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Brugge Style
ポチ(マルチリンガルの頭の中)
8歳になったばかりの娘が、彼女の頭の中の働きを説明してくれた(下に図解)。
0歳から4歳までー
オランダ語、英語、日本語が、脳の言語を司る部分を3分割。
正確に切り分けたケーキのような状態で、それぞれ断絶されており、3カ国語は相互関係を持たない。いわゆるサラダボウル的状態か。
4歳から現在までー
3カ国語が混在するメルティングポット状態。
つまり4歳になるまでは、全体が毛に覆われていて4本脚で歩くモノに「犬」「hond」「dog」という音が当てられているのは知っていたが、それぞれの音が同じモノを指す言葉だという概念はなかったのだ。
それが4歳くらいのある時点で「犬」は「hond」であり、かつ「dog」とも言う、同じモノなのだということを一気に理解したというのである。事実、4歳頃彼女の言語能力は飛躍的な進歩をしたし、徐々に同時通訳ができるようになった。
(わたしが感心したのは、バイリンガル以上の人の頭の中の発達は、娘のこの説明の逆ではないかとなんとなく感じていたからだ。つまり、メルティングポット状態からサラダボウル状態へ発達するという方向。ゆえに何か国語も使い分けることができるというのが可能なのだと思っていた)
彼女が絵に描いて説明してくれた脳の働きの様子は、モノの名前は言語共同体ごとに人間が適当につけた単なるルールであって、モノとその名前は分ちがたく結びついているのではない、ということを示している(犬のかわりに”ポチ”でもいいわけだ)。モノの性質や意味は、モノ自体に本質的に内在しているわけではないのだ。
そして4歳以降の彼女の経験(これが社会化するということである)はまさに、われわれが差異化を押し進める価値体系(=つまり言語)の中にすでに投げ込まれているということを示しているのではないだろうか。
って、だから何なの?という感じだ。が、わたしは「うわ~、ソシュール入ってる?」と喜んだ(笑)。だからそれがソシュールだとしたら何なの?と娘が突っ込むようになる前にまたもう少し勉強しておこうかな~と(<かけ声をかけるのは得意よ)...生兵法は大怪我のもとだから。

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