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Brugge Style
(母親に見張られた)リーズの結婚(は、どうなる?!)
ロイヤル・バレエLa Fille Mal Gardee(gardeeの最初のeにはアクサン)「リーズの結婚」の今季最終公演へ。
ナタリア・オシポヴァ(Natalia Osipova)のリーズ、リハーサルを入れて2回目。
ナタリアは「何を演じてもお姫様」でないところがいい。特にこういう素朴な女を演じるのが上手い。結婚生活を夢見るマイムの場面、ほろっとさせられない大人がいるだろうか。
振り付け的には相当難しいところがあるのに、派手で分かりやすい回転などは少ないせいか、人々の拍手をさらっていたのはもっぱら恋人コーラ役のスティーヴン・マクレー(Steven Mcrae)だったのがちょっとだけ不満...いやもちろんマクレーも安定のマクレーでとても良かったのだが。
昨夜はライヴで世界中の映画館に配信されていた。
明るい田舎の描絵のある暗転幕に、リーズとママ・シモーネの乗った本物のロバさんがひく馬車がひっかかってめくれあがってしまい、すわ惨事かという瞬間があったにもかかわらず、それさえもが本のページをあわててめくってしまったかのように見え、本当に愉快なファルス(笑劇)だった。
近代の人々はこういうシーンをみて超ウケたんだろうなあと想像させられるような、例えばリーズと恋人コーラがバター撹拌器を取り扱うシーンなど、猥雑な艶笑も巧みに盛り込まれている。
また「退屈した人がするしぐさ」「中年の女のありがちな動き」「馬鹿者のしぐさ」など、人の定型的な動きがわざとらしくなく取り入れられている。人間は自分は自由な動きをしていると考えがちだが、なんと定型的な動きをするのか! われわれの、悲しみの動き、驚きの動き、喜びの動きはまさに社会的なものなのである。
いちばんおいしいのはリーズの母親で未亡人のシモーネだ(写真右中央。慣例的に男性が演じる)。
彼女を見ていると、わたしはああゆうおばちゃんになりたいのだなあとつくづく思う。陽気でしっかり者で、娘の幸せを独善的に願う母親で、大げさでお調子者で気取り屋で...
いや、もうなってるか。
......
風邪をひかないだけが取り柄のわたし、何が撹乱したのか強烈な風邪の症状...
しかし不思議なもんですな、万が一調子が悪化したりして周囲に迷惑がかかるようならすぐに退場しようと覚悟をしていたのに、バレエが始まったらハナも喉のイガイガも急にピタっ! と完全に止まり、コホンと咳の一つも出なかった。
好きなものを楽しんでいるときはわたしも達人、「心頭滅却すれば火もまた涼し」の境地。
マリアネラ・ヌネツ(Marianela Nunez)のリーズも見たかった。残念!
(写真はindependent.co.uk, thegardian.comから)
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