陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

中越沖地震と原発事故

2007-07-17 12:28:41 | Weblog
 台風4号が去ってほっとしたのも束の間、7月16日(月)10時13分に新潟県中越沖地震が発生した。犠牲者7名、負傷者700名を越す大惨事となり、電気、水道などのライフライン、住宅などの損壊数も大きい。犠牲者へのお悔やみを申し上げ、負傷された方々にはお見舞いを申し上げます。

 新潟市から柏崎市にかけて海岸線には幾つもの原発がある。3月の能登沖地震でも原発事故が気になったが、そこでは大きな問題が無かった。だが今回の中越沖地震の震源地は柏崎刈羽原発に近く、被害が発生して変圧器の焼損と放射能漏れ事故を招いた。毎日新聞によると

中越沖地震 微量の放射能漏れ海水中へ 柏崎刈羽原発で
7月17日9時53分配信 毎日新聞

 東京電力柏崎刈羽原発(1~7号機、新潟県柏崎市、刈羽村)では、稼働中だった2、3、4、7号機が自動的に緊急停止した。地震発生直後の午前10時15分ごろには、3号機のタービン建屋に隣接した変圧器から火が出ているのを、同社員が発見。約1時間後に駆けつけた消防署が化学消火剤で消したが、約2時間にわたり黒煙を上げ続けた。また、同社は6号機から微量の放射能を含んだ水約1.2トンが、海水中に放出されたと発表した。

 同社と経済産業省原子力安全・保安院によると、同原発から中越沖地震の震央までの距離は約9キロ。国内では最も原発の近くで発生した大地震とみられる。
 同社によると、燃えた変圧器は、原発で発電した電気の一部を発電所内で使用するために電圧を下げる機器。出火原因は不明だが、同社は、変圧器内の油が地震の揺れで漏れ、引火した可能性も含めて調査している。

 一方、海水中に放出されたのは6号機の使用済み核燃料プールの水とみられる。地震の影響でプールの水が原子炉建屋内の周囲にあふれ、排水に混じったらしい。放射能の量は約6万ベクレルで、ラドン温泉の温泉水6リットル程度が含む放射能と同程度。法令の基準以下で人体に影響はないという。

 同社は、他の6基でも建屋内のプール周辺での水漏れを確認した。外部への放射能漏れがないか調べているという。【中村牧生、高木昭午】

最終更新:7月17日9時53分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070717-00000002-maip-soci

 原発設計で予想もしなかった強い加速度が加わったようだし、この原発の地盤はもともと不安定で問題が指摘されていたようだ。地震発生2時間後の正午に、塩崎官房長官が談話を発表、放射能漏れは無いとしていたが、その6時間後に東京電力が事故を発表した。これは、かなり問題である。

 安倍首相は、長崎から急きょ帰京、午後3時過ぎには陸自のヘリコプターで現地入りしている。放射能漏れは無いとの報告を受けての行動であろうが、大量の放射能漏れが仮にあったとしたら首相被爆と言う大問題になる。結果的にはそれは無かったし、被災者も地震が発生して6時間後に首相が乗り込んだことを力強く感じたことであろう。

 どうも原発に関しては、隠蔽体質が染み込んでいるようで気になる。私は諸般の事情から原発設置に反対はしないが、情報公開と安全設計、3重・4重のフェイル・セイフシステム導入を重ねて強く求めたい。原発が天災に耐える設計がなされていなければ、何時かは大事故が起こるし、日常管理も軍隊並みの緊張感が常に必要だ。また、不穏分子や過激派の侵入・破壊工作にも十分に配慮されねばならぬ。

 今回の中越沖地震は、改めてそうしたことの見直しを図る良い機会を与えたと思う。関係者の塾慮を期待する。

(追記:7月17日)

 安倍首相は、今回の地震に伴う東京電力の隠蔽体質に大きな不快感を示して、破損調査を厳命したようである。当然といえば当然であるが、これまでの首相にはそうした感覚が無かったと思う。東京電力はこれを受けて早速情報公開へ踏み切った。

消火用配管など損傷多数=変圧器壊れ、道路も寸断-柏崎刈羽原発の被害状況・東電
7月17日22時0分配信 時事通信

 東京電力は17日、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所(柏崎市、刈羽村)の現時点までに確認された被害状況を公表し、消火用配管5カ所の損傷など40項目以上の設備損傷や不具合を明らかにした。

 東電によると、1号機の原子炉建屋やタービン建屋付近の屋外の消火用水の配管4カ所や、2号機のサービス建屋付近の配管が損傷。水が漏れるなどした。
 地震直後に発生した3号機の変圧器火災では、初期消火の際、放水の水圧が足りない事態が起きたが、同日会見した同社の上津原勉原子力立地本部立地地域部部長は「具体的な因果関係は把握していないが、損傷の影響はあったと思う」と話した。

 火災になった変圧器以外にも1号機で3台、2、3号機で各1台、6号機で1台の計6台の変圧器が、基礎に打ち込まれたボルトなどが損傷、油漏れなどを起こした。また、1~5号機の主排気筒のダクトが変形、2号機の原子炉給水ポンプの油タンク室内では、800リットルの油の漏えいが見つかった。

 構内でも広い範囲で液状化現象が発生。構内道路も一部寸断され、一時通行が不可能になった。取水口や放水口の護岸の沈下、ひびなども確認された。 

最終更新:7月17日22時0分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070717-00000244-jij-soci

 このような問題点が表に出て初めて新たな原発設計への指針が生まれると感じる。原発に関しては、自衛消防隊編成も必要であろうし、電気・水道配管の地中埋設、変圧器油漏れに対する配慮、放射性廃棄物保管体制の充実などが考慮されねばならぬ。

 原子炉本体の安全設計同様、原発付帯設備に格段の配慮を行い、安全管理ソフトウエアの拡充に各電力会社は力を注いで欲しいものだ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台風4号襲来と進路予測 | トップ | 「米中汚染食物非難合戦」か... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事