テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《家族》は、どこへ ~

2024-10-03 22:03:08 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 じわじわァ~はろうィ~んッ!」

「がるる!ぐるるるるがっるる!」(←訳:虎です!オレンジ色がいっぱい!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 10月に入って、お店のディスプレイが

 本気のハロウィンモードに変わりましたね。

 揺れるカボチャ型バルーンの愛らしさにうっとりしつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 幸せな家族 ――

 

 

 著者は鈴木悦夫(すずき・えつお)さん、

 初刊単行本は1989年に、

 画像の文庫版は2023年9月に発行されました。

 『そしてその頃はやった唄』と副題が付されています。

 

「うぐぐゥ! でんせつのォ、いッさつゥ!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:いろんな意味で!)

 

 ええ、今回ご紹介する作品は、

 良くも悪くも”伝説“を背負っています。

 

 1989年に刊行された当時、

 この御本はジュブナイル・ミステリとして

 世に出ました。

 

 ジュブナイル――

 つまり、主な読者は少年少女さんであった訳ですが、

 児童書とは思えないヘヴィな内容に

 驚愕する読者さんが続出し、

 ”トラウマ本”扱いされたためでしょうか、

 長い間、入手困難となっていました。

 

 それが、ちょうど1年前、

 文庫で復刊されると、

 今度はオトナな読者層にヒットして、

 5万部超の売れ行きを記録!

 

「ふしぎなァ~なりゆきィでスゥ!」

「がるるるっるぐる~…!」(←訳:ドラマチックだね~…!)

 

 物語の核になるのは、

 或る家族です。

 

 写真家の、父・中道勇一郎(なかみち・ゆういちろう)さん。

 母の由美子(ゆみこ)さん。

 長女の一美(かずみ)さん、高校2年生。

 長男の行一(こういち)くん、中学2年生。

 次男の省一(しょういち)くん、小学6年生。

 

 雪がほろほろと降る3月、

 一家は、新しい家へと引越しをします。

 写真の仕事に使えるスタジオも備えた、

 大きな家。

 

 引っ越しと同時に、

 保険会社のTVCM《幸せな家族》の

 モデルにも選ばれて、

 公私ともに順風満帆、のように見えます、が……。

 

「あううううゥ~…!」

「ぐるるがる?」(←訳:突然の暗転?)

 

 《幸せな家族》には不似合いな

 怖ろしい出来事が起こり、

 世間は震撼します。

 

 しかもそれは一度に留まらず、

 二度、三度と……。

 

「しッ、しんじィられませんッ!」

「がるるぐぅるるるる?」(←訳:これがジュブナイル?)

 

 《幸せな家族》とは

 いったい何であったのか――

 

 ちょっとだけネタバラししちゃいますと、

 この物語は、

 A・クリスティーさんの

 あの名作や、あの問題作から、

 明らかに影響を受けています。

 

 ただ、影響を受けつつも、

 能天気なパロディーやパスティーシュ、

 短絡的なオマージュとも違い、

 より深みを、

 いえ、より暗黒を目指している、

 とでも形容すべきでしょうか。

 

 悪夢なのか、現実なのか。

 なるほど、これはトラウマになっちゃうかも……と

 読後に嘆息させられる怪作を、

 ミステリ好きな活字マニアの皆さま、

 ぜひ!!

 

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