テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 夕暮の異郷 ―

2015-08-27 21:40:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 おおッ♪ きょうのォ、しゅやくさんはァ~♪」
「がるる!ぐるがるるー!」(←訳:虎です!美男さんだー!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、本日の読書タイムは、
 お芝居をテーマにしたフォトブックを御紹介いたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  



              ―― 動く森 ――



 著者は佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ)さん、撮影は福山楡青さん、
 2015年7月に発行されました。
 『――スコットランド《マクベス》紀行』と日本語副題が、
 『 A MOVING GROVE 』と英語題名が付されています。

 動く森、と聞けば、
 お芝居好きな御方は副題を目にする前に
 もう分かっちゃいますよね、
 ウィリアム・シェイクスピアさんの戯曲――『マクベス』。

「ふァいッ! テディちゃ、しッてるのでス!
 ひげきィ、なのでス!」
「ぐるがるるるー」(←訳:有名だもんねー)

 シェイクスピアさんの四大悲劇作品
 『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』。

 今夏、著者・佐々木さんは
 『マクベス』の舞台に立つことになりました。

 もちろん、主演で。

 いえ、たったひとりの、主演で。

「ふァ?? ひとりのォ、しゅえんッ?」
「がぅるぐるるー」(←訳:じゃあつまりー)

 佐々木さんが演じるのは、
 ナショナル・シアター・オブ・スコットランド版の『マクベス』。

 シェイクスピアさん原作の『マクベス』を、
 設定を現代の精神病院に変え、
 病室に隔離された患者が一人で
 『マクベス』を語り始める……というお芝居です。

 ひとりで、100分。
 ひとりで、すべての登場人物を演る。

「……うわあああァ~…!」
「ぐるる!」(←訳:難役だ!)

 お芝居の最終準備に取りかかる前に、
 佐々木さん、念願の旅に出発しました。

 以前から、行ってみたいなぁ、と思っていた土地、
 スコットランド。
 ウィスキーの蒸留所巡り、してみたいんだよなぁ。

「おさけェめあてェ、でスかッ?」
「がるるぐるるるぅ~」(←訳:それもいいけどぉ~)

 そう、蒸留所も良いんですけど、
 原作『マクベス』はスコットランドの王位を巡る物語です。

 どんな国なんだろうか。

 ウィスキー発祥の地っていうのは分かってるけど、
 他に浮かぶイメージは、
 森と湖、タータンチェックにバグパイプ、ネッシー、の国……?

「うむッ! ひゃくぶんはァ、いッけんにィしかずゥ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:行くしかない!)

 コーダー城、グラームズ城、スクーン宮殿、
 マクダフ城、三人の魔女の荒野――

 スコットランドの原風景や、
 『マクベス』に登場する名所を
 佐々木さんは訪れます。

 訪れて、自分の足でその地に立って、
 はじめて視えてくるもの。
 シェイクスピアさんが見せたものと、
 見せずに取り除いたもの。
 
「うむむゥ、ふかいィッ!」
「がるるぐる!」(←訳:深くて広い!)

 凡百のグラビア系写真集と
 決して一緒にするなかれ。

 なんたって敵はシェイクスピアさんです。
 甘っちょろい写真日記で終わるはずがありません。
 歴史の事実と、戯曲の虚構と、
 スコットランドの光景が重なれば、
 領主マクベスの素の顔が浮かび上がってくるような……。

「みすてりあすゥ、でスゥ!」
「ぐるがるるるぐる!」(←訳:観てみたいね舞台!)

 舞台『マクベス』の、双子の兄弟ともいえる異郷の旅誌。
 佐々木さんのファンの方々はもちろん、
 演劇マニアさんも、ぜひ一読&一見を♪
 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする