陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

「スパイ防止法」の早急な制定を願う

2015-03-23 14:40:50 | 国防関連
 我が国は「スパイ天国」と言われ、世界各国の諜報員があまり制約を受けないで自由に活動している。防諜は国防の重要業務であり、国内外のスパイを取り締まることの意義は、今更言を俟たない。近隣周辺国との関係が次第に悪化している昨今、国家機密の漏洩は未然に防止しなければならないのだが、国会議員の関心は極めて薄い。

 1985年、中曽根内閣時代に、自民党の有志が議員立法で「スパイ防止法」を衆議院へ提議した。しかし、同じ自民党の谷垣禎一衆議院議員らの反対によって継続審議となり、最後は廃案になった。スパイ防止法の問題点や歴史については、以下の記事に詳しく述べられている。

スパイ防止法
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%D1%A5%A4%CB%C9%BB%DF%CB%A1

 一昨年(2013)に「特定機密保護法」が成立したが、これは国家公務員の機密守秘義務が中心の法律であり、外国スパイなどを取り締まる内容ではない。インターネットの発達などにより、情報漏洩は中々分かりにくくなっているが、最近大阪で以下のような事件があった。

逮捕の中国人、スパイ活動か 軍・日本企業と接触
産経新聞 3月21日(土)7時55分配信

 長男の外国人登録を虚偽申請したとする外国人登録法違反容疑などで大阪府警に逮捕された中国籍の貿易会社代表取締役の男(62)=大阪市=が、諜報部門を傘下に持つ中国人民解放軍総参謀部と定期的に連絡を取っていたことが20日、捜査関係者への取材で分かった。同時に、軍事転用が可能な技術を持つ機械工業メーカーなど複数の日本企業関係者とも接触していたという。

 警察当局は、男が情報収集活動に携わっていた可能性もあるとみて捜査。その中で、男が「総参謀部に在籍している機関員」との情報も得たという。警察当局は男の自宅や会社などから押収した資料やパソコンを解析し、活動の実態解明に全力を挙げる。

 捜査関係者によると、男は中国内陸部の河南省洛陽にある解放軍系の外国語学院を1970年代に卒業した。専門家によると、この学院は人民解放軍直属で、男が在籍した70年代はスパイ養成学校の性格が強く、外国の軍事情勢を偵察する任務を負う人材を育成していたともされる。

 男は同学院を卒業した後の昭和51(1976)年に初来日し、大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)で日本語を専攻。53年に卒業後、短期滞在で頻繁に来日していたという。

 平成5年以降は、在留資格(人文知識・国際業務)を得て、日本にある知人の会社で働き始め、16年6月、現在の貿易会社(大阪市)の代表取締役に就任した。

 生活拠点は中国に置いていたとみられ、逮捕までの数カ月では、月に1~2回の頻度で来日し、約1週間滞在しては中国に戻る生活を続けていたという。

 警察当局は男の動向を注視していたが、少なくともこの数カ月間で、人民解放軍総参謀部と定期的に連絡を取ると同時に、民間企業の関係者との接触も繰り返していたことが確認されたという。

 男の逮捕容疑は20年10月、長男の外国人登録を新規申請した際、長男は大阪市都島区に住んでいたのに、居住地を東京都江戸川区と偽り、同区の担当職員に記載させたとしている。容疑を認めているという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000099-san-soci


 上記事案は、氷山の一角と思われ、早急な「スパイ防止法」の制定が望まれる。30年前には、この法案に反対していた谷垣自民党幹事長も、今なら考え方を変えることであろう。

 我が国には、専門の諜報機関が無いことも「スパイ防止法」への関心が低い原因と思われる。「集団的自衛権」論議と共に、国防・安全保障の要(かなめ)になる「スパイ防止法」の制定を是非議論して欲しい。
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