陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

二宮金次郎の銅像が消えて行く寂しい世相

2012-01-26 09:43:29 | Weblog
 全国の小学校に設置されている二宮金次郎少年の銅像が、老朽化のため撤去されていると言う。何とも寂しい話である。金次郎は、貧困の中、刻苦勉励して家を再建し、長じては農政改善に身を挺した偉人であった。その少年時代の姿を小学生に伝えるのは、大いに意義がある。

 亡父の影響により、金次郎は読書を好み、独学で『四書』に親しんだ。焚き木を取りに山へ入り、その往復の山道で声を出して読書に励んだ。焚き木を背負って読んでいる本は、 《礼記》「大学」である。修身・斎家・治国・平天下を説く為政者のための書だ。

 没落した貧しい二宮家では、紙も買えない。金次郎の母は、盆に灰を盛って、箸で字を書いて彼に教えたと言う。今はそんなことをしなくても、学問出来る時代だが、教える側の工夫と学ぶ側の熱意を汲み取るべきだろう。

 子供たちに教えたい第一の徳義は何か。私は「修身」であると思う。自己制御の心(克己)、恥を知ること、そして他人への思いやりをまず身に着けるのである。戦後民主主義教育は、それを否定したから、家庭の絆も稀薄になり、愛国心は消え失せた。

 金次郎像を持っている小学校は、出来るだけ努力して、それを維持して欲しいと願う。また、教師は金次郎の努力内容を銅像の前で子供たちに語って欲しい。徳義を持ち合わせていない国会議員を再教育するために、国会議事堂の前に尊徳・二宮金次郎の銅像を設置してはどうか。


<二宮金次郎像>勤勉精神いまは昔、各地で撤去相次ぐ
1月25日(水)16時19分配信

 まきを背負って本を読むおなじみの二宮金次郎(尊徳)像。戦前に全国の小学校に建立されたが、老朽化などに伴い各地で撤去が進む。大津市の小学校でも3カ所で破損が見つかったが、「児童の教育方針にそぐわない」との意見もあり、市教委は補修に難色を示す。受難の時代を迎えた金次郎像だが、質素倹約や勤勉の精神を伝えると再評価する動きも一方である。

 大津市立下阪本小では昨夏、玄関前の像が倒れ、撤去した。地元自治連合会が復元を申し出たが、学校側と協議して復元するものの校長室への“隠居”が決まった。教諭の一人は「努力を尊ぶ姿勢は受け継ぎたいが、子どもが働く姿を勧めることはできない」と話す。昨年12月の復元像の除幕式では、卒業生のお年寄りから「子どもたちの前から消えるのは寂しい」と惜しむ声が漏れた。また、長等小では職員室前の戸棚に頭部だけが置かれている。壊れた理由は不明で、補修の予定はないという。

 市教委の調べでは、かつて多くの市立小にあったはずの像も、37校のうち現在残るのは9校。銅像は戦時に供出され、残った石像も70年代のベビーブームに伴う校舎の建て替えで大半が撤去されたらしい。担当者は「戦時教育の名残という指摘や『歩いて本を読むのは危険』という保護者の声もあり、補修に公費を充てるのは難しい」と話す。

 金次郎の生家に隣接する尊徳記念館(神奈川県小田原市)によると、全国的にも同様の傾向は進んでいる。一方で、同市や東京都の小学校では像を再興する動きもある。神奈川県土地家屋調査士会は10年、同県内の公立小約860校を調べ、残存する金次郎像145体を冊子にまとめて紹介。また、小田原市教委は05年、金次郎の遺徳を伝える物語を作り、児童らに配った。

 金次郎の教えが名称の由来となった報徳学園中学・高校(兵庫県西宮市)には7体の石像や銅像がある。今も教えは生徒の教育指針として伝わっており、同学園の城戸直和・報徳教育部長は「理屈より実践を尊ぶ姿勢はいつの時代にも通じる理念だ」と語る。

 尊徳記念館の小林輝夫解説員(76)は「金次郎は賢人の名言集から学び、自分にできることに全力を尽くした。少子高齢化で厳しい社会を背負うことになる今の子どもたちこそ、彼の姿勢に学ぶべきだ」と話している。【安部拓輝】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120125-00000060-mai-soci


 私は、大学1年生の教養教育で、二宮金次郎を農業技術者として捉え、講義を行ったことがある。150人の各学部学生は、熱心に聞いてくれた。彼等の感想は、

「小学校の時、玄関に銅像があって見慣れていたが、意味が分からなかった。改めて金次郎の事績を知り、感銘を受けた」
「もっと小学生の頃に、金次郎の苦労を具体的に教えて欲しかった」

などの内容が大半であった。

(参考)

 二宮尊徳を見直そうhttp://blog.goo.ne.jp/charotm/e/6bfa70356e8583d493a584080a2838de
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1 コメント

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Unknown (なな)
2012-01-26 22:43:12
よく戦前の帝国主義の日本の教育に利用されたと喧伝し、撤去すべきだと言う人たちがいるが、偏った思想に凝り固まった狭量な人たちだと思う。
 銅像を絶対建てなければならないと言うわけではないが、経費節減という名のもと、なくしてしまうのは、しっくりきません。
 ”二宮金次郎って誰って”言う人たちが増えると思います。それで、日本は良い方向に向かうのか不安になります。
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