今シーズンの冬は体調不良で、ベッドで寝ていることが多かった。視力は益々低下し、読書は殆ど不可能。それで音楽を聴いているのだが、交響曲や協奏曲は疲れてしまうので、小品を楽しむことが多い。
表題の曲は、ウォルフガング・A・モーツアルト(1756-1791)が1781年頃に作曲した曲で、その主題は18世紀中頃のパリで大流行したシャンソン、"Ah vous dirai-je, Maman,"「ねえ、お母さん、聞いて頂戴な」だと言う。その内容は、若い娘が母親に恋の悩みを訴えるもの。最初にハ長調のテーマが提示され、これを12の変奏で展開する。途中、第8変奏でハ短調に変わるが、直ぐに第9変奏から元のハ長調に戻り、煌(きら)びやかな変奏が続けられる。
Mozart: Variations on "Ah vous dirai-je, Maman," K. 265/300e; Magdalena Baczewska, piano
上品な姿で、エレガントに演奏しているのは、ポーランド出身のピアニスト、マグダレーナ・バチェウスカ(Magdalena Baczewska)。彼女は、ハープシコード奏者としても著名。米国コロンビア大学の音楽部門教授でもある。
モーツアルトの死後、1806年に英国の女流詩人ジョーン・テイラーが詩集「The Star」を発表、その中で使われたフレーズがこのシャンソンと結びついて、童謡となって普及した。我が国では、大正時代に英語の詩が翻訳され、「きらきら星」の名称が定着した。
また、我が国では、ピアノ教室の発表会などで子供たちがこの曲で腕前を披露するのだが、原曲の繰り返し部分を省略して演奏時間を凡そ半分にしているようだ。でも、この曲はなかなかの技量が必要で、子供達も苦労することだろう。
短縮した演奏の例として
きらきら星変奏曲(モーツァルト)12 Variations K.265 (Mozart)
演奏しているのは、東京芸大出身のピアニスト、前田勝則さん。
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