現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

シンデレラマン

2018-12-12 16:21:29 | 映画
 1920年代から30年代に活躍した実在のボクシング選手を題材にした、2005年公開のアメリカのスポーツ伝記映画です。
 かつては世界チャンピオンにあと一歩まで迫ったものの、その後は怪我などで精彩を欠き、ライセンスも剥奪され、蓄えた財産も1929年に起こった世界恐慌のためにすべてを失い、家族のために食料の無償配布や貧困者救済のための給付まで受けていた元ボクサーが、代理出場(当時は、ライセンスがない選手でも出場させるほど、興業優先の時代だったのでしょう)をきっかけに再びチャンスをつかみ、世界チャンピオンまで上り詰めるという、「ロッキー」も真っ青なシンデレラストーリーです(シルベスター・スタローンも、少なからず影響を受けていたかもしれません(一般的には、無名ながらモハメド・アリに善戦したチャック・ウェブナーが、ロッキー・バルボアのモデルだと言われています))。
 彼の出現は、世界恐慌後の長引く不況に疲弊していたアメリカ国民を熱狂させたようです。
 コメディー的な要素もあった「ロッキー」と違って、エンターテインメントながらシリアスな雰囲気を漂わせているのは、主人公がイタリア系アメリカ人ではなくアイルランド系アメリカ人だったせいかもしれません。
 それに、「ロッキー」で主役のカップルを演じたシルベスター・スタローンとタリア・シャイアに対する、ラッセル・クローとレネー・ゼルウィガーの持ち味の違いも大きいと思われます。

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王様と私

2018-12-10 18:03:07 | 映画
 1956年に公開されたアメリカのミュージカル映画です。
 なにしろ60年以上前に作られた150年ぐらい前が時代設定の映画なのですから、今見ると、差別(人種や女性など)や偏見(シャム(当時のタイ)が舞台なのですが、中国や日本などアジア各地の風物がごちゃ混ぜになっています。西洋文明や白人(現地人役までメーキャップした白人が混じっています)の絶対的な優位性など)に満ちていますが、主役のユル・ブリンナー(アカデミー主演男優賞を受賞)とデボラ・カーの圧倒的な存在感(歌は吹き替えですが)、有名な二人のダンスシーンを初めとした今でも知られている数々の名曲(アカデミー作曲賞を受賞)、CGに頼らないゴージャスな衣装や美術(いずれもアカデミー賞を受賞)は、一見(一聴?)の価値があります。

