現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

司馬遼太郎「燃えよ剣」

2023-01-29 19:52:29 | 参考文献

 1962年11月から1964年3月まで、「週刊文春」に連載された歴史小説です。

 単行本化されてベストセラーになり、何度もテレビドラマや映画や舞台になりました。

 新選組副長、土方歳三の、若いころから、函館で戦死するまでを描いています。

 ニヒルな喧嘩屋として定着している土方の人物像は、この作品で日本中に定着しました。

 いや、局長の近藤勇や薄幸の美男剣士沖田総司のイメージも、この作品で形作られました。

 ただ、描いている主人公が喧嘩屋なので仕方がないことなのですが、歴史上ではそれほど重要でない戦闘シーンの連続で、司馬遼太郎の他の作品と比べると、彼らの存在が歴史上の意義に欠けることは否めません。

 

 

 

 

 

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からかい上手の高木さん2

2023-01-27 16:41:29 | アニメ

 二年生になって、ますます仲良くなる二人を描いています。
 シーズン1(その記事を参照してください)の最後で、ようやく高木さんの好意に気づいた西片ですが、態度が少しぎこちなくなっただけで、相変わらず高木さんに勝負をいどんで、負けてばかりです。
 お姉さんキャラの高木さんが、いろいろとモーションをかけてくれるのですが、相変わらずガキの西片は恥ずかしくて先に進めません。
 最終回の「夏祭り」のラストでようやく手をつなげて、視聴者は一安心です。
 私が中学生だった時と比べると、西片はずいぶん幼く感じられますが、最近の男の子は精神的な発達がだいぶ遅くて、女の子との差がますます開いているようなので、こんな関係も成立するのかもしれません。
 視聴率もけっこう良かったみたいなので、シーズン3ができました。
 ドラえもんのような登場人物が年をとらない遍歴物語と違って、高木さんや西片が成長していく(視聴者よりは、ゆっくりですが)成長物語では、読者や視聴者はいつかは物語世界とサヨナラしなくてはなりません。
 そして、その時に読者や視聴者も、疑似体験を通して成長しているのです。
 それが、こうした成長物語の重要な役割です。

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からかい上手の高木さん

2023-01-27 16:39:13 | アニメ

 ごく普通の中一の男の子が、隣の席の美人でお姉さんキャラの女の子にからかわれて、過剰に反応する姿を描いたラブコメディです。
 この年代の男の子と女の子の精神年齢の違い(男の子はガキのままですが、女の子はすでに一人前の女性です)を巧みに生かして、何とか逆にからかおうとして空回りを続ける男の子と、それをやさしくリードする女の子の、両方のかわいらしさが良く描けています。
 二人の立ち位置を象徴するように、女の子は相手を「西片」と呼び捨てにしているのですが、男の子は相手を「高木さん」としか呼べません。
 今どきこんなほのぼのしたタッチのアニメが人気がある(二期目も、三期目も製作されました。二期目に関しては、その記事を参照してください。)のは、背伸びをしつつも、実はこんな初恋にあこがれている男の子と女の子が今でも多数派だからなのでしょう。
 現代の児童文学ではほとんど絶滅している普通の男の子を主人公にしても、ユーモアと機智を発揮すれば、十分読者を獲得できることをこの作品は証明しています。
 それにしても、かわいくて頭も性格もいい高木さんに、こんなに好意を持たれている西片はなんとラッキーな奴なのでしょう。
 最終回になって初めて、入学式の時に、高木さんのハンカチを西片が拾って、職員室に届けてあげた(そのために西片は遅刻してしまいます)のがきっかけだったことが明かされます。
 また、ずっと気づかなかったニブチンの西片も、ようやく高木さんの好意に気づいて、ぎこちないながら自分の気持ちも伝えられて、視聴者は一安心できました。

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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

2023-01-26 14:46:47 | 映画

 2014年公開のアメリカ映画です。

 ショービジネスの裏側を鋭く描いて、アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞を獲得するなど、高い評価を得ました。

 そういった意味では、業界内での評価が高くて、観客からはそれほどでもない映画の典型でしょう。

 かつてのスーパーヒーロー物のハリウッドスターが、年老いてからブロードウェーの演劇の世界で苦闘する姿は、主演のマイケル・キートンが実際にバットマン俳優だけに鬼気迫るものがありますが、ストーリーが追いづらく観客にはあまり親切ではないかもしれません。

