煮詰まって来たビッグスリー救済劇

　再建策を新たに立て直して、上院銀行委員会の公聴会に臨んだビッグスリーの経営者、前回は２５０億ドルの支援を要請していたが、今回は増額して３４０億ドルになった。何でも言う事を聞くから、何とか助けて欲しいと懇願する経営者達は「背水の陣」を構えているように見える。

　３社の内、フォードは少し余裕があるのに加え、同社の会長は自らの報酬を１ドルにすると述べている。だが、ＧＭとクライスラーは、何とかしてくれなければ今月の支払いが持たないと必死の姿勢だ。時事通信によると、

合併も辞さず＝ＧＭ、クライスラー首脳－ビッグ３支援、賛否半ば・議会公聴会

　【ワシントン４日時事】３４０億ドル（約３兆円）のビッグスリー（３大自動車メーカー）支援をめぐる米上院銀行委員会の公聴会で４日午後、ゼネラル・モーターズ（ＧＭ）とクライスラーの首脳は、支援が得られるなら、合併も辞さない考えを示した。ただ、議員の間では、支援への賛否で意見が分かれた。

　政府支援と引き換えにＧＭとクライスラーが合併してはどうかとの、ある議員の提言に対し、ワゴナーＧＭ会長兼最高経営責任者（ＣＥＯ）は「真剣に検討する用意がある」と表明。ナルデリ・クライスラー会長兼ＣＥＯも、両社の合併は８０億－１００億ドルのコスト削減効果があるとの内部検討結果を示し、前向きな姿勢を見せた。（2008/12/05-09:03）
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008120500163


　下院のペロシ議長は、ビッグスリーの再建策に理解を示しているし、ポールソン財務長官も破綻を回避させたいと発言している。だが、上院議員は与野党を問わず支援実行に関して意見が分かれており、簡単に結論を出せない状況だ。

　こうした先行き不透明な状況を反映して、４日のＧＭ株価は１６％下落し、４．１１ドルになった。東京市場も、ビッグスリーの行方がどうなるのか気を揉んでおり、自動車株は勿論、ブレーキ、油圧関係、変速機関係メーカーの株価は冴えない。

　結局は、米国政府と議会は合併促進などを条件にして経営者を交代させ、ビッグスリーの実質的救済を行うと私は想像する。その分、財務省の借金は増え、ビッグスリーは国有化に近い状態になって、米国は益々社会主義国家に変貌するわけだ。