猛暑です。どうしようもなくあつい夏です。でも、私の周りには吉備中山、名越山、鼓山、更に、少し向こうに庚申山、小雪物語の日差山、ずっと東に目をやると備前一の名山「金山」も霞立つ見えます。そのような名山に取り囲まれるようにして国宝「吉備津神社」が。その雄姿をいっぱいの木立の中に聳えたたせております。そのような緑の中の我が町吉備津は、都会のようなコンクリートジャングルとは違い、朝晩はこの猛暑でも、比較的に涼しく、節電にいくらかでも協力できる環境にあります。
こんな緑の中に、この吉備の里の夏を、最初に告げてくれたホトトギスが、ウグイスの声と一緒になって、いっぱいにかまびすしく辺りを鳴きとよもしていたのですが、夏の深まりと共に、何時とはなしにその声もか細くなり、さらに薄々となり、終には耳にする機会もなくなってきます。その時期は何時ごろだろうかと、いつも夏の初めには気になっているのですがツイツイ、喉元過ぎればのたとえで、毎年、秋ごろになって「果たして、今年はつだったけ」と、気をもんでいるのです。
今年もうっかりしてそんなことはとっくの昔に私の脳裏から消え去っていたのですが、偶然に、今朝です。朝の5時ごろでしょうか、朝の冷気を部屋にと思い窓をいっぱいに開きます。遠くで山陽本線の一番電車の音でしょうかわずかに聞こえています。そんな中に、家の真南に広がる吉備の中山から、吉備津神社のお屋根が輝く辺りからでしょうか、あるかないかのようなか細いホトトギスの声が私の部屋に飛び込んでくるではありませんか。今朝は7月30日です。「こんな真夏にも、まだ、ホトトギスっているのか」と、感慨一入の朝でした。
果たして、此のホトトギス、後何日ぐらい、この猛暑の吉備に居座り続けてくれるのかしらと、朝の冷気と一緒に其声も胸の中い吸い込みました。
ホトトギス 薄様に鳴きて まかねふく
吉備の中山 夏は去ぬめり
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