 ただ、効果的な長回しの映像と、ジャズ・ドラムを多用した音楽は、なかなか魅力的です。

 

 

 

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バットマン

2023-01-26 14:45:46 | 映画

1989年公開のアメリカ映画です。

子どもの頃に親しんだテレビ・ドラマと違い、監督のティム・バートン好みのダークな雰囲気が全面に漂っています。

 おなじみの相棒、ロビン少年は登場せずに、代わりに老執事がサポートするなど、かなり独自色を出しています。

 主役のマイケル・キートンも、相手役のキム・ベイジンガーも、古いタイプの二枚目(この言葉がピッタリ)と美人なので、時代設定にはあっていて悪くないのですが、なんと言っても、敵役のジョーカーのジャック・ニコルソンの怪演が、この作品の最大の魅力でしょう。

 制作費の半分が彼のギャラだったという噂がありますが、十分にその価値があります。

 

 

 

 

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ジュラシック・ワールド

2023-01-17 09:18:17 | 映画

 

 

 スピルバーグの「ジュラシック・パーク」が面白かったという記憶のため、つい観に行ってしまいました。
 この作品は、とても続編とは言えないような駄作でした。
 巨額を投入して作った恐竜のCGはよくできているのですが、ストーリーはアメリカで大量に作られているいわゆるC級パニック映画とどっこいどっこいです。
 主人公の子どもたち、離婚しかかっている両親がこの事故をきっかけに和解、主要登場人物である男女の恋愛、わかりやすい敵役、大事な所で必ずへまをして恐竜に食べられてしまうまぬけな脇役など、アメリカの一般大衆の観客受けするような要素が満載なのですが、どれも中途半端で上滑りしています。
 こういうのを観せられると、映画館への足は遠のいてしまいます。

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最上一平「ようかい村のようかいばあちゃん」

2023-01-14 11:18:26 | 作品論

 主人公の女の子と、そのひいばあちゃんであるようかいばあちゃんとの交流を描いたシリーズの三作目です(他の本については、それぞれの記事を参照してください)。

 今回は、雪に閉ざされたようかい村(ようかいばあちゃんが一人で暮らしている山奥の集落)での暮らしの様子が描かれています。

 いろりや雪の坂道などで、三世代を超えて交流する二人の様子が楽しく紹介されています。

 こうした雪国での暮らしや、昔の暮らしについて、主人公だけでなく読者たちも、興味津々にしてくれます。

 

 

 

 

 

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柏原兵三「徳山道助の帰郷」柏原兵三作品集1所収

2023-01-13 09:35:48 | 参考文献

 1968年に第58回芥川賞を受賞した作品です。
 柏原は、ドイツ文学の、特に教養小説の研究者なので、この作品にも多分に教養主義的なにおいは感じられますが、彼の特長である平易な文章で書かれているので、今の読者でも読みやすいと思われます。
 母方の祖父で陸軍中将まで上り詰めた人物の評伝を、特に晩年零落してからの最後の帰郷(大分県です)を中心に描いています。
 芥川賞の選評では、軍人であり多くの部下を死なせた責任者である主人公を、最終的には受け入れる形で描いている作者の姿勢を批判する意見もあったようですが、むしろ60年代後半の反戦的雰囲気の中で、こういった作品を一定以上の水準で書き上げた作者は、もっと評価されてもいいのではないのではないでしょうか?
 同じころ、児童文学の世界では、たんに反戦を取り扱っているだけのテーマ主義的な愚にもつかない作品群を高く評価していました。
 世の中のはやりや風潮に流されずに、文学性の高い作品を書くことは、どの時代でも、一般文学でも児童文学でも大切なことですが、現代ではあまりにも軽視されすぎています。

柏原兵三作品集〈第1巻〉 (1973年)
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潮出版社
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マスク

2023-01-07 13:28:45 | 映画

 

 

 1994年公開のアメリカ映画です。

 当時としては、最新のSFXを駆使したスラプスティック・コメディで、主演のジム・キャリーの芸達者ぶりがいかんなく発揮されています。

 ストーリー自体は、さえない銀行員がマスクで大変身を遂げて、破天荒な活躍をするという、他愛ないものですが、SFXによる迫力ある踊りや歌を駆使して、観客を楽しませます。

 アカデミー賞でも特殊効果賞にノミネートされました。

 相手役を演じた当時無名だったキャメロン・ディアスも、抜群のスタイルと容姿で活躍しました。

 

 

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