Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

戦争

2011年08月25日 | Weblog

            

96歳のジャーナリスト「むのたけじ」さんの”戦争のない社会の実現”(NHK・BSP)を観た。対談相手がアナウンサーの有働さんでは少々物足りなかったけれど、むのさんの実体験を通して語る話には一つひとつ重みがある。

朝日の従軍記者として戦地へ赴き、死を覚悟して取材活動をしながら、戦争の理不尽で真実が報道できなかった無念さとジャーナリストとしての反省から、終戦後記者を辞めて故郷へ帰った。そこで再び、戦後初めてのゼネストをめぐって占領軍の理不尽と横暴を見て、同じ過ちを犯せないと奮起、地元新聞「たいまつ」を発刊、30年間に亘って地方から権力への監視と批判を続けてきた。彼は日本の大マスコミが戦時中、揃って軍指導部の報道機関としての役割しかしてこなかったという思いから、新聞は本来地方から草の根のように広がって行くべきもの信じて、苦しい生活の中で家族の協力を得ながら「たいまつ」を発行し続けた。

「戦争というものは一旦始まってしまえばもう押し留めようはなく、人間の理性などは時勢の流れにむなしく押し流されてしまう。だから戦争を本当になくそうと望むなら、戦争がはじまらないようにしなければならない」というむのさんの意見には、強い説得力を感じた。

もう一つ関心させられたことは、相手が子供とか大人とか男女とかで区別せず、一個の人間として接するように努めているということだった。有働さんが「今の若いひとたちは自分たちと違う・・・」というようなことを云ったとき、むのさんは「それは違う!」と言下に否定した。「それはあなた自身が大人の目線で話しているからではないかと思う」といった。今の若い人たちや子供たちと直かに話していると年齢の差を気にせず友達のように話してくれる、とむのさんはいう。それは、つまりむのさんが小さな子供でも”まだ子供だから”などと考えず、一個の人間として尊敬しながら接しているからだという。

本当に立派な若々しい人だと感じた。