現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

アンソニー・ドーア「世話係」シェル・コレクター所収

2017-01-16 15:15:36 | 参考文献
 ソマリアの内戦によって故郷を追われた難民の青年が、アメリカでいろいろな体験をした後に、故郷へ帰る決意をするまでを描きます。
 内戦の残虐行為、アメリカの海岸に打ち上げられた六頭のクジラの死、夏の保養地(庭園、果樹園、三階建ての大邸宅などがある)を閉鎖中の冬の間面倒を見る管理人の仕事、その仕事を解雇されるいきさつ、保養地にかってに切り開いた秘密の菜園、自殺しようとしたしゃべることのできないかつての雇い主の娘との交流などが、作者独特の美しい自然描写と詩的な文章で描かれます。
 取り扱っている題材はすごく深刻なのですが、このように美しく描かれると、どこか夢の中の世界のようです。
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連作短編と長編

2017-01-16 08:54:29 | 考察
 同人誌の合評会などで、連作短編として提出された作品が、長編の一部ではないかと思える時があります。
 やはり、連作短編ならば、それひとつで独立して読めなければいけないのではないでしょうか。
 三十年ぐらい前に連作短編の出版が話題になったときは、短編と短編の間が重要だと言われていました。
 この間があることで、長編とは違った味わいが出てきます。
 こういった効果を考えていない場合は、連作短編の一作ではなく、たんなる長編の一部にすぎません。
 特に、そういった作品に、たくさんの登場人物が出てくる場合は、合評会などでは、他の部分は読んでいるとは限らないので、ちんぷんかんぷんになることもあります。

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