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スプラッシュ

2018-12-06 10:03:49 | 映画
 1984年のアメリカ映画で、ディズニーの映画部門であるタッチストーン・フィルムの一作目の映画です。
 子どものころに親しんだファミリー向けのディズニー映画(「罠にかかったパパとママ」(ケストナーの「二人のロッテ」の翻案(舞台を当時のアメリカにしています)や「スイスファミリー・ロビンソン」(ウィースの「スイスのロビンソン」(デフォーの「ロビンソン・クルーソー」の成功以来夥しい数が出版されたいわゆる「ロビンソン物」(関連する記事を参照してください)における数少ない成功作品)の翻案(登場人物や時代を当時のアメリカにしています)のテイストを、大人の世界に持ち込んだ現代のおとぎ話的なファンタジーです。
 主人公が子ども時代に海でおぼれた時に助けてくれた同い年くらいの子どもの人魚と、大人になってめぐり合い結ばれるディズニー映画らしいハッピーエンドな作品です。
 基本的にはドタバタコメディ(人間社会を知らない人魚の無邪気な魅力、好青年(死語ですね)の主人公とすけべで不真面目な兄の対比、二人の人魚の存在を証明しようとする偏執狂な科学者(いわゆるマッド・サイエンティストですね)とのバトルチェイスなど)で、ストーリーはたわいのない物なのですが、出てくる人物が権力者(政府、警察、科学者のお偉方などを除いては、みんな最後にはいい人(兄もマッド・サイエンティストも)になるし、二人が海の中で一緒に暮らすことになる(主人公が、慣れない海で暮らして、その後本当に幸せなのかはいささか不安ですが)ハッピー・エンドなので、安心して楽しめます。
 なんといっても、この作品を支えているのは登場人物の魅力です。
 主人公の青年を演じている若き日のトム・ハンクスは、アメリカの好青年(ピュア―でまじめで仕事もでき、長身でそこそこハンサム(これも死語ですね)にピッタリです(その後、やはり現代のお伽噺的な映画「ビッグ」(その記事を参照してください)で、同様の好青年を演じて賞を取りブレイクします)。
 人魚役のダリル・ハンナは、当時世界的に美人の代名詞であった典型的な北欧美人(長身で金髪で青い目)で、人魚姫にはうってつけ(御存じのように、「人魚姫」の作者のアンデルセンはデンマークの人です)なのですが、そこに野性的(水泳(当たり前ですが)もエアロビクスもアイススケートもすごく上手ですし、しばしば全裸(長い金髪が上手に隠しています)で登場したり、レストランでロブスターを殻ごとバリバリ食べたりしてしまいます)で現代的な(デパートでのショッピングに夢中になり、テレビで英語もエアロビクスもあっという間にマスターしてしまったりします)な要素を加味しています。
 主人公の兄役のジョン・キャシディーは「ホーム・アローン」などでお馴染みの名脇役で、すけべ(子ども頃から女性のミニスカートを下からのぞくのが癖で、大きくなってからは出会った女性を片っ端からくどいています)で、怠惰(仕事はあまりせずに遊んでいて、肥満していて、酒もたばこもギャンブルも大好きです)ですが、どこか憎めない(営業では社交的な性格を生かした手腕を発揮しますし、すごく弟思いです)陽気なアメリカ人にはうってつけです。
 マッド・サイエンティスト役のユージン・レヴィはユダヤ系(自身もそうです)の有名人の物まねもする人で、頭はいいが性格に難があって、でもどこか抜けているので憎めない、こうした役にうってつけです。
 他の記事でも繰り返し述べていますが、このようなデフォルメされた典型的なキャラクターの設定は、読者や観客を作品世界に引き込むための、エンターテインメントにおける重要な手法です。
 しかし、今では、多様なマイノリティの人たちや健康への配慮のために、特に映画やテレビでは難しくなっており、その分派手なCGなどでごまかした作品が増えてきています。
 この映画でも、現代ならば、白人中心主義(黒人やヒスパニックやアジア系の俳優をもっと使わなければならないので、金髪美人(これも死語ですね)などはもってのほかでしょう)、ギャンブルや飲酒や喫煙などのシーン、セクシャルなシーン、セクシャルハラスメント(ナンパやミニスカートを下からのぞくシーン)、人種差別(ユダヤ人の描き方など)などが問題になるでしょう。
 現代ではこうした配慮はエンターテインメント作品を作る上で当然必要なことなので、どうしたらそうした制約の中で、新しい典型的(分かりやすいと言い換えてもいいかもしれません)なキャラクターを創造するかが課題です。

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ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生

2018-12-04 14:31:42 | 映画
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(その記事を参照してください)の続編です。
 ヒット映画の続編にありがちな失敗要因を、すべて完璧に兼ね備えています。
 まず、前作で観客にうけた要素(この映画では、魔法動物やCGで描いた都市(今回はパリ)など)を、スケールアップして無意味に頻出させています。
 予算に余裕が出たので、大物俳優(この映画では、ジョニー・デップとジュード・ロウ)を出演させて、彼らに華をもたせるために無意味で不必要な彼らの登場シーンが長くなっています。
 ワールドワイドのビジネスを意識して、それほど魅力的でもないアジア人や黒人の俳優の登場シーンが長くなっています。
 前作で好評だったダン・フォグラーを今回も登場させたいために、無理やり設定を変更しています(前作のラストシーンで魔法によって記憶を消されたはずなのに、「魔法が訊かなかった」(これをやっては何でもアリになってしまいます)ことにして、登場させています)。
 これからシリーズ物にして大儲けしたいのが見え見えで、話や登場人物をむやみにひろげて、きちんとした結末をつけません。
 以上のようなことに多くの時間を費やしたため、主役の二人の登場シーンが限られてしまって、肝心のストーリーが弱くなって話になりません。
 もともとCGに100%たよった魔法物なので、主人公を中心にしたストーリーがしっかりしないと、前述したように「何でもアリ」の世界になってしまって、観客はハラハラできません(それを3Dや4Dで補って、テーマパークのアトラクションのようにしているのかもしれませんが)。
 
