テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ヒトとイヌが歩めば。

2016-03-29 22:03:00 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うゥむゥ、さくらもォいいけどォ~」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!水仙もいい!)

 こんにちは、ネーさです。
 ソメイヨシノの華やかさに目を奪われがちなこの季節ですが、
 路地に何気なく咲いているスイセンの美しさも格別ですね。
 春だ!と身に沁みて感じた本日の読書タイムは、
 サクラの華も、スイセンの美も持ち合わせる
 話題のノンフィクション作品に登場いただきましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪
 
  



    ―― ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた ――



 著者はパット・シップマンさん、原著は2015年に、
 画像の日本語版は2015年12月に発行されました。
 英語原題は『THE INVADERS:How Humans and Their Dogs Drove Neanderthals to Extinction』、
 前回記事では山岳救助イヌたちが活躍する小説作品
 『ブロッケンの悪魔』を御紹介しましたけれども、
 ええ、ここで“ワンコつながり”発動です。

 この御本で、主役とも準主役ともいえる
 重要な役どころを務めるのは、
 現代のイヌたちの祖先――

 オオカミです。

「がるるッ! くまのォ、てきィでス!」
「ぐるるがるぐるっ!」(←訳:虎とも仲が悪いっ!)

 そうね、
 ペンシルヴァニア州立大学名誉教授にして
 古人類学の専門家である著者・シップマンさんも
 同じように考えたのかもしれません。

 もしも、現生人類の祖先が、
 野生の生物たちと仲がよろしくない=天敵である存在と
 生活をともにしたら?

 そこに何が起こるのか?

「えーとォ、たぶんッ?」
「がるる?」(←訳:大変動?)

 2009年、
 シップマンさんは或る論文に興味を惹かれました。

 イヌの家畜化が始まったのは、
 約3万2000年前のことだと示唆する報告――

 イヌの家畜化は
 およそ1万4000年前あたりから始まった、
 と考えられていたそれまでの学説を覆す、
 衝撃的な論文でした。

「たしかにィ、しょうげきてきィ!」
「ぐるるがるるるるぅ!」(←訳:数字が違いすぎるぅ!)

 イヌの祖先とされるオオカミイヌが
 早くから現生人類の祖と共生していた事実は、
 他の学説をも変え得るかもしれない……

 ヒトの祖とイヌの祖が手を組めば、
 周辺の生態系に影響を与えないはずはない、のだから。

「でスよねッ!」
「がっるぐるるがるる!」(←訳:きっと何かが変わる!)

 先日ご紹介した『ネアンデルタール人は私たちと交配した』でも
 論じられていましたように、現在、
 現生人類とネアンデルタール人の生存が
 重なる時代・場所があったのは確実とされています。

 現生人類とネアンデルタール人の共存は、
 なぜ、適わなかったのか――

 シップマンさんが考えたのは
 “侵入”という事象です。

 御本の原題にもなっている侵入者……
 『THE INVADERS』とは、
 ヒトか、
 イヌか、
 或いは他の生物や、
 何らかの現象なのか。

「まだまだァつづくゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:真相解明!)

 昨今の古生物学や考古学は、
 物理や数学よりも猛スピードで突き進んでいるようです。
 
 なぜヒトは生き残り、
 なぜネアンデルタール人は絶滅したのか。
 そこにイヌは、どう関与したのか。

 いや、絶滅ではなく融和だったのか?
 今後、ゲノムや遺伝子の研究は、
 私たちにどんな事実を教えてくれるのか?

「さッぱりィ、よそうできませんッ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:何でもありそう!)

 ミステリ小説よりも謎に満ちたこの御本、
 スパイ小説好きさんにもおすすめしたいほど
 緊迫度がひしひし!
 スリル&サスペンスがお好きな方々も、
 ぜひ、一読を♪
 

 
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