陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

<浅草寺>参詣と浅草散歩

2008-10-28 18:34:56 | 旅行
 折角上野へ来たのだから、久し振りに<金龍山・浅草寺>の「聖観音」様をお参りし、浅草の街を散歩する事にした。同行は、旧知のAY氏。土木遺産に指定された地下鉄銀座線を浅草駅で降りて、雷門を通らずに「仲見世」の途中から仁王門へ向かう。

 本堂落慶50周年大開帳(10月15日~11月16日)に加え、週末とあって大変な人出だ。外国人が楽しそうに写真を撮ったり、買い物交渉をしている。私も、帽子屋へ寄って、品定めをした。洒落たスロベニア製のフェルト帽が1万5000円。もう直ぐ円高効果で1万円になるだろうねと言ったら、女店員が笑った。

 鉄筋コンクリート製の「仁王門(宝蔵門」には、巨大な提灯がぶら下がっている。AY氏は、あれは京都製ですよと言うので、裏を見ると京都の老舗の名前があった。門と本堂の間に3本の大きな塔婆柱が立てられ、一番手前に紐(手綱)が取り付けられている。この紐を引くために長い行列が出来ていた。観音様の右手に結びついた縁起の手綱である。

 やはり鉄筋コンクリート製の本堂の中は、参詣客でいっぱいだ。沢山儲かりますようにと内陣に向かって祈る人達、中には幼稚園児も小さな手を合わせている。私も家内安全を祈り、ついでに某政党党首の即刻政界引退を願った。7月には<伊勢神宮>で福田退陣を祈願したら、見事実現した(笑)。

 五重塔の北側に大開帳を祝って観光祭りが行われており、食べ物出店が数多く立ち並ぶ。その中に、<長命寺桜餅>も出店、人気があってその部分は客が多い。隅田川を渡って向島まで行かなくても、ここで本物が買える訳だ。

 <浅草寺>境内を離れて、アーケードを潜り、「国際通り」に近づく。新しい灰色の巨大なビルがあったが、AY氏は場外馬券売り場だと言う。以前は、大きなパチンコ屋ではなかったか。ビルの手前の通りを南下すると「寿司屋通り」に直結している。金網に覆われたミニ・サッカー場の所で左折すると、変則交差点の角に洋食屋の<ヨシカミ>がある。テレビに登場してから人気が出て、今日も行列が出来ている。評判のハヤシライスは、開店早々に売り切れになるそうだ。

 <ヨシカミ>で食事するなら、午後7時過ぎに来ると待たずに座れる。私は何度かこの店でハンバーグ定食を頂戴したが、ボリュームがあって美味しい。今は、午後1時だが、ここで並ぶのは厭だったので、そのまま店を離れた。

 懐かしい居酒屋<松風>の前を通ったが、ここは夕刻からの開店。ここで飲む信濃の樽酒「真澄」は中々いける。酒とつまみしか出さない面白い店である。

 天ぷらの<中清>がある公会堂通りに出て右折し、少し南下すると喫茶店<アンヂェラス>が待っている。池波正太郎さん御贔屓のダッチ・コーヒーを味わえる。喫煙席は2階。年季の入った内装で、こげ茶色のペンキ塗装が摺り剥げている。床も少し傾いているのではと感じる位だ。木製の椅子は硬いが、不思議に落ち着く雰囲気である。水出しダッチ・コーヒーを飲みながら、小一時間歓談した。

 <アンヂェラス>を出て、大通りを左折する。暫く歩いた四つ角には、古色蒼然とした<金寿司>がある。これも、池波正太郎さんの食べ物随筆に出てくる小さな店で、女職人が一人で握っている。とても元気の良い人だ。5年ほど前だが、熱燗を飲みながら、平目やホタテを握ってもらい、雑談したことがある。区画整理で店が無くなるような話だったが、今もなお健在だ。ガラス戸越しに覗いたら、彼女は数人の客相手に忙しそうであった。

 広い「浅草通り」に出て、永井荷風が通った天麩羅の<大黒屋>などをAY氏へ教える。浅草は、実に多くの文人に愛された街で、今なお独特の匂いがある。久保田万太郎も浅草と共に生きた一人だ。

 「雷門」周辺は大いに賑わっていた。交差点を渡り、雷門通りを南下すると老舗の<並木藪蕎麦>がある。週末はここも行列が出来るが、今日は並んでいない。でも、暖簾越しに覗くと満席の感じ。それで、もう少し歩く事にした。この蕎麦屋の仲居さん達はきびきびとして、しかも親切だ。

 駒形橋手前の大きな交差点を過ぎて、「江戸通り」を少し行くと<駒形どぜう>がある。入り口近くの腰掛に数人が入店を待っていた。店で番頭に聞くと、2番目に案内出来ると言う。もう午後2時過ぎだから、ここで遅い昼食とする事にした。

 泥鰌(どじょう)をたっぷりと楽しみ、酒で火照った顔を冷やしながら、のんびりと「雷門」まで戻る。雨は降りそうで降らない曇り空。近くの<神谷バー>で食後酒をと思って入ったら、大混雑。諦めて地下鉄で上野へ戻った。

 改装された上野駅は、様子が分からない。吹き抜けのある2階に上がると、ロンドン風のパブがあったので、そこでカクテルを楽しむ。私は、<ブラッディ・マリ->を注文。見習い中の若いウェイトレスと少しお喋りをした。彼女の被っていた帽子がインドネシア風であったので、それを話題にした。

 この2階通路やギャラリーに大きな観葉植物「サンセベリア」が幾つも並べてあった。空気を新鮮にしようとの配慮であろうか。AY氏と別れて東北新幹線に乗り込む。ほろ酔い加減でぐっすりと寝てしまい、目が覚めたら福島駅に到着。思えば、久し振りに堪能した浅草散歩であった。
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