Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

生きる

2011年07月31日 | Weblog

            

NHK・BSでヒューマン・ドキュメント「ある少女の選択・・・”いのち”」という番組を観た。田島華子さん(18歳)の最期の2年間を追った「いのち」の記録である。

華ちゃんは重い心臓病を持って生まれた女の子で、7歳の時多くの人達の善意に助けられてドイツで心臓の移植手術を受けた。手術は成功し、彼女は一命をとりとめたが担当の医者から「10年生きることを目指そう」と云われる。帰国後彼女は主治医と相談の上、人工呼吸器を使って自宅療養する道を選んだ。華ちゃんは不自由な体も苦にせず、明るく家族3人で普通の生活が出来ることを喜び、そのことを大切にした。

心臓移植から10年、17歳になった華ちゃんはあるとき心理学の野口先生と知り合い、心を通わせるようになる。野口先生は自分の一人娘陽子さんをやはり7歳のとき呼吸器の難病で亡くしており、華ちゃんが自分の娘と重ね合わさって見えたのかもしれない。

            

華ちゃんは自分の親にも相談できないような心のうちを野口先生にだけは素直に全てさらけ出すことができた。去年3月自宅で高校の卒業式をしてみんなに祝ってもらった。野口先生には「ドイツ人の子の心臓をもらい、生きることに責任感みたいな感じもある。10年経って私はこれから丁寧に生きることを目指す」とメールで書き送った。

5月、手足にむくみが出た。診断の結果腎不全と判り、主治医から人工透析が必要だと宣告される。しかし華ちゃんはどうしても透析をしないと拒み続ける。悲しむ両親。7月末華ちゃんは大好きな海が見えるところへ両親と一泊の旅に出た。そこで海の青、木々の緑、潮の香り、湿った空気、優しい人の匂い、など等全てのことが感性の鋭くなった彼女の心に残った。

            

父親は主治医を交えて華ちゃんに人工透析をさせようと最期の説得を試みるが、父親の気持ちを理解しながらも自分の意思を曲げることはなかった。「私はもっと生きたい。だけど自分らしく生きたい」と。

8月末肺炎にかかり、9月14日両親の腕の中で華ちゃんは静かに息を引き取った。いのちは長さではない、どう生きるかだと思う・・・という言葉を残して。

                   

               * * * * * * * *

重い課題ですが、やがて誰にもその時がやってくるという意味で、とても考えさせられました。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