10月1日、修正金融安定化法案は上院で審議され、賛成74、反対25で可決された。更に、預金保険金額も10万ドルから25万ドルに上げられた。これも米政府が費用負担する。益々、米国政府の借金は増える。
下院には今週中に再上程して、何としても可決させるのだろう。一旦「経済カタストロフィー」が起きてしまった以上、米国の金融市場は長期に亘って崩壊の道をたどる。この安定化法案つまりポールソン救済案はそれを緩和させるに過ぎないが、この法案を通さなければ崩壊速度は一層早まる。モラル・ハザードを問題にし、自由資本主義の理念に拘っている時間は無い。
ところで、緊急金融安定化で全体救済額を7000億ドル(約74兆円)とポールソン財務長官が決めた根拠はどこにあるのだろうか。問題の発端となったサブプライム・モーゲージの不良債権化した金額だけでも150兆円はあるから、74兆円ではとても足りない。フレディ・マックとファニー・メイの抱える負債額は600兆円弱、ポールソン救済案とは桁が違う。
既に財務省が公表した米金融機関の累積損失は大凡32兆円、それの倍額を見込んで決めた金額なのか。加えて、この巨額をどこから調達するのだろう。急激な増税は出来ないし、グアムやハワイを売り払うには国民のコンセンサスが必要だ。
だから財務省証券=米国債を新たに発行する他は無い。表に出ている日本の米国債保有額は約60兆円、シナはかなりユーロ債に移したと言う事だが、日本政府と同額以上の米国国債を保有しているはずだ。更に上乗せして両国が74兆円分の米国債を購入するのは難しいのではないか。
米上院、金融安定化法案を可決-下院で3日に採決へ(2)
10月1日(ブルームバーグ):米上院は1日、金融安定化法案を可決した。9月29日に下院で否決された後、修正を加えられた同法案は再び下院で採決される。
米金融システムへの信頼回復のため、超党的に調整が進められていた同法案は、賛成74、反対25で可決された。賛成票を投じたのは、民主党議員40人、共和党議員33人、無所属議員1人だった。
ブッシュ大統領は採決前、「現在の状況を沈静化するため、法案の議会通過は非常に重要だ。この法案により、一段の状況悪化を阻止できるし、国民が職や財産を失うのを防げるだろう」と語った。
下院は先月29日、反対228、賛成205で否決。民主党議員の40%と、共和党の約3分の2が反対票を投じた。議会通過には少なくとも12人が賛成に回る必要がある。下院の採決は今月3日の見込み。
金融安定化法案は、金融機関の抱える不良資産を買い入れる権限をポールソン米財務長官に与えることを柱にしており、経営者報酬の制限や、監督機関の設置が盛り込まれている。
「米国の危機」
民主党大統領候補、バラク・オバマ上院議員は同法案をめぐる討議で、「これはウォール街の危機だけにとどまらない。米国の危機なのだ」と指摘した。
上院での修正によって、同法案には預金保険の上限を従来の10万ドルから 25万ドルに引き上げる条項が盛り込まれた。また法人と個人向けの税制優遇措置の2年間の延長も付け加えられた。
米議会予算局(CBO)はこの日、税制優遇措置が金融安定化法案に盛り込まれた場合、向こう5年間の連邦財政赤字が1190億ドル増える可能性があるとの見通しを示した。
民主党のステニー・ホイヤー下院院内総務(メリーランド州)は、税制優遇措置が盛り込まれたことで、同法案に反対する民主党議員が出て来る可能性があると述べた。同院内総務は記者団に対し、「経済の安定化を進めることで財政赤字が拡大するということに憤慨する人もいることは確かだ」と説明した上で、税制優遇措置が盛り込まれたことにより「個人的に失望した」と語った。
一方、ジョン・ベイナー下院共和党院内総務は上院を通過した安定化法案を支持すると語った。
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 城塚 愛也 Aiya Shirotsuka ashirotsuka@bloomberg.net Editor:Keiko Kambara,Joji Mochida
更新日時 : 2008/10/02 11:57 JST
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aYOra4Zz9kUE&refer=jp_home
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