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レオン

2018-12-03 11:59:17 | 映画
 1994年のフランス・アメリカ合作映画です。
 リュック・ベンソン得意の派手な流血シーンに溢れたアクション映画で、主役を演じたジャン・レノを一躍トップスターにしました。
 孤独な殺し屋と家族(警察の麻薬捜査局を牛耳る悪徳警官に皆殺しにされます)に疎外されている12歳の少女の純愛を描いています。
 おませな女の子とまるで子どものような(読み書きができず、いつもミルクを飲んでいます)大人の男性という組み合わせは、「シベールの日曜日」(その記事を参照してください)を思い起こさせます(1962年のフランス映画(アカデミー外国語映画賞を受賞)なので、おそらくリュック・ベンソンは少なからず影響を受けていると思われます)が、派手な銃撃戦が目立つのでこちらの方が一般受けはしましたが、イノセンスな魂の触れ合いを描いた作品としてはかなり劣ります。
 当時はジャン・レノばかりがクローズアップされましたが、少女役のナタリー・ポートマンのややこまっしゃくれているけれど魅力的な美貌と演技(16年後に、「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞を受賞)、敵役の悪徳警官役のゲイリ―・オールドマンの狂気溢れる風貌と演技(24年後に「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でアカデミー賞主演男優賞を受賞)も強く印象に残ります。

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ボヘミアン・ラプソディ

2018-11-18 17:10:10 | 映画
 イギリスの伝説的なロックバンド(ヴォーカルのフレディ・マーキュリーが、1991年にAIDSで死んだ(そのころは治療法が確立されていなかったので不治の病でした)ことも含めて)のクイーンの、結成された1970年前後から20世紀最大のチャリティ・コンサートであるライヴ・エイド(1985年7月13日)までを、フレディ・マーキュリーを中心に描いた音楽伝記映画です。
 個性の塊のような(途中からは自らゲイの典型を演じている感じもありました)フレディ・マーキュリーだけでなく、ギターのブライアン・メイ(かっこいいロック・ギタリストの典型(今は亡き多田かおるの少女マンガ「愛してナイト」に出てくるギタリストは彼にそっくりでした))、ドラマーのロジャー・テイラー(アイドル的なルックスで女の子にめちゃくちゃもてるロックスターの典型(「ブレイク・フリー」という曲のミュージックビデオは、四人が女装して出演したことで当時賛否両論を巻き起こしましたが、もちろん発案者のロジャーが圧倒的に美しく、特にクローズアップされた彼のミニスカートのヒップは女性も顔負けで、我が家では今でも「ロジャーのお尻」と語り草になっています)、ベースのジョン・ディーコン(渋いベーシストの典型)も、それらしい俳優が演じていて、それぞれやや誇張されているものの、オールド・ファンのイメージを大きく崩さなかったのは、なかなかの配役だと思いました。
 ストーリーは、15年以上の期間をすごく駆け足で振り返っていますし、メンバーだけでなく、スタッフや、フレディの家族や、恋人(男性だけでなく女性も)や、LGBTの人たちに配慮したため、無難な内容になっていますが、全編にクイーンの有名なヒットソング(「キラー・クイーン」、「ボヘミアン・ラプソディ」、「レディオ・ガ・ガ」、「伝説のチャンピオン」、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」など)がまんべんなく散りばめられていて、音楽映画としてはまったく申し分ありません。
 しかし、この映画の一番収穫は、クイーンが、フレディだけでなく、ブライアン、ロジャー、ジョンも含めた四人がそろって、初めてロックバンドとして完成していることが、再認識できたことでしょう。
 強烈な個性と劇的な最期のために、クイーンといえばフレディ・マーキュリーがクローズアップされがちですが(この映画も基本的にはそうです)、彼らが日本で知られるようになった1970年代の初めごろは、どちらかというと、クラシック音楽の素養もあるインテリ(ブライアンは天文学、ロジャーは歯科医、ジョンは電気工学を専攻)・ロックバンドで、ピンク・フロイドやエマーソン・レイク・アンド・パーマーのようなプログレッシブ・ロックに、美しいメロディ・ラインやハーモニーを加えた最先端のバンドとして紹介されていたことを、改めて思い出しました。

