度目となった。上下両院とも、政府機関閉鎖の引き金を引いたと批判されることを恐れており、両院の間を法案がただ行き来するという状態に陥った。

米政府機関の大部分が閉鎖される見通しとなったものの、ドルは1日、ほぼ横ばいで推移している。S&P株価指数先物は0.2%高、米国債先物は5ティック安。

1日のアジア株式市場は上昇している。

一部の政府機関や国立公園は閉鎖されるものの、米軍など安全保障に関連する重要な機能は維持される。

一部政府機関の閉鎖がどの程度続くかは、議会が最終的にいつ予算案を可決するかに左右されるが、政治的な行き詰まりを打開する明確な計画は示されていない。

民主党のリード院内総務は1日、米東部時間午前9時半(日本時間午後10時半)まで上院を休会とし、再開後に最新の下院暫定予算案を民主党主導の上院が正式に否決すると述べた。

政府機関の閉鎖は与野党が意見の相違点を解決するまで続くこととなり、数日、あるいは数週間に及ぶ可能性がある。

議会は連邦債務上限引き上げの期限を10月中旬に控えており、予算案をめぐる政治的な対立は債務上限引き上げについても協議が難航することを示唆している。

連邦債務の上限が引き上げられなければ、米国はデフォルトに陥り、米経済だけでなく世界経済にも影響が広がる恐れがある。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99004B20131001?sp=true


 この財政問題は、大きく2つに分けられる。

(1)2014年度予算成立の駆け引き
(2)10月17日に迎える債務上限引き上げの是非

である。今年8月26日、ルー米財務長官は議会が連邦債務の法定上限引き上げで迅速に行動しなければ、10月半ばに米政府の資金が底をつくと警告していた。当時のロイター通信(8/26)によると、同長官は次のように述べている。

米連邦政府は、約16兆7000億ドルの債務上限に達した5月以来、デフォルトを回避するためさまざまな緊急措置を実施し、資金をやりくりしている。10月半ばまでには緊急の借り入れ手段が尽き、手元資金残高は500億ドル程度と、1日で無くなっても不思議はない額に減少する。デフォルトが差し迫り、米国に対する投資家の信頼を揺るがしかねないと指摘した上で、「そうしたシナリオは金融市場に悪影響を与え、米経済に大きな混乱をもたらす可能性がある」と危惧した。


 オバマ大統領は、土壇場になれば議会側も折れて、来年度予算審議に妥協し、かつ債務上限を上積みさせるだろうと高を括っているように見える。だが、下院で優勢の野党・共和党は、オバマ・ケア(医療保険制度改革)実施に強硬に反対しているから、来年度予算成立には容易に妥協しない。こうした上下両院のねじれ状態の下で、オバマ政権としては、国民生活に直接関係しない国防費予算削減に手を付けざるを得なくなる。

 現在約140万人まで定員を減らされた米国軍(陸、海、空、海兵)は更に減員を余儀なくされようし、海外駐留要員の早期引き上げも具体化するだろう。何度も話題になっている原子力空母(排水量10万トン)を数隻退役させるのは、有力な予算削減策となる。

 既に米国は、二正面作戦を同時展開する軍事力を保持していない。オバマ大統領は、中核的な戦略地域として、中東方面から西太平洋方面に移すことを公言したのであるが、アフガン問題は未だ中途半端に残っている。

 一方、米国債発行額について、2年前に続き繰り返し米国のデフォルトが話題になるのは、ドル基軸通貨体制の歪みを反映しており、大ブッシュ政権―クリントン政権―小ブッシュ政権と続いた米国の一極覇権体制の終焉を意味しているように思える。

 それは、日米安保体制へも大きく影響するであろうから、我が国も心して米国の危機的な財政状況を国際経済面と安全保障面から冷静に見つめる必要があろう。
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