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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

だいじょうぶだぁ

2019年12月21日 | 生物生産科
これから真冬を迎えるというのに
名久井農業高校の第1農場では芽を出している作物があります。
このひょろひょろ細い葉を伸ばしている作物、何だかわかりますか?
実はこれが青森県特産のニンニクです。
秋に種である鱗茎を植えつけますが、まだ暖かいので芽が出ます。
それが今の状態です。しかしこのニンニクは
まもなく降ってくる雪に覆われることになります。
そして雪がとける春、今度は一気に元気な葉を伸ばして光合成を行い
6月下旬の収穫に向かい鱗茎を肥大させていくのです。
今の姿を見るとこんなかよわい状態なので不安になりますが
これがニンニクの一生、大丈夫なんです。
さてニンニクは青森県特産といいますが
栽培しているのは、八甲田の東側の県南地方。
夏にヤマセという低温多湿の偏東風が吹く地域です。
冷涼な気候のためお米や果樹類の栽培に向かないこの地域では
温度が変化しにくい土の中で栽培するナガイモやゴボウ、
そしてニンニクの大産地になったのです。
そんなわけで今、この地域の畑を見回してみると
このような状態のニンニクの姿をあちこちで見ることができます。
青森県南ならではの初冬の景色です。
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プロトタイプ

2019年11月10日 | 生物生産科
自動車など工業製品ではプロトタイプという言葉をよく耳にします。
日本語で「試作品」と訳されるように
テスト走行させながら性能を確かめたり、
問題を見つけたりする場合に製作します。
製品の持つ欠点は頭で考えても発見しにくいもの。
そこで実際に模型を作って動かして評価してみるのです。
しかしこれは何も工業製品だけに限ったことではありません。
商品にはモノとコトがありますが
形のないコト、つまりサービスを開発する際でも
ユーザーの体験を知ることができるプロトタイプが重要になっています。
さてこれは先日の名農祭で試験販売された商品。
リンゴと洋梨のコンフォートです。
赤いリンゴである紅玉の色素を
どれぐらい利用できるか試すために製造したものですが
残念ながら思ったようには色が出なかったそうです。
とはいっても紅玉なので味は最高。
そこでお客様にその点を理解してもらい販売したというわけです。
まさに試行錯誤の中で生まれた今だけのプロトタイプなのです。
実はチームフローラフォト二クスでも
プロトタイプという言葉を使ったことがあります。
それは草花サンパチェンスで水質浄化を行うバイオエンジンの開発。
あまり知られていませんが、プロトタイプでは
ブラシナゾールという薬品でサンパチェンスの光合成能力を高めていたのです。
しかし農薬登録されていないこと、コストが高くなることなどの理由で
陽の目を見ることはありませんでした。
試行錯誤の結果、バイオエンジンはタイプⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳといろいろな種類が誕生し
最終的なタイプWでは薬品ではなく2つの微生物を搭載。
さらにサンパチェンスではなく植物は作物に変わり
最初とはずいぶん違ったものへと発展して行きました。
何事でも新しいものにチャレンジする際はプロトタイプ作りが大切。
そして試してみようと思うだけの心と時間のゆとりが必要です。
さて昨日と本日の2日間、全国の農業高校収穫祭が
東京大丸デパートで開催されていますが、名農生もコンフォートを販売中。
プロトタイプがどんな形で完成したか気になります。
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遊び心あるな

2019年10月30日 | 生物生産科
これまた名農祭での様子。
生物生産科が面白いことを始めました。
何やら皆さん袋に詰めています。
ここは食用菊の詰め放題コーナー。
学校で栽培された生花を競うように袋に詰めています。
いろいろな詰め放題はありますが
食用菊の詰め放題は産地である南部町ならでは。
遊び心を感じるユニークな販売コーナーです。
さて南部町は9月から早生種の食用菊の収穫が始まりますが
今の時期は最後の晩生種「阿房宮」。
霜が降りるとせっかくの黄色い花が茶色になってしまうので
その前に収穫しなければなりません。
しかし果樹地帯である南部町は現在、りんごの収穫時期でもあります。
たくさんの農作物が手に入るまさに収穫の秋ですが
農家の方は大忙し。本当にお疲れ様です。
ところが、青森県では収穫が近づいたりんごなどの農作物が
盗難にあう被害が続出しています。
畑から農産物を大量に盗む行為は全国的に起きているようですが
1年間に1回だけしか収穫できないりんご農家のことを考えると心が痛みます。
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南部太ねぎ

