テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 旅を、希望と滅びの城へ ~

2023-01-30 21:45:12 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 とうきゅうゥさァ~んッ!」

「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!寂しいですよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 渋谷の東急百貨店本店が明日1/31で閉店、

 Bunkamuraも営業は4/9まで、となりました。

 百貨店へはお友達と一緒に何度も行ったし、

 ミュージアムやギャラリーにも通ったわ……

 惜別と感謝の想いを送りながら、

 さあ、ここからは読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 首ざむらい ――

 

 

 著者は由原かのん さん、2022年11月に発行されました。

 『世にも奇妙な江戸物語』と副題が付されています。

 

「ぎゃわッ! くびィ~?!?」

「ぐるっるがる!?」(←訳:これって生首~?)

 

 御本に表紙に描かれているのは、

 おおお、首です!

 生首を手にした若いお侍さんです!

 

 ……が、どうにも様子がヘンですね。

 お侍さんは、慌てた素振りをしているものの、

 緊迫感はありません。

 表情も、困ったような、迷っているような……?

 

 はい、もちろんこれにはワケがあります。

 深ぁ~い複雑な仔細が。

 

「じだいはァ、えェ~とォ?」

「がるるぐる!」(←訳:江戸の初期!)

 

 “江戸”と呼ばれる都市が

 東国に拓かれて、まだ数十年。

 はるか西の大阪では

 堀は埋められてしまったけれど、

 依然として豊臣のお城が聳え立っている――

 ちょうど、そんな頃のこと。

 

 池山小平太(いけやま・こへいた)さんは、

 江戸から大阪へ向かうべく、

 うんしょ、こらしょ、と歩いておりました。

 

 年若い小平太さん、武士ではあれど、

 いわゆる“浪々の身”……浪人さんです。

 

 浪人が大阪へ向かう、なんて、

 それだけで怪しまれ、

 徳川方の武士から警戒されてしまう世情ですのに、

 小平太さんが敢えて旅をしているのには

 理由がありました。

 

   叔父さんに、会う。

   大阪城にいるという、

   叔父さんに会って、江戸に連れてくるのだ。

 

「ええッ? それはァ、ちょッとォ~」

「ぐるるるる?」(←訳:危なくない?)

 

 危ないよなあ、と小平太さんも思うのです。

 しかし、父を喪った後、

 自分を育ててくれた母に頼まれては

 イヤだとは言えず。

 

 そして、小平太さんの不安は的中します。

 江戸から出たこともない小平太さんにとって、

 西国への旅はキツすぎる……!

 騙されるし、

 刀は盗まれるし、

 奇怪な生首は飛んでくるし……!!

 

「ぎゃわわわァ! たすけてッ!」

「がるるぐる!」(←訳:化け物だあ!)

 

 それを、化け物というべきか否か。

 

 どう見ても生首……なんですけどね、

 まばたきパチパチ?

 にっかり笑う?

 意思の疎通もできる?

 ってことは……生きている?

 

「ふああァ?」

「ぐるがる~!」(←訳:意味不明~!)

 

 化け物もどきの生首なぞ放っておいて、

 小平太さんは先を急ぎ……急ぎ……いえ、やはり無理。

 

 見捨てる? 

 山中に打ち捨てる?

 ヒトのいい小平太さん、心無い仕打ちは出来ません。

 

 こうなったら、仕方ない、

 一緒に大阪へ行っちゃうか!

 

「だだだッ、だいじょうぶゥ?」

「がるるぐる!」(←訳:風雲急だよ!)

 

 いよいよ風前の灯火かと囁かれる豊臣の城と、

 小平太さんと、生首のお侍さん。

 

 小平太さんに活路はあるのか、

 そして、お城の運命は。

 

 この御本には、

 『首ざむらい』

 『よもぎの心』

 『胡蝶の夢』

 『ねこまた』

 の4作品が収録されておりますが、

 第99回オール読物新人賞受賞作である表題作品

 『首ざむらい』は、

 いやもう拍手拍手!

 すぐにも映像化していただきたくなる快作ですよ。

 時代もの&歴史もの好きな方々は、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ~ 情熱&胸熱の パイオニア... | トップ | ~ 童話世界の《スター旅日... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブックス」カテゴリの最新記事