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オデッセイ

2018-11-13 08:58:10 | 映画
 宇宙時代のロビンソン・クルーソーといった趣の作品です。
 火星に取り残された宇宙飛行士が科学的知識を使ってサバイバルしていく様子は面白いし、もちろんCGもすごいのですが、最近のほとんどの大作映画と同様にヒューマンドラマがすごく弱いです。
 火星に取り残されても、ほとんど孤独や絶望感を感じないメンタリティは、アメリカ人らしいといえばそうなのかもしれませんが、あまりにも楽観的で日本人には理解しがたいところもあります。
 また、娯楽映画なのであまりめくじらは立てたくないのですが、あまりにもご都合主義な部分(立派な避難所でディスコミュージックは好きなだけ流せるのに地球との交信設備はまったくない、宇宙飛行士がたまたま植物学者だったので火星でジャガイモを植えることができる、まったく政治的な動きが描かれていないのに中国が救出に協力する、最終的な救出方法は若い黒人が個人的に考え出す)には、苦笑を禁じえません。
 女性にも(宇宙船の船長は女性です)、ヨーロッパ人にも、黒人にも、アジア人にも配慮するのは、世界的にビジネスを展開しなければならないハリウッドの宿命なのでしょうが、あまりにも八方美人的ではないでしょうか。

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6才のボクが、大人になるまで

2018-11-03 09:18:23 | 映画
 6才の少年が大学に入るまでを、ドキュメンタリータッチで描いています。
 主要な登場人物(主人公、姉、母、離婚した父など)を同じ俳優が演じて、12年間かけて撮影したところがこの作品の新しいアイデアでしょう。
 12年間にわたって、登場人物の成長や変化を描きつつ、その時その時のアメリカの代表的な風俗(ハリー・ポッター、野球選手のメジャー・クレメンス、スマホ、SNS、オバマブーム、DV、マリファナ、銃、アルコール依存症など)を盛り込んで時代性を表しています。
 しかし、この作品はあくまでもフィクションなのですから、それだけでは不十分です。
 物語性の弱さ、特に大人に近づいていく後半が類型的で陳腐です。
 舞台がかつて十年ぐらいの間、私がひんぱんに通ったテキサスなので、個人的には懐かしかったのですが、後半はかなり退屈でした。
 

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遠い空の向こうに

2018-11-02 08:52:06 | 映画
 1950年代の宇宙開発競争時代に、ソ連の人工衛星スプートニクスの成功に刺激を受けて科学に目覚め、ロケット開発に夢中になっていく少年たちを描いています。
 まさに、児童文学の王道の成長物語を絵にかいたような作品です。
 閉塞した田舎の炭坑町(そこを抜け出すには、主人公の兄のようにフットボールの奨学金を手に入れて大学に進学するしか方法がありません)、炭坑に人生のすべてをささげている父との葛藤、父の事故、科学コンテストに出場するよう励ましてくれる恩師の病気、度重なる失敗など、さまざまな障害を乗り越えて科学コンテストの全国大会で優勝して、仲間たち(ロケットボーイズと呼ばれています)と共に大学進学の奨学金を獲得します。
 実在するNASAの技術者の自伝に基づいた、典型的なアメリカンドリームのサクセスストーリーなのですが、俳優陣の堅実な演技が素直な感動を与えてくれます。
 あらゆる意味で1950年代はアメリカの黄金時代だったのですが、現在はトランプ大統領が誕生した背景にある格差問題(特に若年層)が深刻化しています。
 アメリカでは大学の学費の高さとそのための学生ローンが問題になっていますが、日本でも奨学金の名を借りた高利の学生ローンは若い世代の大きな負担になっています。
 これらの解決の消極的な行政や政治家たちに、強い怒りを覚えます。


