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老人ホームは姥捨て山

2023-02-08 14:08:43 | 日記
私の母を老人施設に引き取ってもらったのは93歳からだった。
それまでは、離婚して独り身になった私が家で母の面倒を看ていた。
しかし、風呂場で倒れてしまった自分の身体を弱った筋肉では起こす事が出来ずに、
数時間ももがいていた事があり、家庭内介護の限界と思って施設に入れたのです。

と言っても入ったのは、いわゆる老人ホームではなく、
老健といわれる施設でした。
これは公立の施設で使用料は安いのですが、一定の周期で他の老健へ移動となるのです。



そこで私は初めて、そういった施設の内部を見る事になりました。
驚いた事も何回かあります。
最初に驚かされたのは、当時63歳くらいだった私より若い男性が居たのです。
彼はまだ60歳という話でした。
60歳というと、まだ現役バリバリなんて男性も全然珍しくないのに、
もう彼は(老人)というレッテルを貼られてしまったのです。
もう既に物忘れが半端ではないのだとか。

老人ホームという場所は、果たしてどんな事をしてる場所なんだろう?
行ってみて驚いたのは、日中は皆さん大きな部屋で、
大き目のテーブルを囲む状態で6人とかが腰かけています。
その方々はいったい何をしているのだろう?
これが最大の驚きだったのです。

な~んにもしてないのです。
ただ単に椅子に腰かけてるだけ。
新聞や雑誌を読む訳でもなく、壁の近くにあるテレビを観るでもなく、
彼等同士がお話をするでもなく、ただただ腰かけてボンヤリしているのです。
何もしないと言ったって何かする事あるでしょう?
いえ、本当にな~んにもしていないのです。
あれを見たら驚かない方がおかしいよ。
だって、人間て普通は何かしらしているのが普通でしょう。

老人ホームという場所はボケを促進させる施設だと感じました。
あれじゃ嫌でもボケるよ。
これではいくら何でも可哀想だと、猫好きな母の為に、
実物大で乾電池で動き、鳴き声を出すオモチャを持って行ったら、
その時の母は満面の笑みを受かべ、オモチャの猫に語りかけ、
愛おしそうに頬ずりし、見る見る内に生気がよみがえるのです。

母の周囲の老人達もみな猫を撫でたくて我慢できない風なのです。
それまで、まるで死んだ置物みたいだった老人達が、いきいきとするのです。
そんな事を繰り返すうちに、私は施設の人に訊きました。
「何で動物を飼わないのですか?」
「動物を飼うと不衛生になるのでダメなんです、認められていないんです」

施設で働く人達は男女共に若い人が多いのですが、
彼等は彼等なりに老人達を何とか元気づけようと様々なイベントなど、
例えば歌を唄わせたり、簡単な遊戯みたいなのをさせたり、やってはいるのですが、
それをやっても、オモチャの猫を見た時みたいな目の輝きはないのでした。
無駄な事など考えずに、如何に清潔な状態でペットを飼った方がいいのかの発想はないのかね。

それと若い彼等でも、本当にそういった仕事が好きな人。
仕事自体は特に好きとは思わないが、使命感でやってる人。
もっと若者らしい仕事をしたかったけど、職に有りつけずに、それまでの繋ぎでやってる人。
こんな仕事は嫌いだけど事情で仕方なくやってる人。
それは様々な感じでした。

老人の中でもまだまだ元気な人は居て、
自分がこんな姥捨て山みたいな施設に捨てられた事に我慢ができない男性もいました。

私も年齢的に、いつでも老人ホームに入ってもおかしくない歳です。
しかし、あそこだけは絶対に入りたくありません。
あんなトコに入ったら本当に人生は終わりだと、そう感じます。
あんなトコに入る前に私は死んでしまいたい。
あそこだけは絶対にイヤです。





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