陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

大阪(梅田)と京都への小旅行(2)

2010-07-23 13:12:44 | 旅行
 7月2日(金)の昼前、JR新快速で京都駅に到着。大阪も猛烈に暑かったが、京都は更に蒸し暑い。

 JR京都駅を横断する2階大通路をトコトコと歩き、八条口へ。そして、駅前南の<新・都ホテル>へ向かう。駅ビルの一部、八条通り沿いの商店街・飲食街は、様々な形にリニューアルをされ、昔の面影は随分と減っていた。

 ホテルのフロントに鞄を預けて、冷房の効いたロビーで一休み。こんなに蒸し暑いと外へ出たくない気持だ。グズグズしていたら、午後12時半過ぎになってしまう。再度、JR京都駅の横断通路を通って、反対側の塩小路に面したバス・ターミナルへ移動。京都バス206番線に乗り込んだ。行く先は、京大会館。所在位置を半分忘れているのだが、多分、京大正門前で降りると歩いて行ける距離のはずだ。

 この路線は、七条通りを走り、三十三間堂を経由して、東大通を北上、百万遍方面へ行く。何回か利用しているから、余り不安は無い。料金は何処で下りても均一で220円。

 最後部座席に座っていたら、鰻雑炊の老舗<わらじや>が見えた。次は三十三間堂で直ぐに左折して東大通りに入る。東山七条バス停に若い女性が7~8人。半分は今流行の黒いタイツを着ている。その上にスカートを着たり、ジーンズの短パンの重ね着だ。多分、近くにある京都女子大の学生たちなのだろう。

 昨今、若い女性が好んで着用する黒いタイツ、「スパッツ」とか「レギンズ」などと言うらしいが、何か違和感を覚える。黒は収縮色、脚がスマートに見えるはずと若い女性が持つ強迫観念を巧に利用して、被服メーカーが売りまくっているのだろう。

 私は、落語の登場人物、熊さんや八っつぁんが着ていた股引(ももひき)を連想する。当代なら、浅草や洛西・嵐山で見かける人力車引きのお兄さんの姿を思い浮かべるのだ。大阪の梅田でも、繁華街を闊歩する若い女性の3割は、黒の「レギンズ」姿であった。この蒸し暑いのに、よくまぁ、あのような暑苦しい服装を好むものだ(笑)。

 白いパナマ帽を被った爺さんが、バス後部座席からジロジロと見ているものだから、「レギンズ」女子(おなご)はきっと落ち着かなかっただろう(笑)。痴漢の多い昨今の風情でもあるし。

 京大正門前でバスを降り、ぶらぶらと京大会館へ向かう。小雨が降って来たから、雨宿りを兼ねて小さな喫茶店で一休み。

 京大会館に到着したのは午後1時半。今回の参加メンバーは7-8人、研究会は既に始まっていた。遅刻を詫びて、私は席に着いた。メンバーは殆どが古希を越えた爺さんばかり。私は、比較的若い方である(笑)。半年振りに会う人々は、皆如何にも元気そうだ。

 午後5時前、研究会を終えて先輩格のKK名誉教授と川端通りを歩く。彼は、三条京阪駅から大阪へ帰るとのこと。歩きながら、懐かしい昔話に花が咲く。この謹厳実直な先生は、大学退職後大和言葉の歴史を色々と調べておられる。現今の政治情勢や経済の姿など、あまり関心をお持ちで無いように見受ける。

 KK先生に、流行語の「ホルモンヌ」や「森ガール」を知っていますかと聞こうかなと思って、にやりとした。それを見て怪訝そうな面持ちの同教授に、「いやぁ、変なことを思い付いたので」と弁解した。若者達の使う流行語の紹介を、この先生には遠慮した。

 二条大橋を過ぎて、赤提灯のぶら下がった居酒屋<赤垣屋>の前を通り過ぎた。これから会う若い御仁と呑む場所だ。何気なくKK先生に聞くと、若い頃この店を何度も利用したと言う。今回は、敢えてお誘いをしなかった。先生とは、御池大橋の袂で別れた。この場所で待ち合わせることになっているが、まだ1時間以上ある。

 堤防を降り、鴨川沿いの遊歩道に出た。小雨模様の薄暮時、対岸には夏の風物詩「川床」が張り出すように並んでいる。何回か、川床座敷に招待されたが、正直落ち着かなかった。入れ込み形式で、隣り合う距離も短く、それに賑やか過ぎるのだ。

鴨川の水量は少なく、静かな川面にはオシドリの番い(つがい)や鴨が悠々と浮いている。こうして鴨川をゆっくりと眺めるのは久し振りだ。

 余りに蒸し暑いので、ビールを飲みたくなり、御池大橋を対岸へ渡って、木屋町通りの居酒屋<栞屋 蕉庵(しょうあん)>へ入った。一人なのに、冷房の効いた中二階小部屋に通された。ここは、足元がガラス張り、下には手入れされた石庭が見える面白い造り。小ジョッキとお勧めの若狭湾で獲れたオコゼの刺身を頼む。
http://www.shioriya.com/syoan/index.html