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ペーパームーン

2018-10-30 08:49:52 | 映画
 大恐慌後の禁酒法時代を背景にしたロードムービーです。
 母を事故で亡くした九歳の少女を、母親の知り合い(わずかだが少女の父親の可能性もある)の気のいい詐欺師が、親戚の家に送り届けるまでの珍道中が楽しいです。
 いろいろなオーソドックスな詐欺の手口が、オニール親子(実の親子です)の達者な演技(特にテータム・オニールはシャーリー・テンプル(戦前の天才子役)の再来と言われて、この映画でアカデミー助演女優賞を最年少で受賞しています)で、鮮やかに描かれています。
 ペーパームーンと言う題名は、実際には血のつながりを持たなくても一緒に過ごしていくうちに心のつながりを築いていくという意味で、少女が、裕福でやさしそうな叔母夫妻との生活よりも、根無し草のような詐欺師との暮らしを選ぶラストを暗示しています。
 子どもがたばこを吸うなど、今では許されないようなシーンもありますが、人と人のつながりを見事に描いた傑作ですし、児童文学を創作する上でも大いに参考になります。
 それしても、天才子役たちのその後は、洋の東西を問わず悲惨なことが多く、テイタムもその例にもれません。
 そんな子役たちを、ちやほやしながら搾取する大人たちの存在は許しがたいものがあります。

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カメラを止めるな!

2018-10-21 17:32:10 | 映画
 2017年公開ですが、国内外のいろいろなマイナーな映画祭で受賞を重ねて話題になり、2018年にメジャーな公開がされています。
 前半は、廃墟でソンビ映画を撮影していたチームが本当のゾンビに襲われるというB級ホラー映画で、その終了時には実際にエンドロールも流れます(ところどころ放送事故のようなおかしな場面があって、出来栄えはイマイチなのですが、それが後半の伏線になっています)。
 中盤は、その映画の監督一家(夫は再現シーンなどのマイナーなフィルム専用の妥協ばかりしている監督、妻は元女優、娘も監督志望だが一切妥協しないのでADとして問題ばかり起こしている)を中心に、この映画(実は、30分ノーカットで生中継もされる)に関わる、いずれも一癖あるプロデューサー、スタッフ、キャストなどの紹介(それぞれのキャラクターが後半の伏線になっていますが、ここが一番つまらない)。
 後半は、ノーカット生中継のゾンビ映画などという無茶苦茶な設定と、いろいろなアクシデント(何かと撮影で手抜き(ゲロはNG、涙の代わりの目薬など)を要求する主演女優のアイドル、やたらとリアリティにこだわる主演男優のイケメン俳優、監督役の男優とメイク役の女優が実は不倫中で一緒の車で撮影現場に来る途中に事故を起こし来れなくなり、実際の監督と元女優の妻が代役をすることになる。監督は、次第に夢中になって、日頃と違って妥協しなくなる。元女優の妻は、やたらと役にはまり込んでしまって、本番中に暴走する(もともとそのために女優を辞めさせられていた)。アルコール依存症のカメラマン役の男優が差し入れの日本酒を飲んでしまって、本番前に泥酔してしまう。硬水が飲めない体質の音声役の男優が誤って硬水を飲んで本番中に下痢を起こす。クレーンカメラが落下して壊れてしまい、代わりに人間ピラミッドを組んでその上で撮影するなど)を乗りこえて、生中継をなんとか最後まで乗り越えていく様子を、ノンフィクションタッチで描いています。
 前半のゾンビ映画でのおかしな場面や、中盤で紹介されたいずれも一癖あるメンバーなどのすべての伏線が、後半のドキュメンタリーですべて見事に回収されていく腕前には感心させられ、上映中の満員の館内のあちこちで絶え間なく爆笑が起きていました(私自身も抱腹絶倒でした)。
 なお、八月ごろにこの映画の原案になった舞台関係者と一時トラブル(原案ではなく原作で著作権を侵害しているといった内容のようでした)になりましたが、その後解決したようです(この作品の面白さはどう見ても映画的な所ですし、興業的に大ヒットして大手の配給会社も関係するようになったので、金銭的にも納得のいく線で保障できたのでしょう)。

