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Brugge Style
わたしの家の無駄な空間
何年か前にわが家を訪れた友人が、玄関を入るなり言ったのを覚えている。「ここ、もう一部屋になるよねえ!」と。
わが家は築400年の家だ。はっきり分からないが、400年前の部分と300年前の部分が合併している、と聞いたこともある。堂々ブルージュ市が指定する「歴史的建造物」。
もちろんすべてが400歳なわけではなく、黒光りするほど古い梁を真新しい梁が支えていたり、古いマントルピースだけを残した暖炉が新しい漆喰で塞がれていたり、反対に新しいマントルピースが古い暖炉をふちどっていたりする。
思うに、この家全体を現代風な間取りにした際に、家を支えるために残さなければならなかった壁や柱の位置関係や事情から、「ここもう一部屋になるよねえ!」的な「無駄な空間」がたくさん出たのだろう。
そうなのだ。この家には遊んでいる無駄な空間が多い。
例えば上の写真は玄関だが、他にも主寝室とバスルームの間には「夜のホール」と優雅な名前のついた8畳大ほどの空間があり、部屋ではなく、どちらかというと廊下の扱いだ。ここにクロゼットなどを置くこともできるだろう。でもわたしは壁に油絵をかけて、それだけにしている。有効に使いたくないのだ。
その夜のホール続きの踊り場も4畳半以上の広さがある。なるほど、ここでならじゅうぶん「踊る」ことができよう。ダイニングキッチンに続く踊り場も同じだ。
とにかく家の中にぽっかりと余った「遊んでいる」空間がすごく多いのである。
そして昔の時間がそのままそこに溜っているとでも言えばいいだろうか。
それがこの家に独特の陰影を与え、雰囲気はそこに宿っている。
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なるほど、これが機能なのか。
そこには猥雑な時間が徐々に溜っていく無駄なスペースが少しもなかった。
このブルージュの家、建てられてから何家族が住んだのだろう。
これからどんな家族が住むのだろう。
わたしがこの家を最も愛した1人であるにちがいない、と確信を持って言える。
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