現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

アンソニー・ドーア「ハンターの妻」シェル・コレクター所収

2017-01-08 11:54:14 | 参考文献
 モンタナ州の雪深い小屋に住むハンターとその若い妻の話です。
 ハンターは、春から秋まではいろいろな動物を狩ったり、狩りをするためにアメリカ中からやってくる金持ちたちのガイドをしています。
 冬は、蓄えておいた食料と共に、動物が冬眠するかのように、人里離れた小屋に籠って暮らしています。
 妻は、巡回して興行している手品師のアシスタントで、魔術師になることを夢見ていました。
 ハンターは、彼が30歳で妻が16歳の時に出会って、三年がかりで口説き落として、二人は結婚します。
 ハンターと一緒に暮らすようになった妻は、冬籠りの間に不思議な力を身につけます。
 触った相手の夢や死んでいる場合は行ったところの様子を、映像として見ることができるのです。
 また、妻に触れているまわりの人々も、同じ映像を見ることができます。
 妻の超能力は次第に有名になり、モンタナ中の葬儀所などに招かれ、次第にお金ももらうようになります。
 ハンターは、妻の超能力を信じられずに彼女と諍いを起こして、五年後に妻は小屋を出ていきます。
 それから、二十年後、妻は世界的に有名な超能力者になって、再会ハンターも妻の超能力を理解するようになります。
 交霊術というのでしょうか、おそらくこうしたことを行う人たちは、アメリカには本当にいるのでしょう。
 そうした不思議な能力を、美しい大自然の描写とともに作者独特の詩的な文章で書かれると、つい信じたくなりますが、基本的には私はリアリストなので、こういった物語をリアリズムの手法で書くことには反対の立場です。
 児童文学の世界でも、こうした超能力やオカルトをリアリズムの手法で書いた本はあるのですが、特に子どもたちはこういった超能力やオカルトが大好きなので、無批判に信じてしまわないか心配になります。

シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)
クリエーター情報なし
新潮社
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

合格発表

2017-01-08 10:06:07 | キンドル本
 主人公たちは、私立中学の合格発表を見にいきます。
 主人公は合格しますが、友だちは明暗が分かれます。
 発表後の主人公たちは、結果に対してそれぞれの思いを持ちます。
 中には、せっかく合格したのに経済的な理由で公立中学に行く子もいます。
 落ちた子やいけなくなった子のことを考えると、主人公は自分の合格を素直に喜べません。
 合格の報告をしに学校へ向かった主人公たちを、思いがけないことが待ち受けています。
 最後に、主人公が思ったことは?

 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。


合格発表
クリエーター情報なし
メーカー情報なし


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小川洋子「カラーひよことコーヒー豆」

2017-01-08 09:28:21 | 参考文献
 芥川賞作家のエッセイ集です。
 いくつかの創作のヒントが描かれていて興味深かったです。
 小川は、同じく芥川賞作家の堀江敏幸の言葉を引いて、以下のように創作を料理に例えています(「料理の喜び」)。
「自分は塊があってそれを削り出すやり方ではなく、料理のように調味料を一つ一つ足していく書き方をしている。」
 おそらく小川には最初に作品の小さなアイデアがあり、それにいろいろな要素を加えていくような形で創作していくようです。
 その過程で、ややマニアックな知識を(作品によって、数学だったり、歴史だったり、様々です)調べて、それを作品のエッセンスとして活かしていきます。
 決して、それらを調べすぎたり、知識をひけらかせるようなことはなく、一歩下がった感じで控えめに披露するので、読者に受け入れやすいのでしょう。
 このような創作方法のために、純粋な文系の文章いうよりは、やや理系がかった感じを受けるのも、小川の作品の特徴でしょう。
 私は元エンジニアで、長く技術系の学校や会社にいたバックグラウンドからして、同様な創作法が向いていると思うので、おおいに刺激を受けました。
 ただ、こういった作品をどのように発表するかというと、今は困難な状況です。
 過度の商品性を要求する出版社と接触するのは、大きなストレスを感じるだけでしょう。
 やはり、電子書籍による自己出版しか方法がないのかもしれません。
 そのためには、電子書籍市場の成熟化(マーケットサイズの拡大と電子書籍のマーケッティング方法の確立)を待たなければならないかもしれません。

カラーひよことコーヒー豆
クリエーター情報なし
小学館
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする