白木蓮

はくれんにいつもの貌の戻りけり



　



モクレン科の落葉低木。

中国原産。

三～四月に純白の六弁花を開く。







白木蓮が美しく咲いていた。

見ていると、気持ちが安らぎ、普段の貌となっていた。






外灯に白木蓮の浮きゐたり



　

椿

山門の額に禅機や落椿



　



ツバキ科の常緑高木。

椿は自生のほか観賞用にも広く栽培され、その種類は五百以上と

いわれる。

ある禅寺を訪れた。

その山門の額に大きな文字で山号が書かれ、禅機を感じた。

境内に入ると、白椿が落ち始めていた。







墓原の乙女椿を愛（は）しと見し







幼子にその父のゐる椿かな







公園の入り口狭し紅椿






白椿晩年てふはいつよりぞ



　

初花

初桜チワワ連れたるナースゐて



　



春になって初めて咲く桜の花をいう。







その年初めて目に触れた桜を指す。







都心に行ったらすでに桜が満開となっていた。

今年初めて目にする桜だが、これほど満開とは驚いた。

このところの暖かさで一気に開いたのだろう。







その桜の下にチワワを散歩させているナースがいた。

病院の犬で、小さいが１３歳ということだった。






初花や親子遊べる公園に



　

黄水仙

島へ行く船の航跡黄水仙



　



ヒガンバナ科の多年草。

南ヨーロッパ原産。

日本には江戸末期に渡来。







三月頃、花茎の頂に黄色の六弁花をつける。

花には芳香がある。

切り花としても好まれ、園芸品種が多い。







島へ向かって行く船が長く真っ直ぐな航跡を描いていた。

それを眺める丘の斜面には、黄水仙が光あふれる中に咲いてい

た。






黄水仙丸テーブルと丸椅子と



　

雪柳

青空に大きく揺れて雪柳



　



バラ科の落葉低木。

中国原産。







観賞用に庭や公園に植えられるが、関東以西の暖地では渓谷の岩

上などに自生する。







三～四月頃、小さな白い五弁花を枝の上に密につけ、それが雪が積

もったように見えることからこの名がある。







雪柳が枝を伸ばして咲いていた。

その下の道から見上げると、青空に大きく揺れて美しかった。






旅に出でたゆたふこころ雪柳