【映画パンフレット】カメラを止めるな! ONE CUT OF THE DEAD
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アスミック・エース
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バッド・ジーニアス 危険な天才たち

2018-10-18 17:46:06 | 映画
 非常に記憶力のいい主人公の少女が、しだいに大がかりなカンニング事件に巻き込まれていく姿を描いています。
 初めは、仲のいいクラスメイトの女の子が、成績が悪くて演劇部の芝居に出られないのに同情して、彼女にカンニングをさせて、芝居に出演できる成績レベルをクリアさせます。
 しかし、そのことを友だちの彼氏の、金持ちのぼんぼんに知られて、有料でカンニングを請け負う組織に発展してしまいます。
 背景としては、主人公があまり裕福ではなく、彼女たちが通う私立の名門校(校長へのわいろが横行していて、成績の悪い裕福な家庭の子女もたくさんいます)の授業料免除の特待生だということがあります(主人公の父親は教師なのですが、給料が安くてそれが原因なのか母親と離婚しています)。
 もう一人の特待生の男の子(彼もまた、母親一人でやっている洗濯屋を手伝っている苦学生です)も巻き込んで、ついには、全世界を対象としたアメリカの大学を受けるための資格試験を、世界で一番初めに実施されるシドニーとタイの時差(四時間)を利用して、事前に主人公たち特待生がシドニーで受験した答えをタイへ送って、高額な参加料を出させた大勢の受験生に伝えるという大がかりな犯罪にまで発展します。
 ピアノのコードやバーコードやスマホを利用した現代的なカンニング方法や、いろいろなハプニングに見舞われる資格試験当日をサスペンスタッチで描いたところが一番の見せ場です。
 また、背景として、日本以上に格差社会であるタイの現状や、貧しい子どもたちがそれを打破するためには、アメリカなどの海外の大学に留学するしかないことなどが描かれている点も、優れていると思いました。
 主役を演じた富永愛似の女の子(やはりモデルだそうです)を初めとして、タイの若い出演者たちがなかなか魅力的でした。
 ただ、ジーニアスとか、天才という惹句はかなり大げさで、特待生たちは記憶力の良い秀才にすぎませんし、年長者(ここでは主人公の父親)をたてるタイらしいモラーリッシュなラストにも不満が残りました。

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ザジフィルムズ
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マイ・インターン

2018-10-17 03:14:31 | 映画
 2015年のアメリカ映画です。
 70歳のやもめ暮らしの男性が、シニア・インターン制度を使って、ネット衣料販売で急成長している若者ばかりの会社(よくある話ですね)に勤めます。
 初めは、他の人たちとの世代間ギャップをコメディタッチで描いて面白かったのですが、彼がしだいにその人生経験(電話帳会社(このへんもやりすぎな設定ですね)の印刷部門の責任者を長い間やっていました)を生かして、みんなのメンターのようになってからは、正直うまくいき過ぎ(若い女性社長も含めてみんなに頼られ、会社のマッサージルーム(みんなパソコンを使いっぱなしなので、肩や腰が凝るのでしょう。こういった施設のある会社は、今では日本でも珍しくありません)に勤める、下世話な言葉で言うとセクシーな美熟女といい関係になります)で、まるでリアリティが感じられませんでした。
 特に、会社が急成長(一人で台所から初めて、一年半たった今は従業員が220人います)したためにコントロールできなくなった社長(主人公は彼女の個人付きインターンという設定です)に、まるで父(彼女は母親しかいないようです)のように慕われて、大きくなった会社を経営するために外部から経験のあるCEOを招こうとしたのを断ったり、彼女のために(すすんで)専業主夫になった夫がママ友と浮気したのを後悔して彼女とよりが戻ったりするのを、影からサポートする姿は、彼女はエディプス・コンプレックスかと思いたくなるような感じです。
 ご存じのように、起業することと、大きくなった会社を経営するためには、異なるスキルセットが必要です。
 この会社の場合まだそれほど大きくないので、この結末で一応ハッピーエンドですが、この先さらに成長した時には、彼女のメンタリティでは大きな破綻を迎えそうです。
 また、「女の敵は女」って感じでママ友たちを悪く描いたり、いまどきこんな感覚の経営者がいるの?と思えるような女性たちや新しいビジネスに対する古い感覚を持ったCEO候補たち(最後に選ばれた人は好さそうでしたが)を登場させたりするのは、エンターテインメント映画とはいってもあまりにパターン化している印象を受けました。
 ただ、全盛期はこわもての役が多かったロバート・デ・ニーロが、穏やかな紳士役をさすがの演技でこなしているのには、「タクシー・ドライバー」や「レイジング・ブル」などでの鬼気迫る演技を知るものとしては、なぜだか嬉しくなりました。
 日本でも、こうしたかつての人気スターを、年齢相応の役で活躍させる映画をもっともっと作って欲しいものです。