 午後6時10分過ぎまでのんびりと店内で涼み、それから御池大橋へ戻った。KT准教授は既に到着していた。彼とは、5月に東京で会ったばかりだが、頼みたいことがあった。彼は烏丸通り沿いの街中に住み、河原町周辺の繁華街に詳しいので変わった飲み屋を紹介してくれるだろう。

 居酒屋<赤垣屋>は、もう常連でカウンターは満席、入れ込みの小さな卓袱台(ちゃぶだい)席に着く。二人とも、焼酎「いいちこ」のお湯割を頼んだ。KT准教授は、ここへ初めて来たと言う。京都では老舗らしいよと些かの説明。
http://r.tabelog.com/kyoto/A2603/A260302/26001072/

 アジの叩き、水茄子の浅漬け、鱧(はも)の刺身に梅酢、焼き鳥などを注文。成る程、どれも美味である。半天を着て、捻り鉢巻を締めたお兄さんのサービスも溌剌としている。

 1時間ほど酒食を楽しみながら話し込んで、河岸を変えることにした。支払いをする時、親父さんに「太田和彦さんの案内TVを見てね、ここへ来たくなったんですよ」と伝えると、「今日は混んでいて失礼をしましたな。また、ゆっくりとお出でなさい」とのご挨拶。威勢の良い親父さんである。

 のんびりと川風に吹かれながら二条大橋を渡り、左折して木屋町筋へ。飲食街を突き抜け、三条通まで南下。そして木屋町筋の料亭<京町家 すいしん>に行った。ここは、KT准教授お勧めの店。ゆったりとした新しい造作で、居心地は抜群。まずは、カウンター席に座り、焼酎「中々」を頼み、自家製のおぼろ豆腐、万願寺の味噌唐辛子焼きなどを楽しむ。
http://www.suishin.co.jp/kyomachiya/index.htm

 万願寺唐辛子の由来を尋ねると、若いコックは親切にも美人の女将さんを呼んでくれた。彼女は、「舞鶴地方の名産、京野菜の一つです。今が旬かしら」と教えてくれた。彼女の上品な薄若草色の和服姿に暫く見とれた(笑)。

 腹もくちくなり、何となくコーヒーが飲みたくなったので、<イノダ・コーヒー>へ行こうかとKT准教授を誘った。「もう夜9時を過ぎているから、閉まっているかも知れませんよ」と彼が言うので、そうか、あの店は朝が早いからなと納得。「でも、行って見ましょう」とKT氏は乗り気、会計で女将と少しお喋りして、この店を出た。
http://www.inoda-coffee.co.jp/

 河原町通りを渡って、六角通りを西進、堺町通りに出る。やはり<イノダ・コーヒー>本店は午後8時閉店であった。残念と言うわけで、六角通りをもう少し歩いて烏丸通りへ出た。<六角堂>の隣、烏丸通りに面して、<スターバックス>の新しい店があった。そこのテラスで、喫煙しながらホットコーヒーを楽しんだが、蒸し暑さはなお続いている。

 KT准教授のマンションは、烏丸通りからごく近くらしい。「ここは便利なんですよ。地下鉄の御池駅から大学まで乗り換え無しの15分位だし、大きな本屋が直ぐ傍にありましてね」と言う。既に午後10時半を過ぎたので、KT准教授の厚意を謝し、地下鉄で京都駅に戻った。

 <新・都ホテル>では、ツイン・ルームのシングルユース(1泊7800円)を頼んでいたのだが、何と10階のジュニア・スィートにグレードアップしてくれた。59平方米と余りに広過ぎて、一人では落ち着かない雰囲気(笑)。立派な応接セットに座って、室内を見回した。ここも、キングサイズのベッドが2台置いてある。

 田舎爺がたまに大都会へ出て来ると、こうしたホテル特典にただ驚かされるのみ。まあ、有難いことと厚意を受け止めて、のんびりと風呂に入り、何も考えずにキングサイズ・ベッドへ潜り込んだ。残念ながら、バス・ローブは無かった(笑)。

 翌朝は、寝心地の良さから8時過ぎまで熟睡。チェックアウトの後、近くにあるリムジンバス乗り場へのんびり歩き、午前9時10発のバスへ乗り込む。そこから高速道路経由、50分で伊丹空港へ。

 空港では、ブランチ(和食)の後、<ラウンジ大阪>でメールなどをチェック。持ち込みPCを喫煙室で操作しながら、エスプレッソを2杯。ここは混まないし、サービスが良いので、よく利用する。JALのラウンジより居心地が良い。

 午前11時15分、JAL便で伊丹空港発、山形空港へ午後12時30分着。無料化された高速道路を走り抜けて、午後2時前には我が家の玄関を開けていた。

 僅か2泊3日の旅だったが、懐かしい人々と出会う頻度が濃く、彼等を介して越し方を振り返ることが出来たように思う。そして、大阪も京都も静かな形で変貌しつつあることを確認した旅であった。

(参考)

 大阪(梅田)と京都への小旅行(1)
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/3b9fc89647d3fed948fef5c6067efbca
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