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わたしの家の無駄な空間




何年か前にわが家を訪れた友人が、玄関を入るなり言ったのを覚えている。

「ここ、もう一部屋になるよねえ!」と。


わが家は築400年の家だ。はっきり分からないが、400年前の部分と300年前の部分が合併している、と聞いたこともある。堂々ブルージュ市が指定する「歴史的建造物」。

もちろんすべてが400歳なわけではなく、黒光りするほど古い梁を真新しい梁が支えていたり、古いマントルピースだけを残した暖炉が新しい漆喰で塞がれていたり、反対に新しいマントルピースが古い暖炉をふちどっていたりする。


思うに、この家全体を現代風な間取りにした際に、家を支えるために残さなければならなかった壁や柱の位置関係や事情から、「ここもう一部屋になるよねえ!」的な「無駄な空間」がたくさん出たのだろう。



そうなのだ。この家には遊んでいる無駄な空間が多い。

例えば上の写真は玄関だが、他にも主寝室とバスルームの間には「夜のホール」と優雅な名前のついた8畳大ほどの空間があり、部屋ではなく、どちらかというと廊下の扱いだ。ここにクロゼットなどを置くこともできるだろう。でもわたしは壁に油絵をかけて、それだけにしている。有効に使いたくないのだ。
その夜のホール続きの踊り場も4畳半以上の広さがある。なるほど、ここでならじゅうぶん「踊る」ことができよう。ダイニングキッチンに続く踊り場も同じだ。

とにかく家の中にぽっかりと余った「遊んでいる」空間がすごく多いのである。
そして昔の時間がそのままそこに溜っているとでも言えばいいだろうか。
それがこの家に独特の陰影を与え、雰囲気はそこに宿っている。


この家に7年間当たり前に住んで、このたび英国の街で一般的な新築アパートメントを何件か見せてもらった時、その余った空間のなさ、遊んでいる空間のなさに驚愕したのである。

なるほど、これが機能なのか。
そこには猥雑な時間が徐々に溜っていく無駄なスペースが少しもなかった。




このブルージュの家、建てられてから何家族が住んだのだろう。
これからどんな家族が住むのだろう。

わたしがこの家を最も愛した1人であるにちがいない、と確信を持って言える。

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ハンプシャー








ハンプシャー地方、昨日からやっと晴れ。
この辺りの自然がとても気に入ったので、来月も訪れるつもりだ。
「分別と多感」をかばんに入れるのを忘れないようにしよう。


これから2時間弱かけてドーバー海峡へ向かい、
ユーロトンネル30分、
仏のカレーからブルージュまで1時間少々の車の旅だ。

夜は夫の親友がアメリカから来るので急がねば。



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four seasons hotel hampshire




わたしが今まで宿泊したことのあるシティホテルの中で一番豪奢なホテルはおそらくパリの Four Seasons Hotel George V だ。

今回の英国訪問では休暇をかねて田舎のマナーハウスに泊まることにした。

Four Seasons Hotel Hampshire 。

ジョージアンのマナーハウスを改造した建物に、広大で風流な英国庭園を備え、オースティンらが描いたお嬢さん達の田舎ライフをフォーシーズンスのサービスで(しかも手頃に)満喫できる。

気持ちのよい行き届き方は、ほんの細部...たとえばコンセントの絶妙な位置にもいちいち宿泊者の要求が「分かってる」ことがはっきり現れていて大変愉快。



ブルージュの家の近所には徒歩2分の位置に某Kホテルがあり、ほとんど毎日通った。
ハンプシャーのこのフォーシーズンスがわたしの新しいKホテルになるのか...
居住予定地とはかなり離れているけど。



(写真は今夕の部屋からの眺め。今(24時前)はもう、外には何も何一つも見えない)
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隣人




わが家の近所には高齢の住民が多い。
昔から、そのまた昔から、ずっとブルージュに住んでいるような人たちが。

特に親しいわけではなく、出会ったら挨拶をしたり、飼い犬の話をしたり、荷物を預かってもらったり、という程度だ。


英国移動が確実になって、近所で出会うとその報告をすることになるわけだが、その度に

「お嬢ちゃんのピアノが聞けなくなるのが一番寂しいわあ。この季節はピアノを聞くために窓を開けて待っているのよ」

とおっしゃってくださる方が一人二人ではなく、わたしくしどもの胸を強く強く締め付けるのであった。

ここを去るんだなあ。



...



今日はこれから英国へ。
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日曜日のブルージュについて、火曜日に書く










娘が2歳くらいになったころ、あらためて行動範囲が広がり、地元ブルージュ以外にも友だちができ初めた。
今では1人を残して全員が帰国してしまったが。

その1人残った友だちが、娘と同い年のお嬢ちゃんと一緒にブルージュへ遊びに来てくれた。


翌日曜日は雨と晴れが交互に入れ替わる天気の中、ベルギー物産店 2be と、雑貨屋 Callebert へ。
ベルギー物産店はベルギービールやチョコレート、お菓子などがまとめて見られる。奥には運河沿いのカフェ。もちろんビールを飲むべし。

カリベールはここでも何度も紹介している老舗雑貨屋で、北欧の食器や、イタリアの雑貨を見ながらあれも欲しいこれも欲しいと言っているだけで時が経つ。


ブルージュのお店の半分近くは観光客相手に日曜日も営業しているが、特にこの2店舗はおすすめ(カリベールは15時からの営業)。
マルクト広場からもすぐ。


2be
Wollestraat 53
8000 Brugge


Callebert
Wollestraat 25
8000 Brugge
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