現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

エーリヒ・ケストナー「『自著検討』」子どもと子どもの本のために所収

2017-01-02 17:17:47 | 参考文献
 1946年に出た、1933年以前に出版された四つの詩集の抜粋です。
 最初の詩集は1927年に出たのですが、ケストナーは1933年にナチスによって執筆を禁止されてしまいます。
 それだけでなく、ナチスの国民啓蒙・宣伝大臣のゲッペルスによって、彼の著作はベルリンなどで焚書にされ、書店からも姿を消しました。
 ケストナーは、焚書にされた二十四人の作家で、唯一焚書に自ら立ち会い、自分の本が焼かれていく様子を目撃した人間です。
 彼の詩は、基本的には諷刺詩です。
 ケストナー自身は謙遜して自分は予言者ではないと言っていますが、明らかに第三帝国の滅亡を予言していますし、その悪夢のような12年間が過ぎ去ってしまうと、その風刺詩群は歴史的な回顧という意味も持っています。
 最後に、ケストナーは、諷刺家は理想主義者だと述べています。
 諷刺することによって、社会や人間が、少しは、ほんのちょっぴり、よりよくなることができるかもしれないという希望を持っているからです。

子どもと子どもの本のために (同時代ライブラリー (305))
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岩波書店
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こんな子、捨ててよ!

2017-01-02 16:40:01 | キンドル本
 主人公は小学生の男の子です。
 主人公には、幼稚園に通う弟がいます。
 弟は、いたずら好きの問題児です。
 弟が起こすトラブルに、主人公はいつもふりまわされています。
 今日も、弟のためにさんざんな目にあいました。
 主人公は、思わず「こんな子、捨ててよ!」と叫んでしまいます。
 ラストのどんでん返しは?
 
 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。

こんな子、捨ててよ!
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桜木紫乃「星を見ていた」ホテルローヤル所収

2017-01-02 07:51:46 | 参考文献
 ラブホテルで清掃の仕事をしている六十歳の女性の話です。
 中学を出てから、仕事にも家族にも何の不平を言わずに黙々と働いてきたと描かれています。
 この作品でも、三万円を送ってくれた次男坊が暴力団の抗争で人を殺したという極端な設定になっています。
 読んでいて、こういった市井の人たちに対する桜木の視線が気になりました。
 一見彼らに愛情を持っているようで、実はたんなるネタとしてしか扱っていないのではないかとの疑念がわいてきたのです。
 もちろん彼らは桜木の小説の読者ではないわけで、第三者である読者に彼らの姿を切り売りしているようで、急に読み味が悪くなりました。
 児童文学の世界でも、いくら巧くても読み味の悪い作品はあって、その場合は作品の対象への作者の愛情が感じられないことが多いようです。

ホテルローヤル
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集英社
 
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