陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

顕在化したドバイのバブル破裂

2009-11-29 05:32:59 | 財政・経済問題
 ドバイの金融危機は、既に昨年のリーマン・ショック直後に露呈しつつあった。当ブログでも、約1年前にドバイ危機について少し触れている。
(ドバイを襲う金融危機)
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/e243e61b97261f51934962e28a68a593

 今春からのG20による協調行動の中で、主として欧州勢がドバイへ資金供給を続けていたと見られるが、ここに来てドバイ政府系企業の破綻が明らかになった。

 それを知った世界の株式市場は、一斉に値を下げ、一日遅れてニューヨーク株式もー154ドルを越す暴落となった。ドバイが招いた経済的混乱はなお続いており、デフォルト総額は一体幾らになるのか、判然としない。下記のブルームバーグ記事(「フジサンケイビジネスーi」からの引用)では、リスク総額400億ドルとなっているが、後にそれは800ー900億ドルに修正された。

 我が国関連では、ゼネコンを中心に90億ドル=8000億円の投資損失が見込まれるようで影響は極めて大きく、日経平均の建設株は軒並み低落している。この<ドバイ・ショック>は為替にも波及し、ユーロもドルも売られた結果、一時的ではあるが、円の独歩高を生み出した。

 「鳩山不況」が進行中の我が国であるが、<ドバイ・ショック>に対して鳩山政権は無策のまま過ごすのであろうか。


欧州銀、リスク最大400億ドル ドバイ危機 世界に混乱広がる
2009/11/28

 アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドの債務返済延期要請を受け、世界の金融機関が新たに損失を抱える懸念が出てきた。震源地のドバイやペルシャ湾岸諸国でも混乱の拡大が懸念されている。

◆「最悪でも管理可能」

 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、米金融大手シティグループと英バークレイズ、ドイツ銀行、クレディ・スイスは26日、債務繰り延べ要請を行ったドバイ・ワールド関連のリスク資産はわずかだと非公式に説明したという。

 しかし、業界アナリストはドバイの経済情勢の悪化に伴い、数十億ドル規模の損失が発生する可能性があると分析。同紙がクレディ・スイスの資料を基に報じたところではドバイの政府系企業体が発行した債券への欧州の金融機関のリスク資産は最大400億ドル(約3兆4380億円)に上る可能性がある。アナリストによれば、これはドバイ全体の債務800億ドルの半分。ドバイ・ワールドだけで約600億ドルの債務を抱えている。

 クレディ・スイスによれば欧州金融機関はドバイに対するリスク投資推定額の50%が失われた場合、2010年に貸倒引当金の5%増に相当する税引き後で約50億ユーロ(約6400億円)の負担を強いられる恐れがあるという。

 また、米ゴールドマン・サックスは27日の調査リポートで、融資の焦げ付きや商業用不動産関連の損失予想についてそれぞれ英HSBCが6億1100万ドル、スタンダード銀が1億7700万ドルと試算。「最悪のシナリオ下でも管理可能」と分析した。

 一方、ゴールドマン・サックスは27日のリポートで三菱UFJフィナンシャル・グループとみずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの邦銀3行が受ける可能性のある損失は「管理可能な水準」との見方を示した。

◆5年債起債見送り

 UAEや周辺国にも動揺が広がっている。UAEの銀行3位、アブダビ・コマーシャル・バンクは、ドバイ・ワールド向けに約19億ドルの債権を抱えており、ドバイ以外では最大の債権者とみられることが、事情に詳しい関係者2人の話で明らかになった。同行のエライカット最高経営責任者(CEO)は「ドバイ・ワールドと連絡を取っている。27日と26日に2回以上協議した」と述べた。

 また、アラブ諸国6カ国の政府が保有するガルフ国際銀行(GIB、バーレーン)はドバイ・ワールドの債務返済延期を受け、5年債の起債を見送った。関係者は、GIBが5億ドル相当のドル建て債をスワップ金利に2.5%上乗せした利回りで発行する計画だと述べていた。

 UBSのアナリスト、サウド・マスド氏によるとドバイ・ワールド傘下の開発会社ナキールは不動産開発事業継続に資金20億ドルが必要で、調達できなければ新たなデフォルト(債務不履行)が発生する可能性がある。(Chris Bourke)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200911280031a.nwc


 上記記事は、次のように部分訂正された。

ドバイの債務、投資家想定の900億ドルを上回る公算-UBS(訂正)

(27日午後9時19分送信の記事、見出しと第1段落、第2段落の数字を800億-900億ドルに訂正します) 11月27日(ブルームバーグ):

 UBSは、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の債務が、投資家が想定している800億-900億ドル(約6兆9000億-7兆8000億円)を上回っている可能性があるとの見方を示した。

 UBSのアナリスト、ザウド・マスード氏は26日のリポートで、「恐らくドバイの債務には相当額の簿外債務が含まれている。従って負債総額は現時点までに想定されている800億-900億ドルを上回っているとみられる」とし、「これは、ドバイ政府の最近数週間のソブリン債発行は今後の償還期限に対応するのに不十分だということを示唆する」と分析した。

 ドバイは最大200億ドルの債券発行の計画を示していた。25日には590億ドルの債務を抱える政府系投資会社ドバイ・ワールドが社債償還期限の延期を交渉する間の「スタンドスティル(停止)」合意を債権者に求めた。ドバイ・ワールドの債務のうち、傘下の不動産開発部門ナキールのイスラム債35億2000万ドル相当は12月14日に返済期限を迎える。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920013&sid=anFvuGeUCXCw
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