山門を入ればすなはち散紅葉
野山を彩った紅葉は冬に入ると散るいっぽうである。
盛りを過ぎた紅葉の葉は、冷たい風雨に晒されて散る。
しかし、その散り敷いた紅葉もまた美しい。
禅寺の山門を入ると、すぐそこに紅葉が散っていた。
色留めをりぬ水面の散紅葉
山門を入ればすなはち散紅葉
野山を彩った紅葉は冬に入ると散るいっぽうである。
盛りを過ぎた紅葉の葉は、冷たい風雨に晒されて散る。
しかし、その散り敷いた紅葉もまた美しい。
禅寺の山門を入ると、すぐそこに紅葉が散っていた。
色留めをりぬ水面の散紅葉
冬蔦や寺領の裏の用水路
ウコギ科の常緑蔓性木本。
山野に自生する。
枝は樹上、岩の上をはい、気根を出して固着する。
葉は卵形で光沢があり、三裂、五裂することもある。
一般には「木蔦」というが、俳句では、冬も青々としているとことから「冬蔦」という。
寺の森の裏に用水路が走っている。
そのほとりの木に冬蔦が青々と巻きついていた。
青蔦と夕日に染まり佇みぬ
辻仏前の大根畑かな
アブラナ科の二年草。
中央アジア原産とされる。
初秋に種を蒔き、冬期に収穫する。
主に地下の白い長大な根を食べるが、葉も食べられる。
生産地名により品種が表され、練馬大根、聖護院大根、桜島大根などが有名。
煮物、おでん、風呂吹き、酢の物、大根おろし、漬物など料理の用途に応じて用いられる。
十字路に石仏が祀られていた。
その前に大根畑があり、大根が抜けるほど成長していた。
煮大根夜雨の降つてきたりけり
半僧坊脇ひと本の冬紅葉
冬になっても見られる紅葉をいう。
昔と違い、近年は地球温暖化のため、北国や山は秋に紅葉が見られるが、平地は冬に入らないと紅葉しない。
従って、従来は、冬紅葉は秋の艶やかさが消えて残っている紅葉の趣があったが、現在では十一月~十二月上旬が最も美しい時期となっている。
埼玉県新座市にある名刹平林寺を訪れた。
紅葉の寺としても有名で、この時季は訪れる人も多い。
山門を入って左手に行くと、半僧坊感応殿がある。
その脇に立つ一本の楓の紅葉が殊に美しく、日を受けて真っ赤になっていた。
冬紅葉ひとに倣ひてあふぎけり
媼ゐてほまち畑の葱ならむ
ユリ科の多年草。
中国またはシベリア・アルタイル地方原産とされる。
葉鞘の白い部分を食べる「根深葱」と緑色の部分を食べる「葉葱」がある。
前者には群馬県の太くて白い「下仁田葱」があり、後者には京都の「九条葱」がある。
媼がいるところを見ると、一畝の葱はほまち畑の葱だろうと思った。
夕空の茜色なり葱畑