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ギルバート・グレイプ

2018-10-12 18:13:10 | 映画
 1993年のアメリカ映画です。
 アメリカのさびれた田舎町で暮らす閉塞した状況の青年を、若き日のジョニー・ディップが好演しています。
 主人公は、父の自殺をきっかけに過食症になって、鯨のように太ってしまって(何百キロもありそうです。アメリカなどではこうしたいろいろなタイプ(すごく太った、すごく痩せた、すごく背が低い、すごく背が高いなど)の俳優がいるようです)家から一歩も出ない母親、知的障害のある弟(レオナルド・ディカプリオが好演して、アカデミー助演男優賞にノミネートされました)、二人の妹をかかえて、小さな食料品店で働いて古い父親の手作りの家を修理しながら、懸命に生きています。
 そんな彼のせめてもの息抜きは、お得意さんの奥さんとの、配達の時の不倫です。
 二人の関係は夫に感づかれているようなのですが、ある日、その夫は変死(子どもプールでおぼれます)して、疑われた奥さんは子どもたちを連れて町を出ていきます。
 その一方で、主人公は、祖母と二人でアメリカ中をキャンピングカーで旅している、自由な生き方(それは主人公が一番望んでいるものです)をしている少女と知り合います(キャンピングカーを牽引している車が故障して、この町に足止めされています)。
 主人公は、彼女やその生き方に強く惹かれているのですが、やがて車がなおって町を出発する彼女を、自分の生き方を見つめ直しながらも知的障碍者の弟と二人で見送ります。
 急死した母の死体とともに古い家を燃やす(母の死体を運び出すのに軍隊やクレーンが必要になり、地域の人に笑われる(それは母親が一番恐れていたことでした)のを防ぐためです)ことが、主人公を拘束している現実から解き放つことを象徴しているようでした。
 そして、一年後、再びこの地を訪れた少女と再会するラストに、おおいなる救いを感じました。
 日本での公開後に、演劇をしていた若い友人(高校生でした)から見るのを勧められた映画の一つです(他には、「恋する惑星」(その記事を参照してください)などがありました)。
 困難な状況でもそれを投げ出さずに、その一方で自分の生き方を見つめ直している主人公の生き方は、格差社会の困難な状況にいる今の日本の若い世代にも共感を持たれると思います。

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旅情

2018-10-12 17:38:18 | 映画
 1955年のアメリカ映画で、メロドラマの古典(特に、ラストの駅のホームでの別れのシーン(女性を乗せて走り去っていく列車を、男性がホームを走って追いますが、わずかに届きません)が有名です)です。
 アメリカ人の中年独身女性(当時はハイミスと呼んでいました。彼女は38歳という設定なのですが、当時としては十分に中年でした)が、ヨーロッパ旅行の終わりのヴェネツィア(当時は、日本ではベニスと呼ばれていました)でイタリア人の中年男性(大きな子供が二人いますが、妻とは別居中)と恋に落ちます。
 物語としてはとっくに賞味期限が過ぎているのですが、監督のデヴィッド・リーンが鮮やかに切り取った60年以上のヴェネツィアの風景は、今でもとても魅力的(きっと実際のヴェネツィアも、当時の方が美しかったのでしょう)で、海外旅行なんか想像もできなかった当時の日本人には夢の中の世界ですし、アメリカ人を除くほとんど世界中のすべての人も同様で、アメリカ人にしても海外旅行できるのはごく一部の人だけだったので、甘いテーマ曲とともに世界中で大ヒットしました。
 
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