テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 万里を読み解く ~

2021-04-09 22:52:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むむむッ! おみごとォなのでスゥ~!」
「がるる!ぐるるっるる!」(←訳:虎です!やり切った感!)

 こんにちは、ネーさです。
 いやー、ポカリスエットの新CM
 『でも君が見えた』が素晴らしくて!
 CGなしのセット撮影は、さながら
 《ポカリ版・不思議の国のアリス》といった趣きですよ♪
 監督の柳沢翔さん&スタッフさんに
 全力で拍手を送りながら、
 さあ、ここからは読書タイムです。
 本日は、こちらのミステリ作品を、どうぞ~!





   ―― お電話かわりました名探偵です ――



 著者は佐藤青南(さとう・せいなん)さん、
 2020年12月に発行されました。

「りりりりィ~んッ!」
「ぐるがるるぐるがるる?」(←訳:事件ですか事故ですか?)

 電話の着信音が響き、
 緊迫した受け答えが交わされるここは、
 Z県警本部の、通信指令室。

 そう、Z県民さんが、
 たいへんだ!110番しなくちゃ!
 と通報する場合、
 かけた電話に応答してくれるのは、
 通信指令室に詰めている警官さん、
 なんですね。

「にじゅうよじかんッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:いつでも対応!)

 市民にとってはまことにありがたく、
 頼もしい存在でもある
 警察本部の通信指令室。

 そこは、警察官さんにとっても
 憧れの部署であるようです。

 物語の語り手である《僕》こと
 早乙女廉(さおとめ・れん)さんは、
 県警本部通信指令課への転属が決まったとき、
 喜びと緊張で
 身震いがした程だったといいますから。

「ふァ? みぶるいィ?」
「ぐるがる~?」(←訳:なにゆえ~?)

 実はね、
 通信指令課には
 “伝説“があるんですって。

 通常、
 事件の捜査が動き出すのは、
 110番通報を受けて状況を把握し、
 適切な人員と車両を確保して、
 捜査員さんが現場に到着して……と、
 幾重ものプロセスを経てのち、
 のことですが。

 Z県警の通信指令室には、

 指令室から一歩も出ずに、
 通報者から聴取した情報のみで
 事件の真相を見抜いてしまう猛者がいる――

 ひと呼んで、
 《万里眼(まんりがん)》。

「せんりがんのォ、うえをォゆくゥ?」
「がるる!」(←訳:万里眼!)

 通信指令室での任務に就いて
 まだ半年、
 課内では新人扱いされている早乙女さんは、
 当然ながら
 《万里眼》ではありません。

 けれど、
 指令室に通報が、
 それもとびきり奇妙な事件の通報が入るや、
 《万里眼》が現われることを
 既に知っています。

 ほぉら、今日も来ましたよ。

「もしもしィ!
 いえがァ、ぬすまれェましたァ!」
「ぐるるるるがるぐる!」(←訳:お巡りさん早く来て!)

 いや、そう言われても、
 と早乙女さんは困惑します。

 いえがぬすまれた、って。

 いえ、って、家?

 家を盗むって、
 そんなに簡単に盗めるものなの? 
 家って?

「うゥ~むむッ?」
「がるっるるぐる~?」(←訳:無理っぽいよね~?)

 言葉に窮する早乙女さん。
 と、そのとき。
 早乙女さんの横に、
 腕がのびてきた……?

「しんうちィ、とうじょうゥ!」
「ぐるるるるる!(←訳:万里眼さんだ!)

 家が盗まれた。

 そのたった一言から、
 《万里眼》さんは真相を掴めるのでしょうか?

「そのォおてなみィはァ~…」
「がるぐる!」(←訳:評判通り!)

 30秒や60秒の中に世界を構築するのが
 TVCMだとするなら、
 わずかなページ数の中で
 予想外の展開や解答を見せてくれるのが
 短編ミステリの醍醐味ですね。

 CASE1からCASE5まで、
 5つの連作短篇から成る
 新奇な安楽椅子探偵型ミステリは、
 ミステリ好きさんに
 おすすめの文庫書き下ろし作品です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいな~♪
 
 
 
 
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