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ゴヤ、天才








コートルード・ギャラリーで開催中の
Goya - The Witches and Old Woman Album(「魔女と老女のアルバム」展)へ。

47歳で聴覚を失ったゴヤが、
自分自身の楽しみとして、「想像と創造」をテーマに
ドローイングから成る8冊のアルバムを作成した。

有名な「黒い絵」(Black Painting)シリーズを描いたのと同時期のことだ。


狂人、魔女、老人に多大な関心を持っていたらしい彼が描いた小さなたくさんの絵は
人間の枯れない虚栄心や、愚かさに対する痛烈な皮肉に満ちていながら、
同時に人間の持ついじらしさ可憐さを描いている。

愛だよ、愛。


例えばわたしが一番見入ったのは、
老婆になってなお、結婚の夢を捨てられない腰の曲がった女だ。
彼女の足下には彼女自身の影が黒々と描かれ、
彼女のパートナーは影だけなのである、と...

しかしそのかわいらしい顔と、胸の辺りで指と指をからませた愛らしい仕草は
醜悪どころか、
人間てそういうものでしょう? というゴヤの声が聞こえるようだ。

フーコーじゃないが、
狂気は(その狂人の住む)文化を濃縮圧縮して表出すると考えていたのかなあ。
だから狂人や魔女や老女に興味があったのかなあ。


さすが、天才。



11時に入って15時すぎまでコートルード・ギャラリーを久しぶりにゆっくり見て回った。
わたしの大好きなマネ(マネは全部好き)とドガ(踊り子以外はどれも大好き)もあり
スラー(若い頃は良さが全然分からなかった)も結構あって、飽きることがない。
良い一日だった!
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