Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

笑って生きる知恵

2011年07月27日 | Weblog

                       

エリコ・ロウ(Eriko Rowe)の「アメリカ・インディアン笑って生きる知恵」を読んだ。いずれの世界に於いても、その土地に元々住んでいた土着の民族は他所からやってきた強大な武力をもつ他民族に祖先伝来の土地を奪われ、殺され固有の伝統文化を破壊されるといった歴史を多かれ少なかれもっている。

北米も例外ではなく、ヨーロッパからやってきた白人がアメリカ・インディアンの全ての土地を奪い取って強大なアメリカ合衆国をつくり、今尚インディアンたちを不毛の砂漠地帯に押し込めて過酷な生活を強いている。

この本は、土着のアメリカ・インディアンを文化レベルの低い野蛮人として扱ってきた白人の驕りを喝破し、物質的豊かさだけのために汲々として人間としての魂を失っている白人のほうが実は野蛮人であって、自然を敬い大地を傷つけない、地球に優しい生き方を過去1000年に亘って守ってきたインディアンは素晴らしい伝統文化を持つ民族だということを伝えている。

著者は数年間に亘ってインディアン居住地を訪ねて彼等の生活、考え方、価値観をつぶさに調べ、過去500年の間迫害と逆境を乗り越えて生きてきた民族の逞しさ、したたかさを実感してきたそうである。
人口の9割を失い、不毛の僻地で貧困のどん底に追いやられ、伝統文化も信仰も奪われた人々にとって唯一残された「笑い」が精神の拠り所となってようやく生き残れた、というのが彼女の得た結論だ。

歴史的に酷い迫害を受けてきた民族はアメリカ・インディアンに限らないけれど、彼等にとって一つだけ幸運だったのは、彼等の社会に笑いを尊重し、笑いで心を通わせることを神聖な行為とみなす習慣があったことだという。

本書の前書きに象徴的な彼等のジョークが載っていた。

               *  *  *  *  *  *  *
米航空宇宙局(NASA)が生命探査プロジェクトの一環として世界中の言語で異星人に友好のメッセージを送ることにした。ナバホ語の挨拶も収録したいと、NASAがわざわざアリゾナの北部に住むナバホ族の長老のところにもやってきたので、長老は快諾、挨拶の言葉を述べた。世界の民族からの挨拶を収録したCDは宇宙船に載せて打ち上げられた。宇宙に向けた人類からのメッセージは地球にもCNNでライブ中継された。それを聞いてアリゾナの北部から爆笑のどよめきが起こった。

「お~い、宇宙人、このメッセージが聞えたら、返事はせずに、いないふりをしろよー。白人に居所を知らせようものなら、呼びもしないのに食事にやってきて、そのまま居つかれてしまうぞ」

と長老は宇宙人に挨拶していたのだ・・・(笑)

                   



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2 コメント

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Unknown (Jin)
2011-07-29 09:38:08
おっ・・、ランクを上げましたなあ。
此方相変らず時代小説・・・
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Unknown (Ed)
2011-08-01 10:00:53
これも頂いた本です^^!

なかなか興味深い内容でした。
今日持って行きます。
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