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英国と外国の文物・人物




先日、近所にある大変優秀で有名なグラマー・スクールで開かれた、医学部進学希望者のための説明会に行ってきた。

スピーカーは5人。
事務的な話の後、医学部に入ってそれぞれ2年目と最終学年在籍中の学生、そして各分野の医師が、志望動機、日常のスケジュール、進行中のプロジェクトなどについて話し、とても興味深かった。

実際に出た数字をあげると

1000人(この数字は割合を見るための単なる数字)の学生が医学部進学に必要な資格をクリアして志願するとしたら
500人が面接に呼ばれ
125人が大学からオファーをもらい
Aレベル試験結果後63人が入学する

という状況らしい。

こりゃあかんわ(笑)と思い、娘に「どうなの?」と遠慮がちに聞いたら、さらっと「自信ある」ときた。
ティーンエイジャーとはいえ自我肥大しすぎてませんか。
最近は「宇宙物理学方面もおもしろいと思うの」などとも言うし、大風呂敷を広げるのだけはわたしの血を引き継いでいるみたいだ。


それはそうと、以下、わたしがいかに慣れ親しんだ考えの「檻の中」に住んでるかを暴露するようで気恥ずかしいのだが、いつものことだし書く。

関心したのは、スピーカー5名中4名が、乱暴な言い方を許されるなら「比較的最近外から来た人」だったことだ。

中国(不明)
ムスリム(2世)
フランス(学生時から英国へ)
オランダ(結婚後英国へ)
そしていわゆる英国人

全員このグラマースクールの卒業生、あるいは在校生の親だ。
まさに現代英国の縮図。


昨日だったか、中国資本が英国の私立校を「爆買」している、一部の私立校が中国人をはじめとした「お金のある外国人」を多数受け入れている、というニュースがあったが、グラマースクールは立ち位置が違う。

グラマースクールは公立だ。しかし、何かとレベルの低さが取りざたされる公立校の中では別格。学力では私立と並び、学費は公立ゆえの無料、のいいとこどり。学校数は少なく、ゆえに競争倍率は非常に高く、入学は相当難しい。

その状況で「比較的にしても最近外から来た人」の割合が多いというのは、正直、わたしはすごいなあと思った。
そんなにシンプルなハナシではないのかもしれないが。


英国はヨーロッパの中では新興国で、長らく辺境の位置にとどまっており、優れた文物や人物は外国から入ってくるものだった。
たとえば宮廷画家としては16世紀のホルバイン(神聖ローマ帝国)やヴァン・ダイク(フランダース)は有名だ。また、19世紀にマルクスがロンドンで執筆したことも。
あ、おいしい料理はすべて外国料理! 

英国が国力をつけ、国産の文物にこだわるようになったのは、イングランド銀行を成立させ戦時国債を発行しつつ対仏戦争でたびたび勝つようになり、海上交易ではオランダから権益を奪い、植民地経営をし、紡績業を中心とした産業革命にも成功してから、18世紀のことだ。

歴史的に見ても、英国人は国籍やオリジンにこだわりがない。この点では英国を尊敬できる。

娘の経験でいうと、料理コンクールで和食のメニューを作った時、「日本人が和食を作るのが上手いのは当たり前で、英国人にフェアでないから評価されないかも」と思ったが、和食で4回もトーナメントをくぐり抜けた。
また、楽器演奏で「英国代表」を選ぶのに外国籍は心情的に不利なのではないかと危惧したこともあったが、結果「外国籍」は全く影響がなかった。

ああ、国籍にめっちゃこだわりがあるのはわたしのほうじゃないか(笑)。


日本も外国の文物を受け入れ、改良するのは、英国よりずっと得意だ。
しかし、「人物」はどうだろう。

日本と英国は端っこの島国とあって、メンタリティが似ていることも多い一方で、「国籍やオリジンは関係なし」という英国の感覚は、日本の感覚(もちろん日本でもそれがポリティカリーにはコレクトだ)とは、ちょっと比較にならないほどオープンなのではないか。
だって、日本では去年のミス日本代表(日本と米国ミックス)が、「全く日本人らしくない」と諤々されたんですよ...


まあこのハナシも一面だけ、全然足らない観察だ。

繰り返すが、一番驚いたのは、外国生活の長い自分自身がいまだにこういうことで「ほおー」と感心する、という「外国人」的部分にあるのかもしれない。
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