Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

親鸞

2011年08月21日 | Weblog

                    

遅まきながら五木寛之の「親鸞」を読み始めた。先日図書館へ行った折見つけた一冊だが、「上」しか見当たらず取りあえず「上」を借りた。面白かったら「下」はあとで探せば良いやと思っていたのだが、読み始めたら引き込まれた。

親鸞は鎌倉時代前半に生きた僧で浄土真宗の宗祖、中世日本の思想家ともいうべき人物らしい。自伝的著書が無く未だ研究中で諸説あるためその生涯については不明確なところが多いという。龍谷大学で仏教学を学び広く海外まで脚を伸ばして文献を調べた作家は、存分にその想像力を働かせて親鸞の実像に迫ろうとしたのではないだろうか。

吉本隆明氏と糸井重里の対談(ほぼ日刊イトイ新聞)によると、親鸞は僧の戒律などは端から守らず破戒僧のごとく振る舞い、普通のひとのすることは何でもやった。彼は800年も昔に「どうせ坊主は普通の人と同じようになるだろう」と洞察していた。そのことは今の坊主を見れば自ずと知れる、つまり魚を食い、妻帯し、子を生み、酒を飲む。その意味において何世紀にも亘って通用する考えを持った人間はマルクスと親鸞くらいだろうと、吉本氏はいう。親鸞の師である法然は「念仏を唱えよ、死ねば誰でも浄土に行ける」と説いたが、親鸞はそうではないと思った。親鸞は寺も仏像も戒律もお経も、何も要らない、皆が集まって世間話が出来るところさえあればよいと考えた。死んだら浄土へ行けるなんて嘘で、宗教(浄土教)のほうから普通のひとの生活に近づくべきだ、という思想だった。浄土真宗の教義の根本を成す考えだったとか。

上・下読み終えたらまた感想を書いてみたい。