現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

小さな恋のメロディ

2024-05-06 09:53:29 | 映画

 少年少女(11歳ぐらいの設定と思われます)の瑞々しい恋を描いた、1971年のイギリス映画です。
 本国やアメリカでは不評でしたが、日本では大ヒットしました(1950年代の半ばから1960年代の初めごろに生まれた人ならば、ほとんどの人が見たことがあるんではないでしょうか?)。
 その理由としては、いくつかの事が考えられます。
 まず、主人公の男の子(撮影当時12歳だった人気子役(「華氏451」、「オリバー!」、「小さな目撃者」など)のマークレスター)と主人公の女の子(撮影当時11歳だった無名のトレーシー・ハイド)が、日本人好みの可愛らしさだったことがあげられます(二人ともぜんぜんすれていなくて、子どもらしい子どもでした)。
 次に、舞台になっているイギリスの学校(11歳から16歳ぐらいまで通う小中学校)の雰囲気が、当時の日本の中学校(公開当時の観客ではこの年代が一番多かったでしょう)よりも大人びて感じられて(ダンスパーティ、煙草、ミニスカートの制服、男女交際など)、魅力的に映ったものと思われます(私自身は公開当時、すでに高校二年生になったところでしたが、男子校だったので男女交際の感覚が中学生当時からストップしたまま(いやむしろ中学時代の女友だちとの関係が次第に薄れて、より飢餓感があったかもしれません)でしたので、中学生たちと同様に羨ましかったです)。
 また、子どもたちだけで二人の結婚式をあげて、止めさせに来た大人たち(教師たちとマーク・レスターのママ)と戦って勝利(失敗続きだった爆弾マニアの少年の爆弾がついに成功して、マーク・レスターのママのスポーツカーを爆破して大人たちを敗走させます)して、二人はトロッコで旅立つというファンタジックなストーリーが、いつも大人たちに抑圧されている日本の子どもたち(特に、当時(今もそうかもしれませんが)の中学生は、受験勉強や内申書で、教師たちにがんじがらめにされていました)にとって痛快でした(この映画の根本的な考えは「大人たちは信用できない」なので、出てくるほとんどの大人たちはかなり俗物的に誇張されていました)
 また、70年安保末期の高校紛争も、ほとんどが子どもたち側の敗北(私の通っている高校は私立の付属高校だったので、生徒側がかなりの勝利を収めて、制帽、制服、中間試験などが廃止になっていましたが)に終わっていましたので、その鬱屈感の解消にもなったかもしれません。
 個人的には、全編に、ビージーズ(「イン・ザ・モーニング」、「メロディ・フェア」「若葉のころ」、「ラヴ・サムバディ」など)やクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(「ティーチ・ユア・チルドレン」)などの、映画のシーンにピッタリの美しい曲が流れていたことも大きな魅力でした(「卒業」とサイモン&ガーファンクルと同様に、映画と音楽の融合の成功例の一つでしょう)。




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