陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

生徒を助けに行って帰らぬ女性教師:岩手県立高田高校(追記あり)

2011-03-22 21:02:02 | 学ぶべき日本人
 岩手県沿岸に位置し、宮城県に隣接する陸前高田市、人口2万3000人のこの海岸都市は、東北大震災・大津波により壊滅的打撃を受けた。市街地は瓦礫に埋められ、数千人の市民はなお避難生活を余儀なくされている。

 この町にある県立高田高校は、津波に襲われて校舎の3階までが水没、教育機能に多大の影響を受けている。その高田高校で、3/22(火)に定例行事の入学者発表があった。肉親を失った入学内定者の生徒が、健気に学問への期待感を述べた。

 高田高校の女性教師、小野寺素子先生(29)は、大津波の海岸近くへ生徒を探しに行ったまま、今なお戻らない。ここにも、我が身を顧みず教え子を気遣う崇高な教師がいた。

 朝日新聞によると、


先生、帰ってきて 29歳高校教諭、生徒捜して津波に
2011年3月18日15時4分

 先生、絶対帰ってきて――。東日本大震災で行方の分からなくなった岩手県陸前高田市の県立高田高校教師、小野寺(旧姓・毛利)素子さん(29)を、夫や同僚教師、生徒たちが案じている。「自分よりも、他人のことを真っ先に考える先生」と慕われてきた。顧問を務める水泳部の生徒を助けにいき、津波に巻き込まれたとみられる。再び教壇に立つ日をみんなが信じている。

 11日午後、津波警報が市内に鳴り響くと、校内で部活動をしていた生徒257人は、学校裏手の高台にあるグラウンドへ避難した。そこに約10人の水泳部員の姿はなかった。冬場は学校から500メートルほど離れた屋内プールで練習していたからだ。

 小野寺さんは、学校にいた生徒を避難させると、自分の車に乗ってプールをめざした。同僚の教員に「水泳部員を捜しにいく」と話していたという。

 プールは海岸沿いにあった。小野寺さんが向かって間もなく、大津波が堤防を乗り越え、街をのみ込んだ。プールも近くの建物もすべて流された。水泳部員の大半と小野寺さんは行方が分からなくなった。

 「自分のことは常に後回しだった。彼女らしいと言えば、彼女らしいです」。夫で、隣町の県立大船渡高校教師、浩詩さん(43)は話す。

 3年前、高田高校で同僚として出会った。明るく、生徒にも同僚にも信頼されていた。水泳部の生徒が、家に遊びに来ることもあった。何より、人を思いやる気持ちにひかれた。昨年3月に結婚。披露宴での水泳部員のスピーチで「男子生徒をがっかりさせましたよ」と冷やかされた。

 津波があった日も、いつも通りの朝だった。前日も仕事で遅かったのに、弁当を作ってくれた。いつも、「無理して作らなくていいよ」と言っても、「料理ぐらいさせて」と笑顔で返された。服や宝飾品など何かが欲しいとねだられたこともない。

 浩詩さんは津波の翌日から、避難所や病院を駆け回った。安否につながる情報が何もないまま、補給のあてのないガソリンが尽きかけている。今月28日で、結婚から1年になる。「最高の妻なんです。帰ってきたら、『心配かけさせやがって』と怒ってやるんです」。笑顔と涙がまじり合いながら話した。

 工藤良裕校長(54)は先月、小野寺さんから「妊娠するかもしれないので、来年度は担任を当てないでほしい」と打ち明けられていた。「彼女の希望をかなえてあげるつもり。だから、ちゃんと帰ってきて欲しい」(井上裕一)

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103180295.html


(追記:3/23)

 エントリー・テーマと直接関係は無いが、陸前高田市が地盤の民主党・黄川田徹衆院議員(衆院岩手3区)も、この大津波で家族を失っていた。ご遺族のご冥福を祈ります。


被災した民主・黄川田議員、政府を強く批判

 民主党の黄川田徹衆院議員(衆院岩手3区)は22日、東日本巨大地震をめぐる政府の対応について、「過去の災害事例からマニュアルはあるのに、何を今さら議論しているんだ。必要なことは決断と実行で、我が党には決定的にそれが欠けている」と強く批判した。記者団の取材に語った。

 黄川田氏の選挙区は、地震で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市。黄川田氏によると、市内にあった自宅や事務所は津波で流され、長男が遺体で発見された。両親と妻はなお行方不明という。黄川田氏は、菅首相が21日に予定していた被災地視察を悪天候を理由に中止したことについても「現場をどうしようという思いがない人が政治をしている。被災地で政治の顔が見えない」と訴えた。

(2011年3月22日22時05分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110322-OYT1T01013.htm?from=main3
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