
1933年(昭和8年)2月12日、
伊豆、三原山噴火口に女学生が身を投げ、自殺したという一報が入りました。


彼女は友人と2人で三原山に登り、
突如、松本貴代子(21歳)が噴火口に身を投げ自殺を遂げたという事です。
一緒に行ったのは富田昌子(21歳)で、
彼女は松本貴代子の自殺の立会人として同行したらしいのです。
松本貴代子には、親友グループが4,5人いたのですが、母の居ない淋しさなどがあり、
この世をはかなむ、後になって考えると自殺をほのめかす言動が散見されていたとも言える貴代子でした。
大島に渡り、2人で三原山に到着したのですが、
貴代子が自殺に向かって歩と進めるのを、富田昌子は「ダメよ、行きてこそ人生でしょ」と説得するのですが、
「クラスの皆様によろしく」と噴火口に向かって身を投げていったのでした。
いち女学生の耽美な自殺が、当時の青春の若者達の心を揺さぶり、
それに共感し、共鳴した若者達の自殺ブームに火を点けてしまったのです。


事件から10日目から自殺者が現れだして、
5月7日には一日で6名が自殺するという異常事態になります。
三原山での自殺熱は過熱の一途をたどり、東京を出港する船に、日曜日など1500人を超える乗船客。
島内の警察署では、たった4人の警察官しかいないので対処が出来ず、
その内、三原山登山をあきらめ、警察署内で自殺を図る者まで出る始末。
結局、三原山病とまで言われた自殺者は、944人に達し、
一日で32人の最高数となった日もありました。
時代というのは、どうしようもないものですね。
でも、自分というかけがえのない存在は、そんなにも軽いものなんでしょうか?
そこが、どうにも理解できないのです。
昭和初期には、不治の病(結核)があり、
226事件といった軍閥の台頭という厭世観が漂い、自殺願望者が増えた時代だったのでしょうか。

イランのフセイン大統領。
逮捕され死刑は確実と言われているのに、最後まで己の命があきらめられず、
結局、死刑にされてしまいました。
そうでしょ、人間って最後まで生きていたいと思うのが人間でしょ。
それが万葉集的な美しさを想い、憧れて自殺してしまう。
人間の心って、時代差が大きいというのはありますが、そんな簡単に死ねるのでしょうか。
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