テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 巨人の夢 ~

2024-08-20 22:03:00 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 なぜかァ、ちょうざめェ!」

「がるる!ぐるるるがぅるるる?」(←訳:虎です!どうしてチョウザメ?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日8月20日の満月は《スタージョン・ムーン》、

 アメリカの先住民さんたちがチョウザメ(スタージョン)の豊漁を願い、

 この時期の満月にチョウザメの名を冠したのだそうです。

 美しいスーパームーンが観測できるよう願いつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

             ―― われは熊楠 ――

 

 

 著者は岩井圭也(いわい・けいや)さん、

 2024年5月に発行されました。

 第171回直木賞候補にも上った話題作!ですね。

 

「でんせつのォ、きょじんッ!」

「ぐるがるるぐるる……!」(←訳:あの御方が主人公……!)

 

 南方熊楠(みなかた・くまぐす)さん(1867~1941)。

 

 博物学者、生物学者、民俗学者……というレッテルなど、

 日本最大の《知の巨人》にとっては

 無意味、と申せましょうか。

 熊楠さんの興味の対象は、

 この宇宙の、あらゆるできごと。

 

 しかし、《学問》という広野へ、

 日々猪突猛進する熊楠さんの生き方が

 明治の日本でホイホイと理解されようはずもなく。

 

「まいにちィ、しょうとつゥ?」

「がるぐる~…」(←訳:毎日困惑~…)

 

 熊楠さん自身も、少なからず困惑してしまう

 自分の生き方。

 

 少年時代から、和歌山や東京での学生時代、

 アメリカ時代はちょっと飛ばして、

 ロンドン時代、そして帰国後、と

 著者・岩井さんは熊楠さんの生涯を

 熱く綴ってゆきます。

 

 パイオニアであること――

 まだ誰も踏み入っていない、

 道も地図もない未知未開の地へ、

 独り、伐り込んでゆくこと。

 

 そこにあるのは、知る喜びと

 衝突、摩擦、軋轢、はてのない労苦。

 ときとして熊楠さんでさえ

 圧し潰されそうになるほどの、不安。

 

「でもォ、たまにはァ~あるんでスゥ!」

「ぐるるる!」(←訳:光輝の日!)

 

 昭和4年(1929年)6月1日、

 熊楠さんは昭和天皇への標本進献上と御進講に臨みました。

 それは、熊楠さんに、いえ、熊楠さんと御家族にとって

 一代の誉(ほまれ)であったに違いありませんが

 (以下、私ネーさの妄想です)。

 

 昭和天皇のお心は、揺れていたかもしれません。

 

 学問をすること。

 思いっきり学問に浸ること。

 何にも縛られず、自由に学び、究めること。

 天皇という地位にあっては、

 それは決して許されない。

 現に、粘菌や植物や和歌山の島やら、

 面白さ無類の熊楠さんの話も

 ほんの半時間しか聴けないとは。

 

 なんと眩しい。

 なんと羨ましい。

 

「じゆうなァ、がくもんッ!」

「がるるるぐる!」(←訳:それこそ宝物!)

 

 すべてを知り、

 己を知るための、

 はてない学び。

 

 池田学さんによるカバー装画も素晴らしい力作を、

 全活字マニアの皆さま、ぜひ~!

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ~ モフモフは、なぜ…? ~ | トップ | ~ 風雲急な、ティータイム ~ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブックス」カテゴリの最新記事