「こんにちわッ、テディちゃでス!
とうきゅうゥさァ~んッ!」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!寂しいですよ~!)
こんにちは、ネーさです。
渋谷の東急百貨店本店が明日1/31で閉店、
Bunkamuraも営業は4/9まで、となりました。
百貨店へはお友達と一緒に何度も行ったし、
ミュージアムやギャラリーにも通ったわ……
惜別と感謝の想いを送りながら、
さあ、ここからは読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 首ざむらい ――
著者は由原かのん さん、2022年11月に発行されました。
『世にも奇妙な江戸物語』と副題が付されています。
「ぎゃわッ! くびィ~?!?」
「ぐるっるがる!?」(←訳:これって生首~?)
御本に表紙に描かれているのは、
おおお、首です!
生首を手にした若いお侍さんです!
……が、どうにも様子がヘンですね。
お侍さんは、慌てた素振りをしているものの、
緊迫感はありません。
表情も、困ったような、迷っているような……?
はい、もちろんこれにはワケがあります。
深ぁ~い複雑な仔細が。
「じだいはァ、えェ~とォ?」
「がるるぐる!」(←訳:江戸の初期!)
“江戸”と呼ばれる都市が
東国に拓かれて、まだ数十年。
はるか西の大阪では
堀は埋められてしまったけれど、
依然として豊臣のお城が聳え立っている――
ちょうど、そんな頃のこと。
池山小平太(いけやま・こへいた)さんは、
江戸から大阪へ向かうべく、
うんしょ、こらしょ、と歩いておりました。
年若い小平太さん、武士ではあれど、
いわゆる“浪々の身”……浪人さんです。
浪人が大阪へ向かう、なんて、
それだけで怪しまれ、
徳川方の武士から警戒されてしまう世情ですのに、
小平太さんが敢えて旅をしているのには
理由がありました。
叔父さんに、会う。
大阪城にいるという、
叔父さんに会って、江戸に連れてくるのだ。
「ええッ? それはァ、ちょッとォ~」
「ぐるるるる?」(←訳:危なくない?)
危ないよなあ、と小平太さんも思うのです。
しかし、父を喪った後、
自分を育ててくれた母に頼まれては
イヤだとは言えず。
そして、小平太さんの不安は的中します。
江戸から出たこともない小平太さんにとって、
西国への旅はキツすぎる……!
騙されるし、
刀は盗まれるし、
奇怪な生首は飛んでくるし……!!
「ぎゃわわわァ! たすけてッ!」
「がるるぐる!」(←訳:化け物だあ!)
それを、化け物というべきか否か。
どう見ても生首……なんですけどね、
まばたきパチパチ?
にっかり笑う?
意思の疎通もできる?
ってことは……生きている?
「ふああァ?」
「ぐるがる~!」(←訳:意味不明~!)
化け物もどきの生首なぞ放っておいて、
小平太さんは先を急ぎ……急ぎ……いえ、やはり無理。
見捨てる?
山中に打ち捨てる?
ヒトのいい小平太さん、心無い仕打ちは出来ません。
こうなったら、仕方ない、
一緒に大阪へ行っちゃうか!
「だだだッ、だいじょうぶゥ?」
「がるるぐる!」(←訳:風雲急だよ!)
いよいよ風前の灯火かと囁かれる豊臣の城と、
小平太さんと、生首のお侍さん。
小平太さんに活路はあるのか、
そして、お城の運命は。
この御本には、
『首ざむらい』
『よもぎの心』
『胡蝶の夢』
『ねこまた』
の4作品が収録されておりますが、
第99回オール読物新人賞受賞作である表題作品
『首ざむらい』は、
いやもう拍手拍手!
すぐにも映像化していただきたくなる快作ですよ。
時代もの&歴史もの好きな方々は、
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