現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

河合雅雄「裏藪の生き物たち」少年動物誌所収

2017-01-19 17:12:29 | 作品論
 作者の生家の裏藪に住む動物たちを、見事な文章で描き出しています。
 九十年近く前の丹波篠山の自然の豊かさといったら、今では想像できないくらいです。
 裏藪には、フクロウ、バンドリ(ムササビ)、キツネ、ムクドリ、ヨタカ、ゴイサギ、ネズミ、カタツムリなどが棲んでいます。
 それらを、作者は兄弟たちと、ある時は探索し、またある時は飼育して、時には恐れ、時には敬って共存していました。
 ニホンザルやマウンテンゴリラの社会生態学を切り開いたサル学の第一人者の素地は、このように故郷によって育まれたのでしょう。

少年動物誌 (福音館文庫 ノンフィクション)
クリエーター情報なし
福音館書店
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー

2017-01-19 16:21:03 | 映画
 スターウォーズの第1作につながる前段階のお話です。
 四十年前のオリジナル作品に比べて、CGによる特殊撮影は格段に進化していて、戦闘シーンの迫力は圧倒的です。
 しかし、ストーリーはオリジナルと比べると、同じシリーズかと思うぐらい異質なものでした。
 オリジナルのスターウォーズは、スペースオペラをそのまま映画に持ち込んで、宇宙人あり、悪の帝国あり、お姫様ありといったごった煮感満載の宇宙おとぎ話だったのですが、ローグ・ワンはやたらと自己犠牲をしいる(主要な登場人物はすべて死んでしまう)暗いお話で、大人向けを狙っているのかもしれませんが、爽快感がまるでありませんでした。
「フォースとともにあらんことを」という有名なセリフも、オリジナルではかっこいい合言葉のように使われていましたが、ローグ・ワンではやたらと連呼されていて宗教臭さ(もともと「神のご加護を」というキリスト教の言葉をもじっているので仕方がない面もあります)が強く感じられて不快(とくに、この言葉を連呼しながら敵に突進して死んでいくシーン)でした。
 それにしても、ルーカスが四十年前に作り上げた(スペースオペラが下敷きですが)世界観から一歩も出ないのは、オリジナルがそれだけ素晴らしいのか、追随者たちの才能がないのか、判断に迷うところです。
 
【早期購入特典あり】スター・ウォーズ/フォースの覚醒 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド](『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』 劇場B2ポスター付) [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なんでも屋でござーい

2017-01-19 08:57:05 | キンドル本
 なんでも屋のヤマネコは、文字通りどんな仕事でも引き受けます。
 しかし、いつもは、掃除、探し物、ビデオ撮影など、あまりもうからない細かい仕事しかきません。
 そんなわずかな報酬も、値切られたり、取りはぐれたりしています
 ある日、そんなヤマネコに、大きな仕事の依頼がきます。
 でも、依頼したのは、街の顔役のタヌキです。
 なんだか、怪しそうです。
 案の定、ヤマネコは悪漢たちに取り囲まれてしまいます。
 ヤマネコは、悪漢相手に奮闘します。
 ヤマネコの運命は?
 
 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。

なんでも屋でござーい
クリエーター情報なし
メーカー情報なし


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

津村記久子「やりたいことは二度寝だけ」

2017-01-19 08:47:31 | 参考文献
 2008年の芥川賞作家のはじめてのエッセイ集です。
 他の記事で、津村の作品に描かれている会社や仕事にリアリティがあることを、何度か書きましたが、その理由がわかりました。
 彼女はまだ独身で2012年にこの本が出た時点では会社も辞めていなかったので、リアリティを持って働く若い女性の姿を描ける環境にあったようです。
 その後退職したので、作品が悪い方向(商業主義に流される)に変質しないか心配です。
 それにしても、彼女が描く純文学の作家の生活は、おかあさんのパート収入で生活を支えられていた田中慎哉と同様に 非常につつましいもので好感が持てました。
 それは、児童文学の世界でも、エンターテイメントの作家は除いては同様です。
 今はライトノベル寄りの「レッド・データ・ガール」ですっかりベストセラー作家になっている荻原規子でさえ、2012年に会った時に、「五年前にようやく中学校の事務の仕事を辞められたけれど、まだ不安です」と言っていました。
 荻原も津村も独身で経済的に自立していかなければならないので、男性作家たちと同じ厳しい条件なのでしょう。
 児童文学の世界にいる、一部の有閑マダム的作家たちとは違います。
 貧しいと言えば、詩の世界はさらに上をいっているようで、2012年に詩の学会の人たちとの共同研究会に出たとき、懇親会の会費は二千円で内容も非常に質素なものだったので好感を持ちました。
 ところで、この本のエッセイのひとつに、津村が外で原稿を書くときにキングジムの「ポメラ」を使っているという個所があり、電撃をくらったようなショックを受けました。
 そうです。
 確かに、2008年ごろに、文書入力専用の機器が事務機メーカーから発売されたことは、かすかに記憶がありました。
 そのころは、私は家にこもっていることが多かったので外で原稿書く機会はなく、ピンとこずに今まで忘れていました。
 2012年になって、学会や研究会や図書館でメモを取るのに、手書きや重くてかさばるノートパソコンで苦労しているので、何か軽いディジタルの入力装置が欲しいなあと思っていたのです。
 そのために、電器量販店をまわって、ウルトラノートやタブレット端末、ブルーツースのキーボードなどを検討していたのですが、どれもその目的だけのためには値段が高すぎたり、機能が足りなかったりして、私の目的には適していませんでした。
 その時には、「ポメラ」のことは念頭になかったのです。
 すぐにインターネットで検索すると(津村のこのエッセイ集でも、インターネットを検索するシーンがたくさんあります)、小型軽量で、でもキーボードは折り畳み式なので十分な大きさがあり、テキストファイルを作成できて、けっこう使えそうでした。
 さっそく、八王子のビックカメラで実物を実際に触ってみてから購入しました。
 今では、電子書籍リーダーのキンドル、ハンディスキャナーのマジックスキャンとともに、外出時には手放せなくなって、自分では「三種の神器」と呼んでいます(詳しくは、それぞれの記事を参照してください)。
 児童文学の研究に専念するようになってからの二年間休会していた同人誌に、2013年の12月に復帰したので、毎月の合評会でメモを取るようになり、ますます使用頻度が高くなりました。
 変な話ですが、ポメラを思い出せただけでも、この本を読んだ甲斐はありました。
 その後、外出時はタブレット端末を使うようになったので、文章を書くにはブルーツースのキーボードとの組み合わせでやるようになり、ポメラは使わなくなりました。
 私の場合、ポメラの使用期間は三年間ぐらいでしたが、十分に元は取れました。
 
やりたいことは二度寝だけ
クリエーター情報なし
講談社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする