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廃墟の女王



ギリシャのビーチに立つ、現代の廃墟


ギリシャのペロポネソス半島には、青銅器時代(ミケーネ)、鉄器時代(暗黒時代からアルカイック期)の遺跡から、ポリスが連立した古典期...

それ以降の遺跡・遺物も多く残されており、ナフプリオには特にヴェネツィア共和国時代の要塞を見に来た。


ギリシャの青銅器時代は紀元前3000年ごろから紀元前1100年ごろ、暗黒時代は紀元前9世紀ごろから、古典期は紀元前5世紀から紀元前4世紀。
ヴェネツイア共和国が要塞を改築したのは18世紀。

時間のスパンに頭がクラクラする。

時間って何...と頭をクラクラさせていたとき、現代の廃墟を見つけた。

18世紀に建築された、ヴェネツィア共和国最大のパラミディ要塞の近くに、である。
それが今日の写真。

1枚目の廃墟はビーチに沿うように、2枚目は、ビーチを見下ろす丘の上に立っている。
おそらく両方ともホテルだったのだろう。

日本や英国なら、「危険」ということで、取り壊されているようなシロモノではなかろうか。

夫は、古代ギリシャの遺物がその辺に転がっている国で、なぜわたしがこのような現代の廃墟に興味を持つのか理解できないという風だったが...
えええ〜素敵じゃない? 



現代の廃墟と
左手の山頂にヴェネツィア共和国が18世紀に建築したパラミディ要塞


わたしの出身地、神戸市には、『廃墟の女王』と呼ばれるかつての摩耶観光ホテルがある。

1970から80年代に何度か宿泊したことがある

あまりにも有名でメディアにも取り上げられているため、ご存じの方も多いだろう。
神戸の海を摩耶山の上から睥睨する船のような建物である。

「廃墟」とは、建物、集落、工場、鉄道や港湾などの施設が、打ち捨てられ、荒廃した状態になっているものを指す。
ものが朽ちていく姿に、われわれ人間は諸行無常、侘び寂び、時間の連なり、など、芸術的価値を見出す。


ギリシャでは、あらゆるところにむき出しの、そしてどこを掘っても貴重な遺跡が発見されるという。
わたしは遺跡が大好きでギリシャではそこれこそ行きたいところや見たいものが数えれらないくらいある。

でも、近現代の廃墟もいいよぉ。



パラミディ要塞から湾を眺める。
この湾に敵の艦隊が次々と入ってくる光景は...想像しただけでゾッとする



19世紀のロマン主義で、古代ギリシア、ローマ文明、その遺跡や文物に関心が集まったという。

産業革命が起こり、一般人の移動が容易になったことや、工業化や都市化に対する反動として、自然、過去、遠い異国、無意識、個人の内面、感情などに目が向いた。

また、帝国主義の反動としての民族主義は、自分たちのアイデンティティや「われわれはどこから来たのか」ということにも関心を持たせた。

ロマン主義というものが、「いまここ」ではない、どこか別の時間や空間を常に夢想するというのには十分理由がある。




わたしが旅を愛するのも、ロマンティストだからである(笑)!
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