俳句の風景

写真と自作の俳句を掲載しています。

定家葛

2024-05-20 | 俳句・新年・時候

 

 

足止めぬ定家葛の花の香に

 

 

 

 

 

 

キョウチクトウ科の蔓性常緑木本。

山野に自生し、庭木にもされる。

 

 

 

 

 

 

茎は地をはい、また気根を出して樹や岩に絡む。

初夏、枝先および葉腋に芳香のある白い花を集散花序につけ、後に黄色に変わる。

花冠は五裂し、風車状にねじれる。

茎、葉は民間薬として鎮痛、解熱などに利用される。

 

 

 

 

 

 

鎌倉時代、式子(しょくし)内親王に恋をした歌人藤原定家が、死後定家葛に生まれ変わり、内親王の墓に絡みついたという伝説からこの名がついた。

古名は「柾(まさき)の葛」。

 

 

 

 

 

 

長い坂道を下りて街路の歩道を歩いていると、いい香りがした。

立ち止まって見ると、ある家の垣根に花を咲かせていた定家葛であった。

 

 

 

 

 

歌にある柾の葛花つけぬ

 

 

 

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苜蓿(うまごやし)

2024-05-04 | 俳句・新年・時候

 

 

連れられて犬の喜ぶ苜蓿

 

 

 

 

 

 

マメ科の多年草。

ヨーロッパ原産。

牧草として植えられたものが、広く世界中で野生化している。

 

 

 

 

 

 

日本には江戸時代に伝来した。

オランダから送られてきた器の間に、苜蓿の乾燥したものが梱包材として入っていたことから詰草と呼ばれた。

 

 

 

 

 

 

花は晩春から初夏にかけて、茎の先に白い小花を球状につける。

多葉性があり、四つ葉のクローバーは幸運のしるしとして珍重される。

 

 

 

 

 

 

犬が連れられて広場にやってきた。

一面苜蓿が咲いていて、犬はその上を歩くのを喜んでいるようであった。

 

 

 

 

 

星団の如し白詰草の数

 

 

 

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沈丁花

2024-03-28 | 俳句・新年・時候

 

 

霊園に門扉などなし沈丁花

 

 

 

 

 

 

ジンチョウゲ科の常緑低木。

中国原産。

庭木として植えられる。

漢名は瑞香。

 

 

 

 

 

 

三月~四月頃、赤い小花を球状につける。

開花すると四裂の白い花びらの内側を見せる。

星形の花弁のように見えるのは蕚片。

白色種もある。

甘く強い香りが特徴。

 

 

 

 

 

 

和名の「沈丁花」は、沈香と丁字の香りを併せ持つからとも、香りは沈香で花の形は丁字であるからともいわれる。

 

 

 

 

 

 

霊園の入口に沈丁花が咲いていた。

その霊園には門扉などはなかった。

 

 

 

 

 

坂上りきて沈丁の香なりけり

 

 

 

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馬酔木の花

2024-03-24 | 俳句・新年・時候

 

 

花馬酔木池の向かうに茶室あり

 

 

 

 

 

 

ツツジ科の常緑低木。

日本固有種。

山野に自生するが、庭に植えられたり、盆栽にもされる。

 

 

 

 

 

 

三~四月頃、鈴蘭に似た白色で壺状の花を枝先に多数総状に垂らす。

 

 

 

 

 

 

有毒植物で、牛馬が食すると痺れて酔ったようになるのでこの名がある。

標準和名は「あせび」。

園芸品種には桃色の花もある。

 

 

 

 

 

 

日本庭園に馬酔木が咲いていた。

池を隔てた向こう側には茶室があるのが見えた。

 

 

 

 

 

馬酔木咲く畑にいつもの農夫ゐて

 

 

 

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獺(かわうそ)魚を祭る

2024-02-22 | 俳句・新年・時候

 

 

獺祭(だつさい)やたあれもをらぬ川堤

 

 

 

 

 

 

七十二候の一つで、二十四節気の雨水の初候。

陽暦二月十九日から二十三日頃までの約五日間に当たる。

 

 

 

 

 

 

獺が捕らえた魚をすぐには食べず、岸辺に並べておくという意味である。

 

 

 

 

 

 

なお、正岡子規の別号「獺祭書屋主人」はこれにちなむものである。

 

 

 

 

 

 

獺魚を祭るの候となった。

本来なら少しずつ暖かくなる時期であるが、今年は初春が暖かすぎた反動で厳しい寒の戻りとなっている。

そのせいで、川堤には歩く人は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

魚祭る獺(をそ)や暗雲垂れ込めて

 

 

 

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