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Brugge Style
未来都市アントワープ
1ヶ月半ぶりにベルギーへ行ってきた。旅行命ゆえ、2週間前に南仏から帰って来てからもずっと腰が落ち着かず、次の旅行は6月末、2ヶ月先だよ...と、考えるのは旅の支度や旅先で見たいものなどそんなことばかり。
もっと日常を大切にし、「今」を生きなければなりませんな(そこで右写真をご覧下さい・笑)。
でまあ、願えば叶うのだろう、ベルギーに1週間弱行ける都合がついたのでウキウキ。
今回はアントワープのルーベンス・ハウスでの展覧会「ルーベンス・プリヴェ」と、モード美術館の「ドリス・ヴァン・ノーテン」が見たく、また、会いたい友達が2人ともアントワープ郊外在住なので、最後の3泊はブルージュから思い切ってそちらへ移った。
ベルギーに13年住んでいた間は、買い物、展覧会、音楽会、ランチと、ベルギーでおそらく最も文化的な都市アントワープにはよく出かけていたのに、英国に居を移してからはすっかりご無沙汰していた。
実に3年ぶりだった!
あらためてこの街に魅了されてしまったので今回はそれを熱く語りたい。
......
英国に住んで気がついたことのひとつが、ロンドン一極集中は凄まじさだ。経済、政治、行政、教育、文化資本のリソースをすべてロンドンに集中させ、地方の街にはほとんど何一つ残っていない...先富論の一種なのだろうか。70年代以降の東京一極集中のようだ。
一方、大陸ヨーロッパのリソースはもっと拡散している。それぞれの歴史や文化を誇り、現在から未来にかけてそれぞれのビジョンを持っている(大きい風呂敷広げ過ぎ?)地方都市が少なくないように見える。
ようは英国に行くと、極端なハナシ、ロンドンだけがすばらしき世界都市である一方、大陸はパリやアムステルダムやブダペストだけでなく、首都ではないハンブルグも、バルセロナも、ヴェローナも、クラカウやそしてブルージュも、それぞれの魅力一杯のすてきな街として機能しているのである。
そこでアントワープだ。
羊毛/毛織物産業で栄え、海沿いの都市として交易で発展した歴史の豊かさや、アントワープ人のプライドの高さもさることながら、アントワープ王立芸術学院(NYのセント・マーティンズ、ロンドンのパーソンズとがモード御三家)があるのも関係するのだろうか、おしゃれ。ブルージュになく、アントワープにあるものは...大学とそして上記エリート芸術学院。街のサイズは人口ではブルージュが11万人で、アントワープはその5倍(但しこの数字は旧市街の外を含む)。
アントワープも他の都市と同じようにグローバル企業の荒波にさらされ、街の一角にはザラやH&Mやマクドナルドなどの企業が乱立してはいるが、一方で個人商店の多さにも目を見張る。本屋、オリジナルのジュエリーショップ、デザイン雑貨屋、家具屋、アンティーク屋、靴屋、レストラン、ビストロ、喫茶店...
これらのおしゃれな店のおしゃれな雑貨や家具が、決して金持ちや大金を落として行く観光客のものではなく、地域の人々のためにあると感じられるのがいい。おしゃれな店はロンドンの中心街にもいくらでもあるが、それらが桁違いの金持ちだけのためにあるという顔をしているのがわたしは気に食わないのである(大げさに言っていることをご承知下さい。もちろんロンドンにも例えば東の方に地元密着型のアーティスティックな地域はある)。
街の中に住む人々がアマゾンで買い物をするのではなく、少々割高でも日常ルートにある本屋、雑貨屋で買い物をする。スタバで飲むのではなく、その辺にあるカフェで給仕をしてもらいつつ飲む(この方が割安)。スーパーマーケットではなく、角のパン屋や肉屋で買い物をする。まずは街の中の経済を回転させ、コミュニティの人々がお互い様で助け合って生活するのにちょうどいいサイズがアントワープなんじゃないかと思う。ま、これは数字を調べたわけではなく、わたしの個人的な印象に過ぎないのだが。
ロンドンは大きすぎるしブルージュは少々小さすぎる(ブルージュは小さすぎるために観光業にまるっと頼らなければならない)のだ。
アントワープでは(ベルギーならどこでも)商店はきっかり18時に閉まる。朝からランチまでしかやっていないレストランも多く、日曜日や祝日はほとんどどこも開いていない。昔ながらに昼休みを取る店はまだあるし、夏は平気で2週間くらいバカンスをとる。コンビニのような店はごく少ない。
1ユーロでも多く売り上げて金持ちになるという価値観ではなく、それ以外の幸せ。
経済を成長させ続けるために、安いものを大量に生産し、大量に消費し、大量に捨て、また大量に買うという狂気が漂っていない街は税金も高いが、人々の生活の平均レベルが豊かだ。グローバリズムに対抗するには、各都市がまずコミュニティ内で経済を回しつつ、過去に敬意を払い未来を視野に入れ、機能を継続させながらも転換が必要ならば舵を切る(ビルバオなどよい例)というアイデアに一票を投じたい。
豊かに発展した未来とは、サイズ的にも機能的にも、アントワープサイズの街が世界中にたくさん散らばっていること...とイメージするのも一案かもしれない。
「ブレードランナー」で、あのLAがある地球上に、未だほっこりしたアントワープみたいな街があるとは想像し難くないか? あんな地球、どう考えても住みづらい。
......
モード学院の前の道で、ズボンの上にプリーツスカートを重ねて自転車にまたがった男子学生が、どのようにそのスカートを制作したかを英語で他の学生に熱く説明していた。
英語で話しているところから何人かは留学生なのだろう。
歴史があり、現行の文化も豊かで、いいものを作って売ろうという気概が感じられ、学生も、おしゃれした年寄りも多い街。
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