2019年10月29日 | 生物生産科
生物生産科は名農祭でダイコンやゴボウなど新鮮野菜を販売します。
それも数kg入っている大袋での提供です。
そのためお客様は自動車まで重い野菜を運ばなければなりません。
でも大丈夫。駐車場までちゃんと生物生産科の生徒が運んでくれるのです。
だから高齢者の方も安心。こんなおもてなしも名農祭の人気の理由です。
そんな生物生産科の野菜販売ですが、農場では販売しないものがあります。
それがこの南部太ねぎ。校内の生物生産科展だけの限定販売なのです。
昔からこの地域には南部太ねぎという在来種がありました。
太いうえに柔らかく甘い味は地域の逸品として
農家の方の自家消費やこの地域だけで愛されてきました。
しかし近代化が進み、次第に野菜が現金を得る商品となっていくと
柔らかい特性が逆に輸送上の欠点になっていきます。
そんなことで生産者はどんどん減少。
気がつくとたった一人の農家だけが
細々と自家用に栽培するだけになっていました。
10年前、絶滅寸前の南部太ねぎに着目したのが名農生物生産科の野菜班。
農家から分けてもらい栽培しては学校で自家採種し、
地域の農家に栽培を呼びかけていきます。
共感した町がバックアップしたこともあり、生産農家も少し増え始め
再びあの甘く柔らかい味が復活したのです。
この活動はテレビのダッシュ村でTOKIOの取材を受けるほど大きな話題となりました。
チームフローラフォト二クスの結成とほぼ同時に活動を始めた野菜班は
新しい技術を追い求める前衛的なフローラとは正反対に
地域の在来種復活にすべてをかける正統派農業研究グループ。
お互い切磋琢磨しながら大活躍したものです。
そんな話題の南部太ねぎが直接、あの野菜班から購入できるのですから
今年もたくさんのお客様が詰め掛けました。
県外では販売しないことにしている南部太ねぎ。
皆さんは食べたことがありますか。
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福地ホワイト

2019年09月16日 | 生物生産科
先日、見つけたある種苗会社のカタログです。
全面使ってコマーシャルしているのは
青森県が誇るニンニク「福地ホワイト六片」。
真っ白な6つの大粒のりん片がつくのが特徴で
健康食品のテレビCMで名前が出たこともあり一気に有名になりました。
福地といえば南部町。なぜなら現在の南部町は平成の大合併で
南部町と名川町、福地村が一緒になってできたからです。
福地ホワイトはその福地村の福地なのです。
しかし現在、大産地となっているのはお隣の田子町。
田子産のニンニクというだけで高額で取引されるほど
高い品質を誇っています。
田子はニンニクで町おこしをしており
全国的に話題となったニンニク味のコーラ「タッコーラ」。
ニンニク味のお菓子「ガリゴリ」、
ガーリックステーキご飯「ガリすて」など
ご当地商品を発表しては話題を集めています。
また町の観光協会も力を入れており
おしゃれなホームページを配信するなど力を入れています。
さらに町はアメリカのニンニク産地であるギルロイ市と
国際交流も盛んに進めるなど農業を核とした町の活性化に成功しています。
そんな青森県のニンニクですが現在、品種の代替わりが進んでいて
福地ホワイトは減少しているといいます。
純系の福地ホワイトはもうないかもしれないともいわれるほどです。
そんな田子町ですが「美六姫」(みろくひめ)という
町で育成した新品種に切り替えることになりました。
今年が初めての市場デビューで県内の話題となっていました。
果たして現在、確立されている福地ホワイトという絶対的なブランドを捨ててまで
新ブランドを確立する意味があるのか、そして成功するのか。
田舎町の挑戦に目が離せません。
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