陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

イタリア政府が格付け会社へ反撃

2012-01-25 16:57:41 | 欧州関係
 ムーディーズスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)フィッチは、米国の三大格付け会社で、有力国際企業の株式や社債、そしてソブリン債(各国政府の発行する国債)の安定度評価を行い、それらを公表している。大凡、三社のリスク評価結果は、一致しているようだ。

 ギリシャ危機が始まってから、PIIGSソブリン債は遠慮無くこの三社によって、レーティングが落とされ、その都度ソブリン債の利回りは上がった。つまり国際市場で国債が売れないのである。

 ソブリン債格付けを巡って、昨年秋以来、英仏首脳間に感情的な縺(もつ)れが生まれた。互いに、自国ソブリン債格付けが上位だと言い張った。サルコジ大統領にしてみれば、仏ソブリン債の格付け低下が5月の大統領選挙に強く影響するので、黙っていられないのである。

 ユーロ危機を回避しようと必死になっているユーロ圏首脳は、これら格付け会社に対抗策を考えていたようだ。そんな中、先日S&P社がユーロ圏9カ国の格付けを遠慮無く一斉に落とした。それを受けて、まずイタリア政府が格付け会社に反撃を開始した。

フィッチも家宅捜索 イタリア当局「格下げ」も捜査 根拠ない誤った評価で市場操作容疑
2012.1.25 14:30

 ANSA通信によると、イタリア財務警察は24日、根拠のない誤った評価で市場を操作した疑いで北部ミラノにある欧州系格付け会社フィッチ・レーティングスの事務所を家宅捜索した。捜査は南部トラニの検察当局が指揮している。財務警察は今月19日、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のミラノの事務所も捜索している。

 検察は「格付け会社の誤った評価により株価が下落した」との消費者団体の告発で昨年、捜査を開始。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスも捜査対象となっている。

 巨額の公的債務を抱えるイタリアは昨年7月以降、信用不安から国債の価格や株価の下落が続いている。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120125/erp12012514310002-n1.htm


 イタリアのソブリン債発行額は、累積で200兆円近いから、無責任なレーティングをされたとすれば、根拠を問い糺したくなるだろう。格付け会社は、昨年夏、米国債のレーティングを一段階落として話題になった。しかし、米国債の利回りは上がらず、米国株式が低落すると言う奇妙な現象が見られた。

 私は、米国の格付け会社は国際金融資本と裏で結びついていると想像する。これら格付け会社の情報を利用して、「禿タカファンド」が暗躍し、ソブリン債市場の価格操作を行っている可能性が濃厚だ。

 日本の国債も、既に一段落とされてBRICSソブリン債並みの扱いだが、利回りは全く影響を受けていない。
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