陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

15年ぶりの円高水準:1ドル=83円台

2010-08-25 00:19:58 | 財政・経済問題
 24日午後のマーケットでは、円高一色、円相場は一時1ドル=83円70銭台、1ユーロ=105円40銭台まで上がり、それぞれ15年3カ月ぶりの円高ドル安、8年11カ月ぶりの円高ユーロ安水準を記録した。例によって、輸出に悪影響が出ると踏んだ日経225の終値は1年4カ月ぶりに9000円の大台を割り込んだ。

 日銀も、政策金利が殆どゼロでは円売り/ドル買いオペ位しか打つ手は無いわけだが、ユーロも同時に安くなっているから日本単独の市場介入は効果が少ない。この急激な円の独歩高がどこまで進行するのか、市場関係者も予測しかねている。

 政治の国際的評価は低く、IMFなどが「日本の財政構造は国債発行高がGDPの2倍近くで不健全だ」と批判している。だが、これ程急な円高の推移は、日本の国家的信用が大きいことを意味する。それは、1300兆円~1500兆円とも言われている国内預金残高が裏付けになっているのだろう。

 今回のような急な円高は、輸出関連産業の経営と外為特会(為替差損)に良くない。しかし、それが緩やかであれば、海外製品は安く買えるし、原料輸入代金も減る。海外旅行も大いに楽しめるわけだ。それに、国家の威信も高まる

 米国は、赤字累積が過剰であり、リーマン・ショック以降ドル札を刷り過ぎて、ドルの信認を落とした。ユーロは、共通圏内の国家バランスを無視した結果、PIIGSバブルが崩壊、それが発足した段階の価格1ユーロ=1ドルに回帰しようとしている。リーマン・ショック後の<経済カタストロフィー>は、「通貨パラダイムの転換」を生み出している。

 2008年春にイタリアとドイツを訪れた時、1ユーロ=170円のバブル状態であった。公共交通機関料金、ホテル代金や美術館入館料、それにサンドイッチの値段などを国内価格と比較して考えた時、1ユーロ=115~120円程度が適切でないかと実感した。だから、1ユーロ=110円前後でも当然と個人的には思う。

 ロイターの伝えるところでは、


ドル、対円で15年ぶり安値:識者はこうみる
2010年 08月 24日 19:00 JST


 [東京 24日 ロイター] 外為市場では日本時間午後4時過ぎにドル/円が84.72円を下回り、一時84.58円まで下落し、15年ぶりの安値を更新した。市場関係者のコメントは以下の通り。

●政治のはざまを投機筋がねらい打ち

 <伊藤忠商事チーフエコノミスト 中島精也氏>

 きのうの菅首相・白川日銀総裁の電話会談では新たな政策は打ち出されなかったが、民主党の代表選を控えて政治が動きにくくなっているためだろう。小沢氏が立候補するようなら代表選の行方が不透明になるとみられ、菅首相としても責任を持って日銀への要請ができなかったのではないか。

 小沢氏が立候補するかどうか判明するまで、政策は出にくい。これを投機筋が見透かしてねらい打ちしたことが、ドル85円割れ、日経平均9000円割れの背景だ。

 しかし、政治が動けるようになるまでの間、市場がパニック的な動きになれば、日銀が動かざるを得ない。その場合は新型オペの拡充などで対応することになるだろう。

●日銀の追加緩和は米雇用統計を確認した後に

 <大和総研チーフ為替ストラテジスト 亀岡裕次氏>

 ドル/円の行方を考えるうえで、焦点は8月の米雇用統計。強い数字にはなりそうもないため、これを先取りする意味もあってリスク回避で円が買われている。ただ、事前に調整が進んでいるため、発表後は極端に弱い数字でなければいったん悪材料出尽くしになる可能性もある。

 日銀の追加緩和への期待が強いが、イベント前に政策発動するのはいかがなものか。追加緩和は雇用統計を確認した後とみており、定例の政策決定会合で決まる可能性もあるだろう。それまでは政策を示唆する口先介入で市場を落ち着かせる展開を予想している。ただ、ドル/円の下値には限度があるとみており、85円から大きく下放れることはないだろう。

●「ドル高バイアス」あり、簡単に80円をつける相場ではない

  <東京都民銀行 外為営業部 シニア為替アドバイザー 角田秀三氏>

 現在進行するドル安/円高はクロス円での円買いが主導している。

 ドルが85円台に入る前までは、予想を下回る米景気指標や米国債利回り低下を背景に、ドル安が進行していた。しかし、先々週からは、ユーロ圏で金融緩和が長期化するとの思惑等を背景に、ユーロ安が進行し、ドルは対ユーロ、対豪ドル、対英ポンドなどでは強含んでいる。

 この「ドル高バイアス」のため、円高にはおのずとブレーキがかかり、そう簡単に80円を見る相場ではない。

 現在の円高の急先鋒は、クロス円での円買いで、短期筋もユーロ安の地合いを背景に、ユーロ/円等のクロス円での仕掛け売りを進めやすい(ユーロは24日の欧州序盤で106.11円と9年ぶり安値を更新した)。

 クロス円での円高のスピードがドル/円相場を左右するが、ユーロ/円が105円になったとしても、「ドル高バイアス」が効き、84円を大きく割り込むとは思わない。

●ユーロは100円割れのリスク、ドル/円は米追加緩和なければ深押しせず

 <野村証券 金融市場調査部 外国為替アナリスト 池田雄之輔氏>
 
 ユーロ/円(現在106.70円付近)については、100円を割り込むリスクがあるとみている。米国の景気は循環面で悪化しているが、いずれユーロ圏にも波及すると予想する。さらにユーロ圏は緊縮財政を実施しており、この面からも、ユーロ圏の景気が下振れし、税収が落ち込み、米景気と同じか、もしくはそれ以上に悪くなる可能性が高い。

 ドル/円相場については、米国が目先、追加緩和を実施しないという前提で、80円を割れるリスクは限定的だとみている。日米金利差からも80円を下回るドル/円相場は想定しがたい。

 今夜から来週末にかけて、米住宅指標、米国内総生産(GDP)改定値、ISM景気指数、米雇用統計など指標が目白押しだ。これらが全て発表され、暴風が去ってから、日銀がどう動くかが注目される。ただし、追加的金融緩和は市場に大方織り込まれており、実際日銀が動いたとしても、市場の期待値を下回るかもしれない。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16912620100824?sp=true

(参考)

 急な円高が起き始めた
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/7e0af9dcb1a23cf2c1e77fe7ae21f8a7

 円高に対する一つの見方:実質実行為替レート
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/299729326df0a140cb23665048ae1106

 円高による外為差損の巨額化
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/7cdf9c395df89bbd518d3a855c6beec7
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