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Brugge Style
ユニオンジャックの波・ロンドン
エリザベス女王即位70周年記念、プラチナム・ジュビリーのお祭りは天候のすぐれない中、昨日つつがなく終了したようである。
週末の3日間がいちばんの山場で、こういう時には人混みに近寄らないようにしているのだが、土曜日はロイヤル・バレエを見るためにコヴェント・ガーデン方面と、その後個人宅でのパーティにうかがうため、どうしてもロンドンへ出かけなくてはならなかった。
この日はバッキンガム宮殿前で大コンサートが行われる日で、人混みや封鎖に巻き込まれないよう、早め、早めに行動したものの拍子抜け。
混雑していたのはトラファルガー広場とバッキンガム宮殿を結ぶザ・マルに限られていたようで、普段と変わりのないロンドンの風景だった。
ただ、やはりプラチナム・ジュビリーに便乗しての商売はあちこちで見かけたし、何よりこのユニオンジャックの波、波。
モネの『サン=ドニ街、1878年6月30日の祝日』を思い出した。あちらは三回目のパリ万博の記念祝祭だった。
バッキンガム宮殿前の会場には2万2千人もの観客が。
一方、この日のロイヤル・バレエ公演前には国家が演奏され全員起立。
観客は平均年齢50歳以上という感じだったものの、周りの人からはヤレヤレという苦笑混じりのため息がもれたのを聞き逃さなかった。
王室支持率は2012年には80パーセントだったのが、今年は60パーセントに落ちている。
年齢層では高齢者は70パーセントが支持するが、若年層では30パーセントと低い。
英国王室の支持率が高いのは、ひとえに25歳で即位して70年のエリザベス女王の功績である。
次世代の(不人気な)チャールズ皇太子の時代にはどうなるのだろうか。
まるでこの不安を覆い隠し、「バラバラの国民をひとつにまとめられるのは王室だけ」というイメージを思い出させるかのような、まさに『想像の共同体』(ベネディクト・アンダーソン)教科書通りのページェントだった。
バッキンガム宮殿界隈では盛況だった、全体で2000億円かけられたショー、新聞記事によると、英連邦から独立の気運が常に高いスコットランドの会場では誰も集まっていないところも...
スコットランドの知り合いは「時々顔を見せに来て『主人は誰か忘れないように』確認してくる王室が...以下略」と言っていた。
とにかく、誰もが歓迎しているというわけではない。ましてやブリグジット、新型コロナ禍、ウクライナ侵攻、インフレ...のこのご時世に。
英国はこの際、一部の英国人(ブリグジット派)が懐かしさと誇りを込めて「大英帝国」と呼ぶ自国の繁栄を支えたのが、海賊的な方法による植民地の人的・資源的搾取だったことを顧みてはいかがかと思ったり...
現在も、先進国の経済を支えているのはグローバル・サウスであり、英国の中にさえグローバル・サウスが歴然と存在することを忘れないでおこう、と住人のわたしも思う。
国の歴史には、陰と陽があってあたりまえなのだから。
エリザベス女王とパディントンのショート・フィルムは魅力的だった!!
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