陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

「世界に生きる日本の心」を読む

2007-02-23 06:27:52 | 読書・映画・音楽
 小楠さんのブログ<反日ワクチン>では、興味深い人物や彼・彼女らの見方が数多く紹介されている。刺激を受けて、話の元の一冊「世界に生きる日本の心」(展転社、2004、第11版)を読んでみた。これは名越二荒之助氏の力作である。A4版、246頁の大きな版形だ。

 海外の教科書で日本精神がどのように紹介されているか、神話や神道が外国人にどう理解されているか、それに日本の文化をこよなく愛した外国人達の逸話が480枚もの写真を用いて分かり易く語られている。私は、かつてモラエスの「日本精神」を読み、徳島市へ行った時に彼の史跡を訪ねたりしたので、その部分の記述は懐かしく読んだ。

 だが、知らない人が沢山記載されていて、そうした人達の逸話を読むのが中々面白い。小楠さんが触れておられるゼームス坂の英国貿易商ジョン・M・ジェームスや、米国人類学者フレデリック・スタール博士も私は知らなかった。

 外国人が誇りを持って自国の英雄や人格者を教科書に取り入れるように、二宮金次郎あるいは東郷平八郎元帥を外国教科書は紹介している。日本の中学校や高校の教科書では、彼らは全然取り扱われないのに!!
彼らは国家や人々の為に尽した人であるとして、外国人には自国の英雄達と共通な価値を見出す心の余裕があるためなのか。もっと簡単に言うと、彼らを愛国者として見ているのだろう。

 こんな話もある。1936年、トレドの英雄モスカルド大佐は、1050人の軍隊・市民とアルカサル要塞に立てこもり、1万人強の共産軍の激しい包囲攻撃を受ける。息子ルイスが捕虜になり、共産軍の司令官から電話が掛かって降伏しなければ息子を殺すと通告される。モスカルド大佐は、電話でルイスに別れを告げ、息子も降伏しないでと父親を励ます。怒った共産軍司令官は息子を銃殺してしまう。少し離れたバルセロナでは、もう1人の息子ペペが銃殺された。

 アルカサル要塞に立てこもる人々は、1万数千発の砲撃を受けながら益々大佐の下に団結して持ちこたえ、援軍の到着によって共産軍は排除された。この話は、スペインの教科書に特筆され、スペイン人なら知らない人はいないそうだ。

 名越氏は、この話を楠公父子の<櫻井の別れ>と対比し、洋の東西を問わず英雄の姿は共通だと語る。だからこそ、幕末の英国公使パークスが、楠公父子の別れに感動し、櫻井の駅に記念碑を建てたりするのだ。

 外国人の眼を通して、日本の良い所や日本人の事蹟を理解する、そうした事が名越氏の狙いの一つのなのだと思う。写真がとても多いので、若い人達にも取り組み易い。この本を大学の教育学部などでテキストや副読本にし、巧みな講義をすると、歴史に興味を持ち祖国愛に溢れた教育者の卵が沢山生まれるのではないか。

 本書の存在を教えて下さった小楠さんに御礼を申し上げます。そして、もっと沢山の魅力ある人たちを紹介して欲しいと思う。
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2 コメント

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コメント有難うございます (小楠)
2007-02-23 07:51:27
TBも有難うございました。
日本人が誇りに思えるところは、教育でもマスコミでもほとんど話題にされませんので、微力でもそれを知らせたいと考えて、ブログを始めました。
お互いに少しでも日本と日本人の将来の役にたつと思えることを、アピールして行きましょう。
ご紹介も感謝です。
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これからも良い本を御紹介下さい (茶絽主)
2007-02-27 01:20:14
小楠様

 コメントを有難うございます。何時も楽しく貴ブログを読ませて頂いております。
 御趣旨を理解すると共に、あれだけの文章を打ち込む御努力に敬意を表します。
 若い人達は、殆どが本を読みません。ですが、触りを面白く教えると急にその本を読み出します。消化する力は充分にあるのです。小学校の時から伝記などを読ませて、その背景を語って上げると、どんどん読書欲が出るのにとつくづく思います。
 今回は、良い本を教えて頂いたと感謝しています。
 益々御活躍下さい。
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